世界遺産の道を無断掘削
世界遺産に登録されている、和歌山県の高野山に通じる「町石道」(ちょういしみち)を無断で掘削したとして、18日、町石道を管理する、かつらぎ町教育委員会が、80代の男が関与した疑いがあるとして、文化財保護法違反で県警に告発しました。町石道は九度山町から高野山までの24kmの参詣道に、距離が判るように「1町」(109m)毎に「町石」が建てられたもので、国の史跡に指定されています。教育委員会は県や文化庁と協議して元通りにしたいとしています。
男性は水はけを良くしたかったと供述している模様ですが、文化財を勝手に傷つけることは許されません。しかし、もし、男性の主張通り、水はけが悪かったのであれば、話は違ってきます。一般に傾斜のある山道では、雨が降れば山道が水の通り道となります。しかも山道は、人が歩くことによって、どうしても中央付近が低くなります。その低くなったところを水が流れれば、益々土が削られて路面が低くなります。土質の柔らかい場所では、こうしてえぐられたくぼみが背の高さほどになることもあります。
今回掘削された場所が、どのような状況だったかは判りませんが、もし路面が削られるような状況であれば、谷側に溝を掘って雨水を谷に流し、路面を保護する方法を取ることがあります。文化財をあるがままの状態で保全することは大切ですが、路面状態を保つことも同様に大切です。原形を保ちつつ、現状を維持することが肝要ではないかと考えます。
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