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2017年7月24日 (月)

対艦ミサイルXASM-3実射試験の謎

先日も記事に取り上げましたが、我が国が開発中の超音速対艦ミサイルのXASM-3の実射試験が、退役した護衛艦の「しらね」を使って行われることになっていました。ところが、一旦舞鶴基地を出港した元「しらね」が再び舞鶴基地に戻ったことから、当初は試験は延期になったものと思っていました。しかし、その後ネットに掲載された写真を見て、いくつか疑問が沸いてきました。

疑問その1

元「しらね」の右舷舷側には白いペンキで枡目上に線が引かれています。これはミサイルの命中位置を映像から判定するためのものですが、帰港時には中心付近に目隠しのシートが掛けられていました。XASM-3は突入時にはマッハ1.5程度の速度と思われますので、仮に命中していれば、爆薬抜きだったとしても相当大きな損傷を受けると思うのですが、シート外の枡目が変形した様子は見られません。

疑問その2

元「しらね」の舷側には目立った異常は認められませんが、後部構造物、ヘリコプター格納庫付近には目隠し用のシートが目立ちます。

Photo

格納庫の上には対空ミサイルのシースパロー発射機と標的艦として改装された際に新しくポールが設置されていました。

Photo_2

ところが帰港後には発射機とポール、上部甲板もシートで覆われ、さらに発射機後方の壁に多数の飛散物が付着していました。

疑問1と疑問2は矛盾する内容です。つまり疑問1はXASM-3が命中しなかった可能性を、疑問2は後部甲板付近で何らかの爆発があったことをうかがわせる内容です。そこで、無い頭を捻って考えてみました。

疑問1について

まず、なぜシートで覆ったかと言えば、やはり何らかの物体が衝突した痕跡を隠すためだと考えるのが自然です。XASM-3は重量が約900Kgと言われています。対艦ミサイルの場合、一般的に重量の45%が弾頭の重量と言われていますので、残りの約500Kgが燃料とエンジン、機体の重量です。今回は試験と言うことで弾頭の火薬を積まず、燃料もほぼ空の状態で命中したとすれば、船体への損傷はそんなに大きくなかったのかも知れません。

ちなみにフォークランド紛争の際、アルゼンチン軍のシュペルエタンダール機からエグゾセミサイルを発射された英国駆逐艦シェフィールドは不発弾だったため、6日間持ち応えています。

今回はまず実際の船体を使って正確に目標をロックオンできることを確認するのが目的で、直前で自爆させたものの、勢い余って残骸が命中してしまったことも考えられます。

疑問2について

これも1と同様ですが、今回は1次試験で船体は次の試験まで温存した可能性が考えられます。XASM-3はレーダーホーミングミサイルですが、アクティブモードとパッシブモードを持っていると言われています。アクティブモードはミサイルがレーダー波を送信し、目標が反射した電波の方向に誘導して命中させる方式です。一方のパッシブモードはミサイルに向かって発信したレーダー波を受信して、発信したレーダーに向かって誘導する方式で、地上のレーダー基地を攻撃することが可能となります。

新設されたポールがレーダー波を模した電波を送信し、XASM-3がこれに向かって誘導され近接信管を使い、ポール付近で小規模な爆発を起こせば、このような状況になってもおかしくはないと思われます。

対艦ミサイルが目標のどの部分に命中したのか、または命中しなかったと言うのはミサイルの性能の評価に直結しますので、おそらく公表されることはないのではないかと思われます。従って、私の推測も立証されることはないと思いますが、今回元「しらね」がまさかの帰港をしましたので、少なくとも2次試験が行われることだけは間違いありません。

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コメント

> 直前で自爆させたものの、勢い余って残骸が命中してしまった
艦への命中個所がわかるほど近くまでミサイルを接近させたら、自爆しても破片が降り注ぐだけ。マッハ1.5って下手な機関砲弾より早いんですよ。
30mm機関砲でハチの巣にしたようになるだけかと。
破片が届かないほど手前で爆発させたら、命中予定個所なんてまったくわかりませんよ。
あなたの仮定はデタラメです。

投稿: | 2017年7月30日 (日) 14時58分

投稿: | 2017年7月30日 (日) 14時58分さん、コメントありがとうございます。

この件に関しては、今のところどこからも情報が出て来ませんので、シートの下がどうなっているのか想像するしかありません。

そもそも本来は見事命中させて、撃沈させる手筈だったのではないかと思いますが、再度帰港させたのは何故か?命中したのに沈没しなかったのは不発だったのか?命中したのなら船体に歪がみられないのは何故か?疑問だらけです。

自爆説は突飛かも知れませんが、船体で爆発せず、破損も見られないことを説明しようとすると、こんなことでも起こらないと説明が付きません。

投稿: 雨辰 | 2017年7月30日 (日) 15時31分

http://www.mod.go.jp/asdf/4dep/koukoku.deta/ZK01WEB.files/KLPS-F69220.pdf

これ見ればわかるけど、しらねを撃沈する気はないよ。
試験終了後、舞鶴に寄港するとこまでが予定。
沈まないようにスラスタブロックを使用しているはず。
最初の実験である今回はテレメータ弾を使用して直前で自爆かもとは思っている。
これは多分主と同じ推測かな?
まーぶっちゃけ公にはならんだろうから正解はわからんよねw
台風が近づいているから寄港したかもしれんしね

投稿: | 2017年8月 2日 (水) 08時39分

投稿: | 2017年8月 2日 (水) 08時39分さん、コメント&情報提供ありがとうございます。

教えて頂いた役務仕様書によれば、今月末までにもう5回曳航することになっていますが、天候の問題もありますからそんなにチャンスがあるのかちょっと疑問です。

仕様書の中に着弾跡をビニールシートで遮蔽するとありますので、本体が着弾したのはほぼ間違いなさそうですね。今回は終末誘導の精度を確認する試験だったと考えます。

あれから無い頭を捻って考え続けていますが、本体のマーキングは船体の中心部分で、リフレクターはその上部に取り付けられています。リフレクターは恐らくARHで索敵した場合に、リフレクターに欺瞞されずに船体中央部分に誘導されることを実証するためのものではないかと思われますので、シートの位置から判断して、ほぼど真ん中に命中しているのではないでしょうか。

投稿: 雨辰 | 2017年8月 2日 (水) 11時05分

投稿: | 2017年7月30日 (日) 14時58分さん

>>マッハ1.5って下手な機関砲弾より早いんですよ。

マッハ1.5以下の機関砲って何があるんですか?
下手にも程があると思うんですが

投稿: | 2017年8月14日 (月) 15時19分

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