年金運用先にクラスター弾製造企業と中日新聞が報道
中日、東京新聞のトンデモ記事については以前から取り上げていますが、これも悪意を持った恣意的な記事で、誤報に近い内容です。紙面でも取り上げていますが、WEB版はこちらです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201705/CK2017051202000124.html
記事は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用先に米テキストロン社があり、テキストロン社は米軍用のクラスター弾の製造メーカーであるから問題だとしています。
しかし、米軍はかつて中東地域などで多くのクラスター弾を使った結果、不発弾の多発を招き、民間人ばかりか、友軍の兵士にも被害が及んだことから現在も保有はしていますが、現在は新規調達を中止しており実戦では使用していません。ですから正確に言えば、かつてはクラスター弾を製造していたテキストロン社と言うのが正しい表現で、クラスター弾製造企業と言い切るのは事実誤認です。尚、テキストロン社は複合産業で防衛部門の他にベル・ヘリコプターやセスナ・エアクラフト・カンパニーなどを有しており、決して爆弾だけを製造している企業ではありません。
しかもクラスター爆弾禁止条約には米国以外にロシア、中国も参加しておらず、ロシアは最近もシリアの市民に対してクラスター爆弾を投下して多くの死傷者を出しており、非難すべきはむしろロシアの側です。年金の運用先の視点の記事ですから、その主張は一応認めるとしても、記事の内容に正確性を欠くのは頂けません。
中日、東京新聞は事あるごとに米軍や自衛隊を批判する記事を掲載していますが、仮にも平和を希求するジャーナリズムであるのなら、条約を批准しない中露の姿勢や今現在も市民の頭上にクラスター弾を平気で使用するロシアについてもっと言及すべきと考えます。
発射態勢を取る陸自MLRS (出典:防衛省)
陸上自衛隊のMLRS(多連装ロケット発射機)は、以前は上陸して来た侵略部隊に対処するためクラスター弾を保有していました。自衛隊はその性格上、自国国内での使用に限定されますので、廃止する必要はなかったと考えますが、政府が禁止条約に加盟したため、廃棄期限までにクラスター弾を全廃し、GPSを使って正確に着弾させる単一弾頭のロケット弾に更新しています。
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コメント
人間と言うものは一旦思い込んだことは容易に修正できないようです。この問題について今朝の中日新聞一面のコラム「中日春秋」が取り上げていますが、内容は昨日の記事と同様です。
テキストロン社は昨年9月に米軍の調達中止に伴い、受注が減少したことを理由にクラスター弾の製造中止を表明しています。つまり、現在は製造メーカーではありません。新聞は事実(敢えて真実とは言いませんが)を伝える義務があると思うのですが、どうも一番大切な事実確認を怠っているようです。
投稿: 雨辰 | 2017年5月13日 (土) 06時19分