北朝鮮の対艦ミサイル発射への対応に二階幹事長が不満
昨日、北朝鮮東海岸の元山から対艦ミサイル数発が発射され、200km飛行して我が国の排他経済水域の日本海の公海に着水しました。発射されたのは今年の軍事パレードに登場した火星3型とされる自走式の発射機の搭載された亜音速の対艦ミサイルと見られます。
ミサイルの飛距離や軌道から、国連安保理が禁止した弾道ミサイルではなく、着弾が我が国の排他的経済水域外であったことから政府は北朝鮮に抗議を行いませんでした。
これに対して自民党の二階幹事長は、北朝鮮による地対艦ミサイルの発射を受けて開かれた党北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部の幹部会合で、「だんだんと慣れっこになり、対応がおろそかになる心配もある。今日は政府も十分な対応はしていないように思う」と不満を表明しました。
しかし、先に述べたように禁止された弾道ミサイルの発射ではなく、この類のミサイルの発射実験はどこの国でも事前に海域を公表して行っており、事前の通告がなかったことを除けば抗議するまでの行為には当たりません。
このようなことで、いたずらに国内に波風を立てるより、もし我が国に対して攻撃を行った場合、どのような攻撃を加えるか検討した方が、はるかに有益だと思います。また、排他的経済水域に落下する弾道ミサイルを迎撃できないのか、と言った発言をする人がいますが、下図のような理由で、まずできません。
弾道ミサイルとイージス艦の位置を図に表したものですが、我が国を狙ったコースを取るミサイルの場合、SM-3を発射してポイントBやCで迎撃可能です。しかし、イージス艦のはるか手前に着水するコースを取った場合、SM-3が目標まで達するのに時間がかかるため、その前にミサイルは海に落ちてしまいます。
では、もっと前進していれば良いのではないかと思われるかも知れませんが、あまり前方に位置してしまうと、先日のようなロフテッド軌道での発射などに対応しずらくなりますので、迎え撃つ位置に相対する必要があります。従って初めから海に撃ち込む想定のミサイルを迎撃することは、意味がないだけではなく、技術的に困難です。
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