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2018年3月 2日 (金)

長距離空対空ミサイル保有論

先月の20日、ロシアの戦略爆撃機Tu-95 2機が北海道から沖縄までの太平洋沿岸域を往復飛行し、小野寺防衛相が記者会見で懸念を表明しましたが、これについてはあまり心配する必要はないのではないかと考えます。これはロシアが我が国の太平洋側までノコノコ攻撃に出て来ることは考えにくいからで、この飛行は情報収集、もしくは長距離飛行訓練目的と考えるのが妥当ではないかと思われます。

Tu95

2月20日のTu-95の飛行ルート (出典:防衛省)

それよりも懸念されるのは中国軍機で、最近は盛んに我が国周辺を情報収集機が飛行して電波情報を収集しています。これに対しても空自機がスクランブルをかけて対処していますが、空自機の装備は中射程のAAM-4と短射程のAAM-5で、AAM-4の射程は100Kmほどと言われています。

中国軍の装備で注意が必要なのがH-6爆撃機で、航続距離が6000Kmで空中発射式の巡航ミサイル4発を搭載可能です。こちらは長い航続距離を生かして、太平洋側から我が国の基地を遠方から攻撃する能力を持っているからです。

これに対して100Kmまで接近して攻撃しても、それ以前に巡航ミサイルを発射されては何にもなりません。従って、より遠方からより発射できる射程の長い対空ミサイルが必要になるのではないかと考えます。

Photo

上の地図は中国本土から空自の那覇基地、築城基地までの距離ですが、中国の沿岸域からでも十分巡航ミサイル攻撃が可能なことが判ります。現在のF-35B導入論議もこうした中国の巡航ミサイル攻撃を考えた場合の対応策の一つですが、長射程対空ミサイルの保有も巡航ミサイル攻撃に対して有効ではないかと考えます。我が国は超音速対艦ミサイルのASM-3を開発しましたが、手っ取り早いのが、これを対空ミサイルに転用する方法です。対空ミサイルを対艦攻撃に用いる戦術がありますが、こちらはその逆バージョンです。対艦ミサイルは対空ミサイルのような機動性はありませんが、相手が爆撃機なので超音速で飛行すれば十分命中可能なのではないかと思われます。

Photo_2

マッハ3で飛行すると言われるASM-3の概念図です。

ASM-3の射程は公表されていませんが、一説には200km前後ではないかと言われています。これは相手の探知を避けるため、空気密度の濃い海面すれすれを飛行するためで、空気抵抗の少ない高空を飛ぶことで射程は倍以上に伸びると考えられます。ロシアの超音速対艦ミサイルP-800は低空飛行では射程120Kmですが、高空を飛行した場合は300Kmと倍以上になっており、ASM-3も当然400Kmは超える筈です。しかも対空ミサイルの場合は対艦ミサイルよりも弾頭重量を軽くできるので、更に射程を長くできると思われます。

長射程の空対空ミサイルを保有することで、相手の攻撃パターンを制限できますし、侵攻時に随伴するであろう早期警戒管制機にも対処できますので、防衛力強化に資するのではないかと考えます。

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