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2018年3月 3日 (土)

残念な九代目林家正蔵の増長

三遊亭好楽の3番弟子で5月に真打ちに昇進する三遊亭好の助の「林家九蔵」襲名が取り止めになるそうです。。「林家九蔵」は好楽が、8代目林家正蔵に入門し17年間名乗った名前でしたが、8代目の没後に5代目三遊亭円楽門下に移り、好楽と改名したいきさつがあります。

今回、弟子の好の助の真打ち昇進を機に、愛着のある前名の九蔵を贈ることを決め、8代目正蔵の遺族や一門の兄弟子の林家木久扇に相談し了解を取り付け、好の助を3代目九蔵とすることで、昨年末に所属する「5代目円楽一門会」で発表し、襲名に向けて準備していました。ところが、9代目の林家正蔵と正蔵の母である海老名香葉子氏から九蔵襲名にクレームが付き、襲名を断念することとなりました。

その理由と言うのが何とも理不尽なもので、正蔵曰く「三遊亭に行かれたんだし、その一門で林家はおかしいでしょうというお話はしました。(落語)協会を出て行った方ですし、落語界であしき前例を作るのは良くないとは申し伝えました。名前を取り上げるとかそういうことは言っていません」とのことですが、正直呆れ果てました。

そもそも噺家の亭号(三遊亭や林家などの名字に相当するもの)は自由で、他人にどうこう言われる筋合いは一切ありません。また、九蔵の名前は師匠の8代目が好楽に名付けたもので、海老名家とは一切のかかわりがないものです。しかも好楽が林家門下から三遊亭門下に移ったのは師匠の8代目正蔵が死去したことによるもので、好楽個人の責任ではありません。

9代目は自分一人で大きくなったようなつもりでいるようですが、正蔵の名跡が今日までつながったのは8代目の功績が大変大きかったことによるものです。形の上で7代目の遺族であった蛯名家から借りた形になりましたが、8代目が大いに精進して大切に守り、遺児である9代目に継がせるために生前に返却して自身は彦六を名乗って身を引いた訳で、蛯名家は8代目関係者に感謝こそすれ、文句を言える立場ではありません。

しかも円楽一門が落語協会を離脱していることを揶揄していますが、これも6代目三遊亭圓生が、真打の粗製乱造に業を煮やして反旗を翻したもので、師匠の方針に弟子である好楽が逆らえないのは当たり前のことなのに、この期に及んでそのことを取り上げるのは人間性が欠落しているとしか思えません。こんな人間が人情噺を演じるなど、それこそ笑い話です。

また海老名香葉子氏は林家三平の未亡人ですが、7代目にとっては息子の嫁の立場でしかなく、噺家でもないのに他人の襲名に横槍を入れるとは恐れ入谷の鬼子母神です。正蔵が奇しくも言った「落語界に悪しき前例を作るのは良くない」はそっくりそのまま海老名家に返してやりたい心持です。   

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