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2018年2月19日 (月)

ミサイル攻撃受けるから原発反対は正論か

今年の冬は寒波が強く、日本海を中心に近年にない大雪となっています。福井県などでは除雪が追いつかず、物流にも大きな影響が出ましたが、このような時に暖房に使える電気の存在は大げさに言えば生命線と言っても過言ではありません。先に関東地方が雪に見舞われた際には暖房のための電力消費量が急増し、もう少しで供給に赤ランプが付く寸前までになったようです。

私は電力の安定供給と地球温暖化対策として原発を容認する立場ですが、先日某大学教授でもある国際政治学者がUAEの原発が南イエメンの反政府勢力から巡航ミサイル攻撃を受けたことを引き合いに出して、原発の安全性に異論を唱えると受け止められる主張をしているのを聞いて違和感を覚えました。

ミサイル攻撃が行われたのは昨年の12月3日で、南イエメンで内戦を繰り広げている武装勢力のフーシ派が、対立する相手方を支援するUAEが建設中のバラカ原子力発電所に向けて巡航ミサイル攻撃を行い、発射の模様を動画サイトで公開して攻撃能力を世界にアピールしました。反フーシ派勢力に対しては同じスンニ派のサウジアラビアがUAEと同様に支援を行っています。

動画の映像から、使用されたのは外観の特徴から旧ソ連が開発したKh-55巡航ミサイルであることが判明しています。このKh-55を運用しているのはロシアとロシアの兵器工場の立場を取っていたウクライナですが、イランがウクライナから不正な手段でこのミサイルを入手して、無断でコピー品を作り上げてしまいました。ただし、元々重量が1.7トンもあるKh-55は航空機から発射する仕様ですが、爆撃機を保有しないイランはこれにブースターを付けて地上発射型にして運用しています。

イランは同じシーア派であるフーシ派を支援して武器の供与を行っており、今回使用した巡航ミサイルはイラン製の「スーマール」と見られています。またフーシ派はサウジアラビアに向けても弾道ミサイルによる攻撃を行っていますが、アメリカはミサイルの残骸からイラン製の部品が見つかっており、ミサイルはイラン製であると主張していますが、こちらは弾道ミサイルの「ギヤーム1」と見られています。

さて、原発がミサイルの標的になるから稼動させるのは危険だと言う主張についてですが、これは如何なものかと思います。一般市民の安全を守ることを定めたジュネーヴ条約の追加議定書によれば、ダムや原発についての攻撃を禁止する項目があり、イエメンも1990年にこれに受け入れており、もしこれらを行なえば明確な国際法違反となります。

従って、敵対国から攻撃される恐れがあることを理由とすれば、ありとあらゆるものが危険だからと使えなくなってしまいます。例えば新幹線は一度に1000人以上が乗車していますが、鉄橋に差し掛かるタイミングで鉄橋にミサイルを突入させれば大変な犠牲者を出すことになりますし、化学プラントも有害な薬品を大量に使用していますので、攻撃されれば大きな被害が想定されます。かつてインドで薬品工場で事故があった際は数百人の死者を出しています。

このように攻撃される恐れがあるからと、一度相手の無言の恫喝に屈してしまえば、次から次へと相手は嵩にかかってこちらの社会インフラを抑えにかかります。良く、北朝鮮が弾道ミサイルを原発に撃ち込んだら困るのでと言う主張をする人がいますが、あり得ない想定です。非核保有国の我が国に核攻撃自体があり得ませんし、核を使うなら原発を使う意味がありません。また、通常弾頭で原発を狙うこと自体にも意味がありません。そのようなことをすれば、自国が同様の反撃を受けても文句は言えず、北朝鮮が消滅することになるからです。

従って、原発が攻撃されるからといった想定はする必要がなく、純粋に原発が必要か否かを議論すべきだと考えます。

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