北朝鮮の潜水艦を日本海で探知
日本の複数のメディアが、米CNNテレビが20日に複数の米国防当局者の話として、北朝鮮が潜水艦を自国から約100キロ離れた日本海で48時間連続で航行させていると報道したと伝えました。
このニュースは大変奇妙なニュースです。記事では潜水艦はSLBMの発射実験を行なう可能性があるとしていますが、100Km沖合からSLBMを発射する意味が判りません。領海は海岸線から12海里(約22Km)までです。100Kmはそこからわずか78Kmの沖合でしかありません。100Kmがどれくらいの距離かと言えば新潟県の上越市から富山湾を隔てた能登半島の先端までの目と鼻の先と言って良い距離です。北朝鮮は移動式の発射台を何十両と保有しており、事前に探知されることなく発射可能な能力を既に持っていますので、このような近距離でSLBMを発射することに、軍事的な意味は認められません。
100Kmがどれくらいかを見るために北朝鮮の東海岸を青く塗りつぶしてみました。我が国への影響はほとんど考えられないことが見て取れると思います。
また、自国から100Km離れた海域で行動していることや、48時間連続して航行していることを明らかになっていることは、完全に潜水艦の行動を把握していることを意味します。潜水艦の探知方法としては母港の沖合で待ち伏せし、後を付ける方法や、通信や排気のため潜望鏡やシュノーケルを海上に出したところをレーダーや赤外線探知機で捉える方法、哨戒へりから吊り下げ式のソナーを海中に沈めて潜水艦を探知する方法などがあります。但し、沿岸から100Kmの距離であれば北朝鮮のEEZ(排他的経済水域)内であり、相手に発見されるリスクが大きいので航空機による探知ではないかと考えられます。
国産哨戒機のP-1です。海面上の潜望鏡を発見することが可能です。北朝鮮の潜水艦はディーゼル式のため、時々浮上してバッテリーを充電する必要があります。恐らく夜間に海面近くに浮上して発電したり、本国と通信したりしているところを捕捉されたのではないかと考えられます。対潜水艦戦については日・米の能力が遥かに上回っています。
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