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2018年8月 3日 (金)

イージスアショアの妥当性

このところニュースでイージスアショアを取り上げる頻度が増しています。我が国の安全保障について考えるのは良いことなのですが、誤った理解は困りものです。今朝の中日新聞がイージスアショアについて社説で取り上げていますが、ちょっと首をひねりたくなる内容でした。以下引用(主要箇所の抜粋)です。

地上イージス 巨費投じる妥当性欠く

地上配備型迎撃システムの導入経費は三十年間で約四千六百六十四億円に上る。緊張緩和の流れに逆行し、二カ所の配備候補地には反対・慎重論もある。巨費を投じる妥当性を欠くのではないか。

しかし、六月の米朝首脳会談を受け、日本政府は北朝鮮からミサイルが飛来する可能性は低いと判断し、北海道や中国・四国地方に展開していた地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の撤収を始めている。緊張緩和の流れにある中で、迎撃態勢を逆に強化するのは矛盾ではないのか。

三十年間の維持・運用費を合わせると二基で約四千六百六十四億円。ミサイル発射装置や用地の取得費は含まれておらず、全体ではさらに膨れ上がるのは必至だ。

しかし、イージスシステムは強力な電磁波を発し、健康被害も心配される。攻撃対象になる可能性も否定できない。配備候補地の周辺住民が懸念するのは当然だ。

国民を守るべき防衛装備が、国民を危険にさらしては本末転倒だろう。地元の懸念を顧みず、暮らしを踏みにじってまで導入を進めることがあってはならない。

まず、導入経費が30年で4664億円とあるのは「導入費+30年間の運用費」の誤りです。後半で「三十年間の維持・運用費を合わせると二基で約四千六百六十四億円」と言っているので全く理解していない訳ではないようですが、理解が不十分です。

導入費+30年間の運用費+ミサイル費用の合計額は、SM-3ブロック2Aを48発として現段階で約6600億円です。これを先日進水した最新型のイージス艦2隻分の費用を同様に算出すれば、SM-3ブロック2Aを各8発+その他のミサイルで約8000億円となりますので、費用だけを取ってみればイージスアショアの方が経済的だとさえ言えます。

イージスアショアの導入について、米朝会談を引き合いに出していますが、合意声明で謳われた非核化について全く進展は見られず、非核化についての道筋も明らかになっていません。しかも、北朝鮮は現在もICBMの生産を続け、核弾頭用の核物質の生産も行っていると報じられています。

つまり、現在は双方の思惑で、緊張が一時的に緩和しているだけで、この先従来以上の対立が再現される可能性はかなり高いのではと考えられますので、将来に向けてミサイル防衛体制を強化するのはむしろ当然ではないでしょうか。

電磁波の健康問題については既に運用されているハワイやルーマニア、同様の電磁波を使用している国内の各レーダーサイト、導入時に大反対が起きた韓国でも一切の健康被害は報告されておらず、現段階では全くの杞憂と言えるのではないでしょうか。

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航空自衛隊御前崎分屯地のJ/FPS-2レーダー(右端のドーム)です。

攻撃対象になる可能性については先日も取り上げましたが、その可能性はありますが攻撃を受けると言うことは、相手が我が国を攻撃する際に邪魔になるからです。つまり、配備されていなければ、それだけ相手は攻撃しやすくなるだけなので、あってもなくても攻撃されることには変わりがありません。但し、なければ手も足も出ませんが、あれば迎撃できる可能性が高いと言うことなので、大きなメリットがあると考えられます。

「国民を危険にさらす、暮らしを踏みにじる」ものであると言うのはいかがなものでしょうか。

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