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2018年2月28日 (水)

宇宙開発の意義

昨日は情報収集衛星を載せたH-ⅡAロケット38号機の打ち上げがあり、無事軌道投入に成功しました。これで32回連続で打ち上げに成功したことになり、成功率は37.4%となりました。日本のロケット応援団を自負する私としてはうれしい限りでしたが、これに冷や水を掛ける動きがありました。我が国の打ち上げコストは高すぎるから直ぐにも撤退すべきと言うのが論旨ですが、納得できません。

http://japan-indepth.jp/?p=38663

ライターは打ち上げ費用が高すぎるから自国開発を止めるべきと主張していますが、事実関係について認識が不足しているのではないかと思います。我が国は1970年にL-4Sロケットによって初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功し、今日へと続いています。

これに対し、お隣の韓国は政治的理由によって、ロケット開発に遅れを取り、2013年にロシアのアンガラロケットを使って人工衛星STSAT-2Cの打ち上げに成功していますが、未だに自前の打ち上げロケットを持っていません。この差は実に43年の開きとなりますが、要は我が国は自前のロケットを使い、必要な時に必要な軌道に衛星を投入できますが、韓国は他所の国に頼まないと一切の衛星を打ち上げられないと言うことです。

これのどこが問題かと言えば、相手が嫌だと言えば衛星の打ち上げができないことです。我が国はF-4戦闘機の後継に、最強の戦闘機と言われるステルス機のF-22を導入しようとしましたが、米国議会の反対にあって導入は叶いませんでした。今後、F-22と同じことが起こらない保証はありませんので、このことは肝に銘じておくべきだと思います。

また、記事では我が国の打ち上げコストが高く、下げる見通しも立っていないと断じていますが、現在の100億円近い打ち上げ費を50億円程度に圧縮するH-3ロケットの開発が進行しており、いずれ現在のコストを半減させる時期が到来します。

また、安いとされる欧州のアリアンロケットですが、アリアン5ロケットの1回の打ち上げコストは190億円程度掛かっていますので、2機または3機同時での打ち上げが必要となります。この為、ロケットの打ち上げには衛星が全て完成している必要があり、打ち上げのタイミングを縛ることになります。またアリアン5ロケットの開発には1兆500億円が投じられており、3900億円のH-2/H-2Aの開発費に比べて、6600億円多く掛かっています。

これが、どれ位の金額かと言うと、アリアン5型は全部で98機打ち上げられており、6600億円を98機で割ると、1機当たり67億円以上高くついていることになります。つまり、H-ⅡAよりも安い打ち上げ費用だったとしても、そこに67億円を加えればアリアンロケットはH-ⅡAにコストで負けていると言うことです。
また、機体の再利用を考えていないと決めつけていますが、現段階で来年度にも再利用に向けたロケットの離着陸実験を行うとしていますので、この指摘は全く当たっていません。

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00458727

米国では、スペースX社のファルコンロケットが市場参入するまで、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが製造するデルタロケットが延べ300回衛星の打ち上げを担っていましたが、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスもロケットの再利用については実用化できておらず、一概にJAXAの現状を非難されることはないと感じます。またJAXAでは来年度に再使用ロケット実験機の離着陸飛行実験を行う予定となっており、そう遠くない将来、ロケットの再利用に目途を付けるのではないかと考えます。

いずれにしても、自前のロケットを持ち続けることが科学技術の進歩や国の安全保障に直結するだけに、目先の事象に捕らわれない、長期の視点を持つことが必要だと考えます。

Ha31

H-ⅡAロケット31号機の打ち上げの瞬間です。

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