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2018年10月22日 (月)

米国がINF禁止条約破棄の意向を表明

米国のトランプ大統領が、ロシアがINF(中距離核戦力)禁止条約に違反して新型ミサイルを開発したとして、条約を破棄する意向を表明しました。INF禁止条約は射程500Kmから5500Kmまでの弾道ミサイルの保有を禁止するものですが、これはICBMの発射と誤認して全面核戦争になることを避けるために米・ソが1987年に合意して締結されていました。

核保有国は「相互確証破壊」と言う理念を持っています。これは、もし相手が核による先制攻撃を仕掛けて来ても、残った核兵器で相手を壊滅できるだけの攻撃を行うことで、相手の核攻撃を思い留まらせることができると言う考え方です。

ICBMの場合、例えば6000Km離れた相手を秒速5Kmで飛ばしても、着弾までに20分かかります。これが1000Kmですと秒速3Kmでも6分ほど着弾します。もし、通常弾頭の弾道ミサイルを比較的短い距離で発射した場合、相手方がそれを自国にとって脅威となる存在かどうかを判断する時間が非常に短くなるために過剰に反応する可能性が出てきます。INFはこうしたケースでのトラブルを避けるために結ばれたもので、米国はパーシングⅡ、ソ連はSS-20を廃棄することになりました。

もう一つの核大国中国はINF禁止条約とは無関係ですから、日本全土を射程に治めるDF-21など射程2000Kmの弾道ミサイル多数を配備しています。もし米国がINF禁止条約を廃棄すれば、これまで保有できなかった中距離の弾道ミサイルを保有することができますので、中国にとっては新たな脅威になるかも知れません。

現在、米国は米本土の地下サイロに治めたミニットマンとオハイオ級戦略原潜に搭載したトライデントミサイルの2本立てですが、どちらも本土及び近海に展開していますので、発射後の飛翔時間は長めとなります。これが射程が短くなれば、それだけ相手の近くで発射することになりますので、相手の対処時間が短くなり、従来よりも迎撃が困難となります。

Slbm

SLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)搭載した潜水艦の概念図です。

トランプ政権の出方によって、各国の核戦略が大きく影響を受けることになりますので、今後の動向が極めて注目されます。

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