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2017年6月16日 (金)

加計問題、本日も迷走中

このブログに時々顔を出してくれる山奥さんは獣医ですが、例の偏在の問題で大変な激務を強いられ、現在はブログどころではない生活を送っています。加計学園の獣医学部新設は、既存の獣医学部の定員合計960名に対し、新たに定員160名の学部を新設して、獣医師の不足を解消しようとしたものだと、表向きは言われています。

しかし、ここまでの流れを見ると、新学部の開設で何がどう変わるのかがさっぱり見えて来ません。大学運営で実績のある京都産業大学が退けられ、加計学園に絞られた経緯の透明性が、政治的に歪められたのは昨日のメール問題を廻る文科省、内閣府、官房長官の対応を見ても明らかです。

もし、新学部開設で問題が少しでも解決するのなら良いのですが、見通しは全く見えません。そもそも、仮に新学部がオープンしたとしても最初の獣医師が誕生するのは6年も先のことです。現在獣医師の不足が深刻としながら、6年先までじっと待てると言うのもおかしな話です。

しかも現時点では必要な教員や実習牧場も確保できておらず、大学運営が正常に行われる目途は立っていません。また、獣医師は大学を出れば誰もが資格を得られる訳ではなく、国家試験に合格しなければなりません。従来の試験の合格率が85%ほどですが、新学部の入試ランクは相当低くなると見られますので、新卒業生の合格率はこれよりも大幅に低くなることが予想されます。

また、定員が増えたことによって誕生した獣医師が、現在求められている産業分野に就職する見通しは今のところ全くありません。新規学部への進学では多額の費用が必要になりますから、仮に全員が収入の良いペット医への道を選んでしまえば偏在の是正の目論見は潰えてしまいます。このような見通しがまるで立っていないのに、政治力を行使して、ただ作れ、作れと蠢いているのは滑稽でしかありませんが、それによって生じる結果は深刻です。

果たして内閣府がどのような調査結果を明らかにするのか判りませんが、日本の獣医師問題の根本的な解決につながる大局的な施策が望まれます。

Photo

産業動物、ペットに限らず獣医の存在は不可欠です。

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コメント

偏在している職業taurusに携わっている者として、渦中の大学(獣医師になる予定はありませんが)に子供が今年入学している親として、この問題には複雑な心境です。(゚ー゚;

ペット獣医師や製薬会社・研究機関に就業する獣医大学卒業生が多い理由...これは昔とかなり違う気がします。
獣医大学を志望理由、昔は、動物が好きが一番というのが多かったですね。
今は、偏差値が医学部に次いで高く、学力の高い子が受験しているため、人から尊敬され、高収入な職業に就くことが当然なことなのです。

公務員獣医師(特に家畜分野)は5K職場(きつい、危険、汚い、臭い、給料が安い)のため、最近の若者はせっかく入っても離職してしまいます。増してや、年間200万円以上の学費が必要な私立大学卒業生では、そんな低収入では親が許しません。

しかし、同じ公務員でも事務職は違います。私よりも給与は低くてもものすごく有能な人が沢山働いています。これは、最初の志の違いもあるかもしれません。公務員=国民の下僕、奉仕の精神なのです。(私が公務員になったころはこの精神を叩き込まれましたが)

新大学ができたとしても卒業生は6年後、しかし、これから大量定年退職者が出る時代に突入します。私のところも来年、再来年で約15名の退職者が出ます。加えて、過去の採用不足で中堅職員がおらず、行政組織として危機的状況です。

このような問題の打開策は、待遇改善により学生の目にとまるようにする(獣医師会では国に働きかけている)、大学教育での偏見を無くす(リクルートに行ったある国立獣医大学の就職指導の教授に、公務員獣医師になる学生なんてうちの大学には居ないと言われたことがあります)ことが必要です。

近年、やっと産業動物や公務員獣医師に関連した授業時間を増やす大学も出てきました。

地元に獣医大学があれば、その卒業生がその地域の公務員獣医師になる可能性はあります。山口大学でも毎年1、2名が山口県に就職しています。愛媛県を始めとする四国各県が大学の新設を切望する気持ちもわかります。

毎年、全国の公務員獣医師の募集人数は500名以上になります。(実際の就職者は2/3程度かな)

国会や審議会で、獣医師偏在の議論がされていないのが不満です。
特区・岩盤規制の打破というのなら、いっそ、動物看護士の国家資格を作り、注射や採血、検査は獣医師に代わってできるようにすればよいと思います。そうすれば、技術や知識を補完、監督する獣医師の数は少なくてすみます。
そのための新学部を大学は作るべきでしょう。

今の加計学園の獣医学部は、受験戦争に負けた動物病院の跡取り2世が法外な学費を払って通わせるそんな理念なき学部になりかねません。

加計氏の考えを是非とも聞きたいところです。

(駄文を長々書いてブログを汚してしまい申し訳ありません)

投稿: 山奥 | 2017年6月18日 (日) 22時49分

山奥さん、コメントありがとうございます。

まさに当事者のご意見、お待ちしておりました。ブログでのやり取り、その他で現場の深刻な状況はかねがね伺っていましたので、この問題に対する見解は是非聞きたいと思っていましたので、大変参考になりました。

この問題は論点がいくつかに分かれるのに、新学部ができれば全て解決するかのような政府の説明に、うさん臭さと疑問を感じていました。

やはり根本は需要と供給のバランスの問題で、待遇を改善しないことには使命感だけで解決しないと思っていましたが、見当違いでないことが良く判りました。

「動物看護士」制度は傾聴に値する素晴らしい提案だと思いますので、是非事あるごとに声を上げられてはどうでしょうか。微力ながら応援したいと思います。

投稿: 雨辰 | 2017年6月19日 (月) 09時53分

また、お邪魔します。m(_ _)m

日本獣医師会は獣医大学の新設や定員増に反対しています。これは、数年先にはペットを相手にした動物病院が歯医者のように余剰になると予測しているからです。
背景には、犬の飼育登録頭数(狂犬病予防接種頭数から算出)が年々減少(高齢化、若い世代の経済状況からペットを飼う人口が減少)していることがあります。

これ以上ペットの方に獣医師が流れれば、病院の死活問題につながります。
このような理由から、大学も手のひらを返したように最近では、公務員を学生に勧めています。

また、日本の獣医大学教育は海外と比較しレベルが高いとは言えず、日本で獣医師の資格をとっても海外で獣医師として認められる訳ではないのです。そのため、各大学では授業内容の充実を図るため、より多くの教員を確保しようとしています。
そのような中、新参の獣医大学に満足いく教員を集めることは相当に難しいことです。

政界で見れば、安倍総理の失脚を陰でしたたかに待っている麻生副総理は、獣医師会の議員連盟の会長でもあります。
加えて、日本獣医師会の藏内会長は福岡県会議員の経験を持つ異色の職歴を持ち、現在は自民党の県支部長で麻生氏の盟友です。
このあたりの駆け引きもあるのでしょう。

動物看護士制度は、過去に獣医師会や農林水産省で話題になったのですが、いつの間にか消えてなくなってしまいました。
(これも利権を考えた誰かの働きかけかもしれません)

獣医師免許は6年生の獣医大学課程を卒業しないと受験資格がありません。
私は、動物看護士は資格試験により幅広く受験できるようにすればと考えます。
つまり、専門大学(4年制)の卒業を待たず、動物専門学校や畜産学科、農業大学校の卒業生に一定技術(採血・注射・検査等)の取得を義務づけた上で資格を与えれば、来年からでも人材を確保することが可能です。

家畜という経済動物を取り扱うことを考慮すれば、ある程度のコストパフォーマンスを考えることも当然なことです。
改めて、獣医師会を通じ農林水産省等に働きかけていきたいと思っています。

(またまた長文ですみません)

投稿: 山奥 | 2017年6月19日 (月) 22時10分

山奥さん、再度のコメントありがとうございます。

動物看護士制度の件、獣医師会ルートだけでなく様々なルートからの働きかけが必要と思います。できればマスコミに取り上げてもらうのが効果的だと思いますので、うまく機会を活用して下さい。

さて、獣医師数が現在の水準で妥当かどうかは誰が判断するのが妥当なのかは本当に判りませんが、獣医師会が決めるのもおかしな話のような気がします。畜産業の動向も、TPPの実現が危ぶまれる現状では全く先が見通せません。

もし、米国が強引に農産物の輸入を押し付ければ、多くの畜産家は廃業に追い込まれてしまうでしょう。その中で将来を正確に見通すことは政治家抜きにしては語れません。

必要なのは利害関係者の利益を優先することではなく、この国の将来像を考えることで、あるべき農業の姿が明確になれば、そこに必要となる獣医師の数はおのずと見えて来るのではないでしょうか。今は物事の順序がグチャグチャの状態だと思います。

大変だと思いますが、現場からの声が一番だと思いますので、これからも声を上げ続けてください。

投稿: 雨辰 | 2017年6月20日 (火) 07時10分

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