離島防衛に新兵器か
トランプ氏のオーストラリア首相への振る舞いは、外交儀礼に反するいかにも無礼な子供じみた蛮行です。各国への電話会談で中国を蚊帳の外に置いたままですが、今後貿易問題をめぐる軋轢が起点となって武力紛争に発展する可能性がないとは言えない状況になりつつあるのが懸念されます。
以前にも触れましたが、中国共産党は自らの正当性の確保のため、また政権の支持基盤が危機的状況になった時に台湾の武力統合を行なうため、日米の接近を阻止する目的で、同時に南西諸島を占領する挙にでるものと考えます。
我が国の防空識別圏 出典:平成27年防衛白書
これに対し、従来は離島防衛は困難として侵略されたら奪還する方針でしたが、最近は事前に対艦ミサイル部隊などを配置して侵略そのものをさせない方針に転換しています。しかし、小さな島に普段からたくさんの部隊を駐留させる訳にはいかず、不測の事態が起こらないとは言えません。
もし、そうなった場合には島民の安全を確保しながら侵略部隊を攻撃しなければならないと言う大変困難な作戦を強いられることになります。一方の中国軍は最大積載量66トンの大型輸送機Y-20を保有していますので、空港を確保されれば、戦車や地対空ミサイルを持ち込むことが可能です。
自衛隊はこれまで攻撃的な兵器を保有しないとの政治判断から、空対地ミサイルや短距離弾道弾を持っていませんでした。最近になってやっとレーザー誘導式の誘導爆弾を保有するようになりましたが、目標近くまで接近する必要があり、中国の保有する最大射程が40kmのHQ-16A地対空ミサイルの射程内に接近する必要がありました。
ところが、最近になって知ったのですが航空自衛隊がGBU-39と言う精密誘導爆弾を米国から購入していることが判りました。GBU-39は従来の爆弾と比べると爆薬の量が数分の1しかなく、周囲への二次被害を低く抑えることを目的に開発された誘導爆弾ですが、なんと半径1.8mの範囲に50%の確率で着弾させることが可能です。しかも直径が細いことから、1.8mの鉄筋コンクリートを貫通する能力を持っています。
そして何より特筆すべきは、高空から投下した場合、110Km先の目標に到達可能とのことで、これは米軍の空対地ミサイルAGM-84Eの最大射程95Kmをも上回るものです。
GBU-39のイメージ図です。GBU-39は投下までに目標の座標を入力し、投下後は折り畳み式の翼を開いて滑空し、最後は目標のほぼ真上から突入します。
GBU-39の弾頭爆薬は93Kgとされており、広範囲に被害を及ぼす類の爆弾ではありません。しかし、この精密誘導爆弾を保有することで、侵攻した相手の核心的な装備を極めて正確に破壊できることになり、相手の侵攻の意図を挫く効果は大変大きなものがあると期待されます。
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