またもやツタヤに悪評
ツタヤはカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が運営する書籍販売、ビデオ・CDレンタルの最大手で最近は図書館の民間委託の分野に手を広げていますが、この図書館委託についての評判が良くありません。第一号となったのは佐賀県の武雄市ですが、ツタヤの運営になった途端、発売から10年以上経った実用書を大量に購入し、公金でツタヤの在庫処分に貢献したのではないかと市民から批判され、訴訟沙汰に発展しました。
実用書の類は内容が陳腐化してしまうので、通常は出版直後のものを購入するのが一般的のようですが、武雄市の場合は2000年前後と新刊発売から10年をはるかに超えるものが大半で、『世にも美しいダイエット』は1994年出版と20年以上前のものまで含まれていました。これらの市場価値は新刊から数年経てば100円以内、10年も経てば1円になってしまうと言うことですが、武雄市の場合は1万冊で1958万円でしたので、1冊当たり1958円と破格の価格でした。これは恐らく新書での価格だったと思われますが、あまりに非常識で、訴訟沙汰になるのも当然です。
通常図書館の場合、小説などの文芸書や学術的な書籍が多く、実用書は内容が陳腐化しやすいのであまり多くを蔵書しないようですが、内容が古すぎる実用書ばかりを購入しようとする姿勢は批判されても仕方ありません。この問題によってカルチュア・コンビニエンス・クラブに業務委託を予定していた小牧市では、市民の猛反対が起き、住民投票の結果計画が白紙撤回されることになりました。
これでツタヤの側も運営を改めるかと思っていましたら、今度は宮城県、多賀城市で再び古い実用書大量購入問題を起こしていたことが明らかになりました。多賀城市ではツタヤに運営委託した今年3月以降に35000冊の図書を購入しましたが、その内13000冊が中古本で、4400冊が発売から6年以上経った市場価値1円の実用書でした。ツタヤはこれらを1000円で購入していましたので、差額の439万円は不当に高く購入したことになり、しかも購入先は同じツタヤのグループでしたから、不当な利益供与と言われても仕方ありません。
ツタヤは江戸時代の版元で歌麿や写楽の浮世絵を出版した蔦屋重三郎の「蔦屋」にあやかって社名を付けたと言われていますが、このような適正でない価格での購入や、図書館としてふさわしくない古い実用書に偏った購入を続けることは、書籍に対する冒涜であり、「蔦屋」の名を汚すものです。
このような図書館運営に巻き込まれてしまった市民こそいい迷惑で、ツタヤには書籍販売業者としての矜持はないのかと声を大にして問いたいと思います。
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