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2020年6月22日 (月)

中国潜水艦が暗躍

防衛省によれば、今月18日午後、奄美大島北東の接続水域を潜水したまま航行している潜水艦1隻を発見、哨戒機、護衛艦による監視を続けたところ、20日に横当島の南の海域に達し、西進を続けたとのことです。航行の状況から、中国海軍の潜水艦と見られています。

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奄美大島周辺の地図です。 (国土地理院「地理院地図」を加工)

潜水艦は矢印の位置を航行したものと思われます。接続水域は領海の外側12海里の水域で、一応自由航行が認められています。航行の状況から、中国の基地を出航、西太平洋、もしくは日本近海で活動した後、中国の港に帰港のため、当該の水域を航行したものと思われます。発見後は、P-1、P-3C哨戒機、イージス艦を含む護衛艦3隻で追跡し、航行を監視したようですが、問題は発見以前の行動です。

我が国は領海周辺及び排他的経済水域内における他国軍艦の行動に目を光らせています。特に潜水艦については、潜航したまま航行している場合には発見が難しいため、ソナーなどを利用して、その行動を厳しく監視しています。今回、奄美大島に接近した段階で発見したことになっていますが、それ以前の位置については言及されていません。これは、それ以前の行動について、全く把握できていないかった可能性がありますが、我が国の領海周辺を東進した時点で捕捉していた可能性もあります。海自の探知能力を相手に知られたくないために、敢えて、そのことに触れないことが考えられるからです。また、今回監視に加わった艦船に、潜水艦が含まれていませんが、潜水艦が加わっていた可能性も否定できませんが、こちらも明らかにされることはないでしょう。

では、なぜ中国の潜水艦は我が国周辺で活動していたのでしょうか。一つには中国の近海には、訓練に適した深海が見当たらないので、太平洋に進出して訓練に当たっていた可能性、もう一つは、有事に備えて海底の地形や海流の調査に当たっていた可能性が考えられますが、中国が公表することはあり得ませんので、真相は闇の中です。但し、一般的な訓練であれば、訓練支援のための艦艇を伴いますので、隠密裏に航行すること自体が目的と考えるのが妥当です。いずれにしても、中国は海軍力を増強し続けていますので、我が国としても監視の目を緩めるわけには行かないと言うことです。海自ではFFMと呼ばれる多機能の新型護衛艦を今後22隻建造し、老朽化した護衛艦を更新していく計画ですが、我が国船舶の航行の安全のためにも、早期の投入が望まれます。

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2020年6月19日 (金)

世界遺産の道を無断掘削

世界遺産に登録されている、和歌山県の高野山に通じる「町石道」(ちょういしみち)を無断で掘削したとして、18日、町石道を管理する、かつらぎ町教育委員会が、80代の男が関与した疑いがあるとして、文化財保護法違反で県警に告発しました。町石道は九度山町から高野山までの24kmの参詣道に、距離が判るように「1町」(109m)毎に「町石」が建てられたもので、国の史跡に指定されています。教育委員会は県や文化庁と協議して元通りにしたいとしています。

男性は水はけを良くしたかったと供述している模様ですが、文化財を勝手に傷つけることは許されません。しかし、もし、男性の主張通り、水はけが悪かったのであれば、話は違ってきます。一般に傾斜のある山道では、雨が降れば山道が水の通り道となります。しかも山道は、人が歩くことによって、どうしても中央付近が低くなります。その低くなったところを水が流れれば、益々土が削られて路面が低くなります。土質の柔らかい場所では、こうしてえぐられたくぼみが背の高さほどになることもあります。

今回掘削された場所が、どのような状況だったかは判りませんが、もし路面が削られるような状況であれば、谷側に溝を掘って雨水を谷に流し、路面を保護する方法を取ることがあります。文化財をあるがままの状態で保全することは大切ですが、路面状態を保つことも同様に大切です。原形を保ちつつ、現状を維持することが肝要ではないかと考えます。

 

 

 

 

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2020年6月17日 (水)

イージスアショア配備停止

15日、河野防衛大臣が、地上配備型イージスシステムであるイージスアショアの配備を停止すると突如発表しました。イージスアショアは発射実験を繰り返す、北朝鮮の弾道ミサイルの迎撃能力を強化することを目的に導入が図られていました。大気圏外から突入してくる弾道ミサイルを宇宙空間で迎撃するには、探知距離の長いレーダー、複雑な軌道計算が可能なコンピューターシステム、長い射程を有する迎撃ミサイルが必要ですが、これらを一つにまとめたのがイージス艦に搭載されたイージスシステムです。我が国では、こんごう型4隻、あたご型2隻、まや型2隻の8隻体制で弾道ミサイル防衛に当たる構想でした。この場合、日本海中央と東シナ海に1隻ずつを配置する必要があります。8隻体制であれば、残りが6隻あるので、問題ないのではないかと思われがちですが、艦船は1年の半年近くは定期整備や補給で任務に就くことができません。

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写真左側がこんごう型のイージス艦「ちょうかい」です。

これまでは無理やり2隻配備を維持してきましたが、その分海自側の負担は大きく、イージス艦の本来任務の艦隊防空にも支障が出かねませんでした。この海自側の負担を解消するために取られたのが、定期整備で離脱の必要がない地上設置型のイージスアショアでした。ところが、設置場所を陸上自衛隊の演習場としたために、市街地近くである秋田県の新屋演習場や山口県のむつみ演習場が選定されました。ところが、むつみ演習場は内陸部に位置するために、発射後に投棄されるブースターの地上落下問題が争点となってしまいました。

河野大臣は。ブースターを基地内に落下させるために、SM-3本体やシステムの改修をするのに費用と年数がかかり過ぎるとして計画の停止を判断したものですが、当初の配備場所の選定が杜撰だったことには言及せずに、イージスアショアの役割はイージス艦が担えるとしました。しかし、これではイージス艦の負担を解消して、防衛体制を強化する目的を放棄することになり本末転倒です。一部にはイージスアショアの代わりにイージス艦を2隻建造すれば良いとの意見がありますが、これは大きな間違いです。最初に述べた通り、艦船は半年近く定期整備や補給が必要になりますので、イージスアショア2ヶ所を補うのにはイージス艦4隻が必要になります。

イージスアショアは2基でおよそ6000億円と見積もられていて、高額と批判されましたが、イージス艦4隻なら約8000億円が必要となります。また、一度設置すれば、多額な維持費用は不要ですが、イージス艦は燃料費や定期点検の費用がずっと掛かり続けます。費用を問題にするのであれば、イージス艦への肩代わりは更なる費用発生となってしまいます。今朝の中日新聞は、社説でコロナウイルス問題を引き合いに、もっと国民の命や暮らしを守るために予算を振り向けるべきとしていますが、弾道ミサイル防衛に対し、現在取り得るのはイージスシステムが唯一の手段です。他にTHAADがありますが、我が国の場合、国土が細長いので、多数の配備が必要になり、更に多くの費用が必要となります。無駄な出費を抑えるためとした、今回の配備停止の判断ですが、政治家の誤った認識によるものと思われて仕方ありません。

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2020年6月14日 (日)

麒麟がくる 「決戦!桶狭間」を見た

今頃なんだと言われそうですが、大河ドラマ「麒麟がくる」の先週回、「決戦!桶狭間」を再放送で見ました。先週は、ついうっかりして見逃してしまったのですが、ネット上の評価も良かったので、今回は再放送を録画して万全を期しての視聴です。で、感想ですが、期待値が高すぎたのか、残念ながら期待外れでした。

一つ目は、鉄砲のシーンが全くなかったことです。通説の桶狭間の合戦では、激しい雨にもかかわらず、信長の鉄砲隊が、数に勝る今川軍を総崩れにさせたとされています。また、これまでの流れで、信長と道三の対面のシーンでは多数の鉄砲を携えた鉄砲隊が道三の度肝を抜いているシーンがありました。にも拘わらず、この回に、全く鉄砲のシーンはありませんでした。信長の軍勢をはるかに上回る軍勢を率いて攻め入った今川軍を打ち破るには、これまでの戦の常識を打ち破った鉄砲隊の存在は欠かせなかったと思っていましたので、従来通りの弓と槍での合戦の描写に大いに失望しました。

二つ目として、予算上の制約かも知れませんが、合戦シーンの軍勢が少な過ぎます。実際の人数が少ないとしても、画像処理で何倍かに見せることも可能な筈なのに、カメラの前に10人程度の武者しかいないのでは、2万の大軍を率いた今川軍の描写としては、あまりにおざなりです。雨中で隊列に乱れがあったとしても、やすやすと敵陣深く進軍することはできなかった筈です。敵の本隊正面からではなく、意表を突く形で脇から突撃したからこそ、相手を混乱させることができたと思われますが、いきなり義元の本陣に到達したかのような展開は、ドラマとは言え少々都合が良過ぎる気がします。

今回のドラマは、これまで主君に背いた逆臣と見られていた明智光秀を、全く違う視点で描いた点で、高く評価していましたが、前半の最大の山場で会った筈の、桶狭間の合戦の描き方は残念ながら合格点は付けられないと思っています。

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2020年6月11日 (木)

宗谷岬の局と交信

このところ、太陽の黒点活動が活発化している模様で、それに伴う電離層のスポラディックE層の出現の頻度が増しています。スポラディックE層(以後Eスポと略します)と言うのは、普段存在しない電離層のE層が太陽活動の活発化によってかなり高濃度で発生し、普段は突き抜けてしまう電波を地上に反射します。この働きによって、普段は聞こえない地域の電波が思いがけずに聞こえるのですが、聞こえるということはこちらの電波も相手に届くことになるので、通信が成り立ちます。

宗谷岬は北海道の最北端にありますが、電離層の反射の関係で、私の地域からは普段は7MHzなどの低い周波数でしか交信できません。しかし、Eスポが発生すると、より高い周波数でも交信が可能となります。今回は50MHzで、普段は聞こえない宗谷岬の局と初めて交信ができました。この局は、先週まで礼文島に移動しており、礼文島でも交信していましたので、2回目の交信でした。

日本の最南端は沖縄の波照間島、最西端は与那国島になりますが、こちらは未だに未交信で現在は宮古島が国内最遠となっています。

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2020年6月 9日 (火)

安倍のマスク届かず

更新が滞って申し訳ありません。時節柄、どうしてもコロナ関連中心の話題になってしまい、中々記事が上げられません。今回もそんな話題です。政府の施策について、あちこちから批判が上がっていますが、週末にやっと特別給付金の申請用紙が届きました。特例措置なので、色々と大変なのは判りますが、やはり少々遅い気がします。例のマスクは4月の表明以来2ヶ月以上経ちますが、こちらは未だに届きません。どんなつもりで、こんなことを始めてしまったのか、政策トップの意見を聞いてみたいものです。

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