ミニイプシロンロケットの開発を
今日は観測ロケットSS-520を転用した世界最小の衛星打ち上げロケットSS-520 4号機の打ち上げが予定されていましたが、強風のため打ち上げ3分前に中止となりました。当初の計画では、内之浦宇宙空間観測所から午前8時43分に打ち上げられることになっていましたので、打ち上げ成功の報を待っていましたが、いつまで待っても報道がなく、やっと確認が取れたら打ち上げ中止と言うことでがっかりでした。
打ち上げ時に強風が吹いていると、切り離したロケットが予定した海域を外れて落下してしまうため、あらかじめこれ以上の風速では打ち上げを中止する風速が決められており、H-IIAでは16.4m/秒、イプシロンでは20m/秒でした。今回のSS-520では15mに設定されていましたが、打ち上げ8分前の観測データーを分析した結果、打ち上げ3分前に中止となりました。
ところで、今回打ち上げる予定だった超小型衛星「TRICOM-1」ですが、重量はわずか3Kgでした。これは元々観測用だったSS-520の打ち上げ能力が低く、3kgのペイロードを180kmの高度に打ち上げるのがやっとだったからです。しかし、高度180kmではわずかながら大気の影響があり、衛星は少しずつ高度を下げてやがて地上に落下してしまいます。また、搭載できる機器に制約ができてしまいますので、より大きな衛星を打ち上げることができる能力のロケットが必要ではないかと思われます。
実は先日2号機を打ち上げたイプシロンロケットは、小型の衛星を必要な時に低コストで打ち上げることを目的としていますが、新しい技術を積極的に取り入れた技術実証の役割を果たすことが求められています。つまり、イプシロンで開発した技術を危険を冒すことなくH-IIA、IIBの打ち上げにも利用しようと言うものです。
イプシロンロケット (出典:JAXA)
で、あるのならSS-520を上回る実用衛星を打ち上げる能力を持ったミニイプシロンとも言うべき小型ロケットが求められるのではないでしょうか。イプシロンを更に下回るコストで、超小型衛星を打ち上げる専用の機体です。そして、新たな技術をまずこのロケットで試し、上手くいったところでイプシロンやH-IIA、IIBに採用すれば、リスクを減らすことができる上に、最小限のコストで新技術が開発できます。できれば我が国最初の人工衛星を打ち上げたL-4S位の外観・能力の小型ロケットが望ましいのではと考えます。
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コメント
SS-520 4号機は本日午前8時33分に内之浦から打ち上げられましたが、2段目からの電波が受信できなかったため、2段目には点火せず、そのまま海上に落下し、打ち上げは失敗しました。
SS-520を使っての衛星打ち上げは今回限りのミッションでしたので、この先このロケットを使った衛星の打ち上げはありません。
推測ですが、今回の打ち上げは費用低減のため、民生部品を多用していますが、やはり信頼性に問題があったのかも知れません。ただ、小型衛星の需要については今後も十分期待できるので、提言の通りのミニイプシロンロケットの開発が望まれます。
投稿: 雨辰 | 2017年1月15日 (日) 13時20分
ロケットの打ち上げやミサイルの発射試験の際に機体の加速度や姿勢などの情報を送信する装置をテレメトリーと言います。今回の打ち上げではこのテレメトリーが20秒後に機能しなくなってしまいました。当初、このテレメトリーにも民生品が使われたのではないかと考えましたが、JAXAの発表では使用したテレメトリーは従来から使われているものだと言うことが判りました。
テレメトリーは広く使われていますので、今回に限り何故テレメトリーが不調になったのか、早急な原因究明が求められます。
投稿: 雨辰 | 2017年1月16日 (月) 09時26分