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2018年7月20日 (金)

イージスアショアのレーダー問題

北朝鮮の核廃棄問題は、どうやらトランプ大統領が中間選挙への実績づくりを焦って十分な検証の確約をしなかったことが裏目に出つつあり、抑止力としてのミサイル防衛の重要性が返って注目される事態となっています。一方で国内では、地上配備型イージスシステムのイージスアショアの配備が予定される地元の県知事が配備の妥当性について疑問を呈していますが、丁寧な説明が求められます。

さて、そのイージスアショアについて困った事態が発生しています。イージスアショアはイージス艦に搭載されたイージスシステムを、そのまま地上に移設したもので高性能なSバンドのレーダーで捉えたミサイルや航空機の機影を高性能なコンピューターで計算し、最適な迎撃位置で迎撃するシステムです。現在はレイセオン社のSPY-1レーダーが使われており、その探知距離はおよそ500Kmと言われています。

一方、迎撃ミサイルのSM-3が射高500Kmのブロック1Aから射程高1000Kmのブロック2Aに更新されることで、より長距離で運用できるSPY-6レーダーが開発され、2022年から配備される艦船に搭載されることになっています。我が国も当然SPY-6の導入を希望していますが、これに対し米国のミサイル防衛局が最新レーダーを供与することに対して反対を表明しており、導入できるかが不透明になっています。

このような事態を踏まえて、アラスカに設置予定のLRDR(長距離識別レーダー)を開発したロッキード社がLRDRを転用したSSRを供給できることを表明して、イージスアショア商戦に参入しようとしています。基本的な構成は変わらないので、性能についてはどちらも大差はないものと考えられますが、SPY-6は多くのイージス艦に搭載されるのでメンテナンスの上で有利なのに対し、SSRは今のところ日本以外に導入を検討しているところはありませんので、メンテナンスやバージョンアップの方向性が不透明です。また、艦載用のイージスシステムと地上用のシステムとで、運用面の差があることも統合的に運用する上で好ましいことではありません。

とは言っても、我が国が導入予定の2023年にSPY-6を供与される見通しが立たない以上、SSRを排除することもできません。この問題の決定権が米国側にある以上、我が国ができることは限られますが、今現在、問題解決に向けた我が国政府の動きが見えませんんで、早急な働きかけが求められます。

Photo

イージスアショア。建物右側上部の白いものがSPY-1レーダーです。 (出典:防衛省)

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