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2019年7月 1日 (月)

大阪城エレベーター問題

G20での安倍首相のスピーチに波紋が広がっています。事の発端は28日に開かれた夕食会での挨拶で大阪城に触れ、現在の天守は今から90年ほど前に復元されたものであることを説明しました。発言の要旨についてNHKニュースからの引用です。

~大阪のシンボルである大阪城は、最初に16世紀に築城されました。石垣全体や車列が通った大手門は17世紀はじめのものです。150年前の明治維新の混乱で、大阪城の大半は焼失しましたが、天守閣は今から約90年前に、16世紀のものが忠実に復元されました。しかし、1つだけ、大きなミスを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました。~

勿論エレベーター云々は笑いを取ろうとしたためのジョークです。額面通りに、誤ってエレベーターを設置したと考える人はいないでしょう。しかしこのスピーチについて、障害者団体などからバリアフリーを無視するものだと非難の声が上がっていますが、私は、この抗議の動きは過剰反応ではないかと考えます。

第一に、誰がどう見てもエレベーターの下りは真面目な主張ではありません。各国の首脳を和ませるためのくすぐりであって、正面からバリアフリーを否定している訳ではありません。
第二に、歴史的建造物にまでエレベターの設置が求められるのか、と言うことです。現在、我が国には姫路城など12城に木造の天守が残っていますが、どれも築城当時の姿を残しており、エレベーターなどは設置されていません。また、大洲城、白河小峰城、掛川城などで木造で天守が復元されていますが、こちらもエレベーターは設置されていません。

公共施設などのバリアフリー化は大いに推進されるべきと考えますが、歴史的建造物の復元に当たり、エレベーターの設置が必須であるとは思いません。城跡は全ての国民にとって、後世に伝えるべき文化財です。明治以降、多くの城で折角残っていた貴重な建造物が取り壊されてしまいました。近年、このような失われた天守を木造で復元しようとする動きが各地でみられるようになっています。中でも名古屋城については、同様にエレベーター論争が起きましたが、河村市長はかつての姿を忠実に再現したいとして、エレベーターは設置しないことを表明しています。

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木造で復元された小峰城の御三階櫓(事実上の天守)です。

文化財について、できる限りかつての姿を忠実に復元するためにエレベーターを設置しないことは、障害者を無視することとは違います。自力で歩行することができない方も、見学する権利があるとの主張も理解できます。しかし、何が何でもエレベーターを設置すべきとの主張は賛同できません。エレベーターの設置には、そのために構造に手を加える必要がありますし、本来あるはずのスペースを、削らなければならなくなるからです。エレベーターとは違いますが、現在はアシストロボットなど、様々なツールが開発されており、いずれこれらのツールを使って障害のある方の見学も可能になる日が来るのではないかと思います。何が何でも設置しろではなく、冷静な議論が必要ではないでしょうか。

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