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2017年9月 6日 (水)

弾道ミサイル防衛強化を

昨日も書きましたが、安倍首相が「今後、陸上型のイージスを中心として抜本的な能力の向上をめざす」と述べましたが、具体的にどんな方策があるのかまでは、触れていません。恐らくは、そこまで確たる方針はまとまっていないのではないかと思われます。

先日北朝鮮が行った核実験の規模が、当初の想定を上回る160キロトンであったとの見解が出て、我が国への脅威が一段と高まったと感じる国民が多いのではないでしょうか。ただ、実際に核を使用すれば、米国は間違いなく最後で唯一の機会として、北に対する核攻撃に踏み切る可能性が高いのではないかと考えます。

我が国は弾道ミサイルを中間コースではSM-3で、終末段階ではPAC-3で迎撃する態勢を取っていますが、現行のPAC-3の最大射高(撃ち落とすことができる最大高度)はわずか20Kmです。PAC-3を配備した地点の直近での迎撃となり、仮に核弾頭を搭載していた場合には、周辺に核物質が落下することになってしまいます。もちろん、そのまま着弾するよりは、はるかに被害は軽減できるのですが、痛し痒しと言ったところです。

ところが、米軍がグアムや韓国に配備しているTHAADの場合は高度40Km以上150Km以下での撃墜が可能です。これであれば、落下物をはるか手前に落とすことになりますので、PAC-3よりは被害を軽減できる可能性が高くなります。可能性が高いと言うのは、落下物の位置によっては真下に都市がある場合もあり得るので、全く無害化できるとは言い切れないためです。

では、能力の向上についてどうするかと言った本題ですが、まずはSM-3ブロック2Aの導入です。SM-3ブロック2Aは射高1000Km(2300Km説あり)なので、ロフテッド軌道のミサイルでも、かなり高い位置で迎撃可能です。また、相手をキャッチするシーカーの能力が向上していますので、従来よりも高い確率で迎撃することが期待されます。

そして、万一撃ち漏らした場合の第二の矢ですが、先日取り上げた新型迎撃ミサイルです。

Photo

これは今のところ研究段階で、本格的な開発にまでは至っていないので具体的な数値は明らかになっていませんが、新たに開発を考えていると言うことは恐らくSM-6を念頭に置いたものと考えられます。SM-6は最大射高30km、射程370Kmと言われていますので、現在PAC-3や03式中SAMを配備している基地に配備すれば、広範囲のカバーが可能となります。

そして、私がこの新型迎撃ミサイルに期待しているのはTVCとサイドスラスタを備えていることです。一般的な迎撃ミサイルの場合、操舵翼(そうだよく)と呼ばれる翼を動かして機体の姿勢をコントロールして相手を迎え撃ちます。これを空力操舵(くうりきそうだ)と言いますが、空気が薄くなる高空では上手く舵が切れなくなる欠点があります。

Photo_2

SM-6における安定翼と操舵翼です。

しかし、TVCはミサイルの噴射口を動かして、サイドスラスタは機体の横からロケットエンジンなどのガスを噴射して姿勢を制御しますので、空気が薄くても機体の向きを大きく変えることが可能となります。SM-6やPAC-3の射高が30Km前後に留まっているのは、空力操舵の機体によるものではないかと思われます。従って、この新型迎撃ミサイルであれば、SM-6やPAC-3を大きく上回る高度での迎撃が可能となるのではないかと考えます。

中SAMはPAC-3やTHAADに比べてかなり安く導入できますので、この新型迎撃ミサイルをより多くの地点に配備できることになります。米国製の兵器の導入も止むを得ない部分もありますが、国産化でより多くの数をそろえることも重要ではないかと考えます。

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