台湾の潜水艦自主建造を米政府が承認
米政府が台湾の潜水艦自主建造の意向に対し、米企業の参加を許可したことが明らかになりました。台湾は潜水艦4隻を保有していますが、2隻は米国が供与した第二次大戦直後に建造された老朽艦で、残りの2隻も80年代後半にオランダで建造された海龍級(水中排水量2600トン)で、艦齢は30年と旧式化しています。
このため外国からの導入を画策しましたが、中国の圧力によって実現せず、米国に供与を打診していました。ところが米国は潜水艦は全て原子力推進方式に移行してしまい、通常動力の潜水艦を建造する能力を持っていません。仕方がないので台湾は自主建造を決意しましたが、潜水艦の建造経験がなく、技術的に自主開発が困難とみられる要素については外国からの導入が必要とされていました。
潜水艦の建造については高い技術力が求められますが、潜水艦を次々と輸出していた本家のドイツでさえも技術力の低下からか、保有する6隻の潜水艦が全てドック入りする始末で、稼働艦がゼロとなっており、ドイツから技術を移転して建造した韓国も同様の事態となっています。
台湾周辺の地図です。 (出典:地理院地図 ※地名を追記)
台湾と同様に中国と隣接するベトナムはロシアからキロ級の潜水艦6隻を導入しましたが、台湾はそれを上回る8隻を建造したい意向のようです。台湾の地理を見れば、潜水艦問題が我が国にとって重大な問題であることが判ると思います。中国の潜水艦基地は東シナ海の浅い海域に面しているため、太平洋に出るには宮古海峡を通過するしかなく、それでは都合が悪いと海南島の潜水艦基地に原潜を配備しています。しかし、太平洋に出るには、やはり台湾・フィリピン間のバシー海峡を通過するしかなく、チョークポイントとなります。従って、台湾海軍の潜水艦が更新され、増強されるのは我が国にとっても大きな利益となります。
今のところ表立って台湾政府からの技術援助の要請はないようですが、もしかしたら米国を迂回する形での技術・製品提供の可能性もないわけではありません。しかし、ただでさえ日中間の摩擦が問題となっていますので、実現させるためには外交問題化させないための工夫が求められるのではないかと思われます。
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