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2016年11月23日 (水)

観測ロケットで衛星打ち上げ

JAXAは22日、観測ロケットSS-520を使って本年度中に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から超小型衛星TRICOM1打ち上げると発表しました。SS-520は全長9.65m、直径52cm、重量2.6トンの2段式固体燃料ロケットで3段目を追加すれば地球を回る軌道に4Kgの衛星を打ち上げる能力があるとされていましたが、これまで衛星の打ち上げの実績はありませんでした。

JAXAが観測ロケットを使って超小型衛星を打ち上げる構想を持っていることは、今年5月27日に開催された文部科学省の宇宙開発利用部会、調査・安全小委員会での報告で明らかになっていましたが、打ち上げの時期については公表されていませんでした。構想では2段式固体燃料ロケットのSS-520に3段目を加え、東大が開発した超小型衛星TRICOM1を打ち上げるというものです。TRICOM1は縦横約10センチ、高さ約35センチの直方体で重さ約3キロで、地上から送られる電波を受信する機能のほか、地表撮影用のカメラを備えています。

世界的な傾向として衛星の小型化が進んでおり、衛星の製作費と共に打ち上げ費用が低く抑えられるメリットがあります。JAXAでも主力のH-IIAの打ち上げ費用の削減を進めていますが、より打ち上げ費用の安い小型のイプシロンロケットでも打ち上げ費用は30億円程度とされています。これに対してSS-520の打ち上げ費用は2~3億円と言われており、大幅なコストダウンが可能となります。

超小型衛星は大きさの制約があり、その分、機能の制約がありますが、必要とする機能を絞り込めば十分実用になる性能を備えています。企業や研究機関が自前の衛星を運用するのには、費用の問題がネックとなっていましたが、超小型衛星はこのハードルを下げる役割が期待されます。1970年、ラムダロケット4S 5号機によって日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられたのが同じ内之浦空間観測所です。「おおすみ」の打ち上げに心躍らせた者としてTRICOM1の打ち上げ成功を願って止みません。

Ss520

SS-520ロケット JAXA資料より

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