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2018年3月23日 (金)

奥多摩遭難事故について

21日、奥多摩の三頭山(みとうさん、標高1531m)を目指した13人の登山グループが道に迷い、深夜に捜索隊に発見される遭難事故がありました。翌22日に6人は救助隊に付き添われ、自力で下山しましたが、7人がヘリコプターで救助されました。幸い全員命に別状はありませんでしたが、30代の女性は骨盤骨折の大けが、低体温症や凍傷を負った人もいたと言うことです。

登山当日は各地に大雪警報や注意報が出されており、登山を計画した男性も大雪が降ることは知っていながら登山を決行したと言うことです。何か登山以前の問題が満載のような今回の遭難騒ぎについて考えてみたいと思います。

まず、今回の遭難については詳細が明らかにされていません。当初は三頭山からヌカザス山に向かう途中で遭難との第一報でしたので、てっきり下山中かと思ったら、実はヌカザス山から三頭山への登りの途中だった訳ですが、具体的な地点も山頂からどちらの方向なのかも不明です。入手できる情報から勝手に遭難地点を想像してみました。

Photo_3

国土地理院の電子地図「地理院地図」を加工したものです。

遭難者の話として頂上に向かう途中の分岐点で道に迷ったとのことです。登山地図を見ると1350m付近に一旦南に向かい、その後西に下る山道があるので、恐らくこの道に入ってしまったのではないかと推測します。

では、問題点を見て行きます。今回の登山グループは登山口の奥多摩駅で顔を合わせた混成パーティで、元々は計画者の中国人男性がSNSで参加を呼び掛けたものでした。このような形態は近年流行っているようですが、それぞれの力量や思惑が合致しないとトラブルの元となります。

今回は当然雪の中での行動が予想された訳ですが、参加者の中にスニーカー履きのメンバーがいた時点で中止しなければいけませんでした。また雪のある山では万一を考えればアイゼンの携行が求められますが、スニーカーの時点で論外です。また、登山開始が午前10時頃だったとのことですが、雪がない季節でも、登山口から三頭山頂上までは一般的なコースタイムで3時間半です。従って、昼食などの休憩時間を除いても頂上到着は午後1時半になってしまうので、登山開始の時間も不適切です。

結果的に頂上に辿り付けなかった訳で、恐らくヌカザス山あたりで12時を回ってしまったと思われましたので、遅くてもこの時点で引き返すべきでした。計画者の男性は「危険だと思ったが、どんどん先に進むメンバーがいたので」と語っていますが、グループ全体のことが考慮できないメンバーの行動に付き合う必要はありません。一番弱いメンバーが安全に下山することが一番大切なので、ここでグループを分割しても下山を決意すべきでした。

最終的に午後6時になっても頂上に着けず、7時45分に救助要請をしていますが、この判断も遅すぎます。当日の天候では足元が午後6時前には視界が利かなくなってしまったと考えられ、途中で滑落して腰を骨折したのもそういう状況と無関係とは思えません。通常の下山ができなくなってしまったと判断された時点で、安全な場所を確保していれば、余裕を持って夜を迎えることができ、疲労から来る衰弱を防ぐことができた筈です。

救助隊が一行を発見できたのは日付が変わった頃ですから、犠牲者が出なかったことは不幸中の幸いだったの一言です。「里は春でも山は冬」とは言い尽くされた言葉ですが、スマホの扱いには長けていても、このような登山の常識さえ知らずに登山をしてしまうのは本当に困りものです。

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