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2017年1月26日 (木)

対馬仏像盗難事件で韓国司法がとんでも判決

2012年、対馬市の観音寺から長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」が盗まれ、2013年になって韓国で窃盗団が逮捕されました。仏像はその際、韓国政府に押収されて保管されていましたが、所有権を主張する浮石寺が提訴し韓国政府との間で裁判となっていました。

今日の判決で、韓国の大田(テジョン)地裁は26日、仏像を保管している韓国政府に対し、韓国の浮石(プソク)寺に引き渡しを命じる判決を出しました。判決は仏像について「浮石寺の所有と十分に推定できる」と認め、「正常でない過程」で対馬市の観音寺に移され、韓国政府は浮石寺に仏像を引き渡す義務があると言い渡しました。

これは実に呆れた判決で、まともな論理に立脚したものとは到底思われません。まず浮石寺の所有と十分に推定できるとしていますが、その根拠が少しも明確ではありません。そもそも14世紀に浮石寺が所有していた証拠が全く見当たりません。仮に所有していたとして略奪された明白な証拠もありません。

韓国では中世に国家による仏教の弾圧があり、1407年の弾圧では88の寺が、1424年の弾圧では36の寺が存続を許されましたが、浮石寺はその双方に含まれておらず、廃寺となっていました。もし本当に所有していたとしてもその時点で売却した可能性さえもない訳ではありません。

その一方で観音寺が正当な手段で入手したことは認めずに、「正常でない過程」で入手したと断定しました。これまた根拠は不明です。しかも、正当に入手したことを立証する義務は観音寺にあるとしました。浮石寺が所有していた証拠を提示できなくても所有を認定したのとは真逆の判断です。

日韓両国は盗難文化財の返還を求めた文化財輸出入等禁止条約(1972年発効)に加盟しており、同条約に基づき韓国政府が返還しようとしたことに対し、法を守るべき裁判所が国際条約を無視して仏像を浮石寺に引き渡すよう求めたことは、韓国の司法界がまともに機能していないことを全世界に公言したのと同じです。

我が国は、引き続き韓国政府に対して仏像の返還を求めるだけですが、韓国と言う国家の質が問われる事態です。

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