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2017年5月26日 (金)

河野統幕長の憲法発言について

自衛隊のトップである河野幕僚長が、マスコミの求めに応じて憲法改正案について発言したことについて、一部野党やマスコミが更迭を求めるなど批判していますが、極めておかしな話です。

先日、安倍首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記した条項を加えることを提唱しましたが、このことについて5月23日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で開いた記者会見で、ブルームバーグの記者が

「安倍首相が今月初め、憲法を変えたいと発言した。今の日本国憲法、法律の中で、自衛隊には『今は制限されてできないが、今後していく必要がある、またはできるようにすべきだ』と考えることはあるか。『自衛隊の存在そのものが憲法違反だ』という考えの専門家もいるが、それについての考えを教えてほしい」

と質問したことについて、

自衛隊の役割の拡大については「政治の決定によるものなので、これについては私からお答えするのは不適当」だとしてコメントを避けましたが、安倍首相の改憲論については、

「憲法というのは非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思っている」

と前置きしながら、

「ただし、一自衛官として申し上げるならば、自衛隊というものの根拠規定が憲法に明記をされるということであれば、されることになれば、非常にありがたいなあとは思います」

とコメントしました。

このことについて一部野党やマスコミが、発言は自衛官の政治活動を禁止した規定に違反しているとか、改憲に賛成したのは憲法の順守を求めた公務員法に違反するとして追及していますが、憲法論議同様に形だけを捉えた極めて底の浅い主張です。

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以下引用が続きますので面倒くさいと思う人は色の付いた部分は読み飛ばして下さい。

まず、自衛官の政治活動の禁止についてですが、自衛隊法施行令では以下の行為を禁止しています。

第八十六条 法第六十一条第一項に規定する政令で定める政治目的は、次の各号に掲げるものとする。
 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。

第八十七条 法第六十一条第一項に規定する政令で定める政治的行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 政治目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること。

二 政治目的のために寄附金その他の利益を提供し、又は提供せず、その他政治目的を持つなんらかの行為をし、又はしないことに対する代償又は報酬として、任用、職務、給与その他隊員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て、又は得させようとし、あるいは不利益を与えようと企て、又は与えようとおびやかすこと。            
三 政治的目的をもって、賦課金、寄付金、会費若しくはその他の金品を求め、若しくは受領し、又はなんらかの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。

どうでしょうか、河野統幕長の発言は上記の規定のどこにも抵触していません。自衛隊法、および自衛隊法施行令が禁止する政治活動は 「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること」 と規定されている行為のみです。

また、憲法の遵守規定は以下の条項です。

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

ただし憲法には以下の改定条項があります。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。                           2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲  法と一体をなすものとして、直ちにこれを公布する。

国家公務員である自衛官が憲法を順守するのは当然ですが、その憲法には改正の条項がありますので、改正されたことについて発言することは憲法に背く行動とは言えません。しかも、改正案について仮に成立したならばありがたいと感想を述べただけで、改正することに強い賛意を示したとは言えません。

 自衛隊に関しては平成26年度の世論調査で92%以上の人が好印象を持っており、現状の憲法解釈の中で国民に幅広く存在を認められています。自衛官は任務の性格上、時には死を覚悟することを求められていますが、未だに憲法9条をめぐって、その存在を否定する勢力がありますので、自衛隊の最高指揮官である首相が、憲法に自衛隊の存在を明記する条項を追加したいと考えることは至極当然のことです。

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朝鮮半島の緊張感が高まっている最中に国の安全保障のトップに立つ統幕長を更迭すれば、隊員の士気は下がり、喜ぶのは超肥満の某指導者です。党利党略に走らず、冷静に安全保障を考えることが大切です。

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