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2019年8月13日 (火)

核兵器廃絶は夢のまた夢か

8月6日、9日は広島・長崎に原爆が投下され、多くの民間人が亡くなった日ですが、毎年首相が列席して追悼式典が行われています。その席上、出席者からは必ず、この世界からの核兵器廃絶を、との言葉が聞かれますが、残念ながら、現実には核保有国は増え続け、新たな兵器の開発が行われています。あの日から79年が経ちますが、核廃絶どころか、非保有国の核保有願望は強まるばかりです。

そのような中、長崎の原爆の日を翌日に控えた8日、ロシア北部アルハンゲリスク州のニョノクサでのロシア海軍の実験場で爆発事故があり、立ち会っていた軍人と国営原子力企業ロストアムの社員が事故に巻き込まれ、社員5名が死亡したと言うことです。この事故で、ニョノクサの当局者は、周辺の放射能の値が一時的に上昇したと発表しています。ニョノクサは原子力潜水艦の建造拠点があるセヴェロドヴィンスク市の西30Kmに位置しますが、どちらも軍事機密の壁に包まれた「閉鎖都市」であるため、外部の人間の出入りが厳しく制限されており、詳しいことは明らかになっていません。

ロシアの公式発表は「液体燃料式エンジンの爆発事故」と言うだけで、詳細についての論評を拒否していますので、果たしてどのような事故だったのかは推測の域を出ません。しかし、爆発によって周辺の放射能の数値が上昇したと言うことは、何らかの原子力関連の装置が爆発または、破損したとしか思えませんし、液体燃料式エンジンに核物質は必要ありません。そこで疑われるのが、原子力ジェットエンジンです。通常のジェットエンジンは、高圧に圧縮したタービン内で燃料を燃焼させ、排出する排気ガスによって推進します。これに対し、原子力ジェットエンジンでは、小型の原子炉の炉心に空気を導入し、高温に熱せられて膨張した空気を輩出して推進力を得ます。排気には直接炉心に触れることから放射能が含まれます。ロシアはこの小型原子力ジェットエンジンを搭載した巡航ミサイル「ブレヴェスニク」を開発しています。

巡航ミサイルですから当然目標に突入して原子炉は破壊されますので、核物質をまき散らすことになりますが、そもそもが核弾頭を搭載して長距離を飛行させるのが目的ですから、核物質の飛散については無視されています。今回の事故にの詳細について、ロシア当局が公表したくないのはこうした図式を隠蔽したいことや、事故の被害が深刻である可能性が考えられます。あのチェルノブイリ事故でも、当初は過少に報道していましたので、可能性が全くないとは言えません。米国も偵察衛星や、大気中の放射能を監視していますので、どのくらいのクラスの事故だったかについては、ある程度の情報は得ているものと考えられます。

いずれにしても、米・ロ・中の三国が大量の核兵器を保持し、削減の動きが見られない中で、新たな原子力の軍事利用の疑いが強まったことは、核軍縮どころか、軍拡競争が密かに続けられている現実を突きつけるもので、今後も厳しい監視の目が必要と思われます。

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