準天頂衛星を年末までに3基打ち上げ
米国が軍事利用のために構築したGPSは、カーナビを始めとして今ではすっかり私たちの生活に溶け込み、なくてはならない存在になっています。しかし、元々が米国の軍事利用が目的のため、一般に開放されている電波は精度が低く、カーナビでも10m程の誤差があります。カーナビでは、ソフトによって現在地を一番近くにある道路に無理やり修正していますが、複雑な交差点などでは一体どこにいるのかが判らなくなってしまうことがあります。また農業機械などの無人運転では、誤差が大きいと事故の原因ともなりかねません。
また、軍事目的のシステムですから、有事の際は一般向けの電波が利用できなくなるかも知れません。自衛隊も現在地や攻撃目標の座標の把握やミサイルの誘導などにGPSを利用していますので、大変困ります。また、高速道路の下などでは衛星の電波が受信できなくなりますので不便です。
このようなことから、我が国独自の衛星位置情報システムとして「準天頂衛星」を使った日本版GPS構想が建てられ、2010年には実証機として「みちびき」が打ち上げられ、実証試験が行われて所定の能力があることが確認されました。ところが、その後予算化が難航し、1基だけの運用が続いていました。
ところがここに来て、政府が今年中に「準天頂衛星」を3基打ち上げ、来年から4基体制として運用することを決定しました。これにはドローンの活用や運搬機器の無人運転に不可欠であることもありますが、安全保障上の観点から自前の衛星位置情報システムが必要と判断したためと考えられます。既にロシアや中国、インドや欧州連合も自前の衛星位置情報システムを構築しており、我が国もやっと遅れを取り戻すことになります。
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