木造名古屋城天守にエレベーターは設置しない方針
名古屋城天守の木造化に向け、現在発掘調査が行われていますが、16日に開かれた木造化についての有識者会議で、バリアフリーの問題が討議されました。この中で名古屋市は、江戸時代に築城された当時の姿をできるだけ忠実に再現するため、復元の際にエレベーターを設置しない方針を明らかにしました。ただ、障害者や高齢者への配慮として座ったまま昇降ができる、階段昇降機を設置し、各階ごとに利用できる車いすを用意することとしています。
現在の名古屋城の入場通路。内部にはエレベーターが設置されていますが、入り口に石段があるためここからは入場できず、天守外部に設置された外部エレベーターの利用が必要です。
名古屋城天守外側に設置された外部エレベーター。外観を大きく損なっています。
木造復元天守にエレベーターを設置しないことは、今後論議を呼ぶ可能性がありますが、私は英断だと評価します。城郭は文化財であり、木造復元は当時の姿を再現することに意義があります。できれば、できるだけ多くの見学者の利用を図るのが望ましいのですが、娯楽施設ではありませんので利便性を最優先することはできません。
現存する木造天守のある他の城でも、天守内部の昇降は当時の階段に限られており、車いすでの見学はできません。姫路城で、車いすの介助者がこのことを知らずに、現場で入場できないと聞かされて落胆している姿を目撃したことがありますが、文化財の保全と安全確保のためには仕方のないことだと考えます。
名古屋城に関しては代替手段が講じられるようですから、できればこの方針を貫いて欲しいものだと思いますが、木造化については2018年7月に全体の基本構想を決定することになっています。
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