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2017年3月11日 (土)

地上配備型ミサイルの迎撃チャンス

昨日の記事の続きです。我が国は現在6隻のイージス艦を配備し、その内4隻にミサイル防衛機能を持たせています。4隻もあれば迎撃態勢も万全だろうと思われるかも知れませんが、艦船は補給や休養、定期修理などで常時配置に就いていることはできません。スケジュールをやりくりしても2隻確保するのがせいぜいで、今後8隻体制になっても4隻程度です。

P6030036

向かって左側が佐世保港に停泊中のイージス艦あしがらです。

そんな訳で空白帯を作らずに、2重、3重の迎撃態勢を敷くために弾道ミサイル迎撃用の地上配備型ミサイルが検討されている訳です。では実際のところ、どんな形で迎撃できるのか、シミュレーションしてみました。

Photo 

図はクリックで拡大します。

上図は先日ミサイルを発射した北朝鮮北西の東倉里(トンチャンリ)から東京にめがけてノドンを撃ち込んだ場合です。本来は放物線になりますが、計算が面倒なので直線に簡略化しています。東倉里-東京間が約1400Km、ミサイルの最高高度500K、ノドン、SM-3ミサイルの平均速度をそれぞれ3Km/秒としています。

日本海の中ほどP0に待機したイージス艦が朝鮮半島の東海岸に達したノドンをP1の地点で発見する想定です。実際はもう少し早く探知できる可能性がありますが、西側には山地がありますので、そう遠くまでは見通すことはできません。

イージス艦はミサイルの軌道を計算してSM-3を発射します。軌道計算にどの位の時間が必要なのかは軍事機密なので判りませんが、瞬時と言うことはありませんし、1分以上とも考えられません。仮に30秒として、その間にノドンは高度を上げて飛んで行くので計算上最高高度を過ぎた先でしかノドンを捉えることができません。実際には最高点とP2の間のP5で迎撃することが可能です。但しP3からは時間がかかり過ぎるのでこの位置では間に合いません。

P3はミサイルの飛行コースの真下にある日本海の海岸線上の地点です。東京からは直線で約250Kmの位置にあります。ここからP2に向かってSM-3を発射すれば、P0のイージス艦からとほぼ同じ条件で迎撃が可能です。更に万一P2で迎撃に失敗した場合、P3から第二弾を発射すれば、P4のの地点で迎撃が可能です。

現在、わが国のイージス艦には弾道ミサイル迎撃用のSM-3が8発搭載されています。もちろん実際にはもっと多くのSM-3を搭載できますが、予算の都合上これ以上の数を確保できていません。通常1目標に対して2発のミサイルを発射しますので、先日のように4発撃ちこまれれば、その時点で弾切れとなってしまいますので、今後は搭載弾数の増加が望まれるところです。

これに対し、陸上にSM-3を配置した場合は、上図のようにP2とP4の2回迎撃のチャンスがあります。なので、最初は1発を発射して失敗したら次を発射する戦法を取れば、少ないミサイルを無駄にしなくて済むことができます。また、もし補充用のSM-3があったとしても、海上では補充作業を行なうことはできませんが、地上では可能です。以上を考えると大気圏外でのミッドコースを飛行中に迎撃が可能なイージス・アショアが有効なことが判ります。

THAADでは、P3からでは射程の関係でP2とP4との間のかなりP4寄りでの地点が迎撃が最初のチャンスになりますので、迎撃に成功しても残骸が地上部分に落下する確率が高くなる点で不利になりますが、終末での迎撃用としては射程も200Kmと長いので、重要エリアの防御に有効だと考えます。

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