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2020年6月17日 (水)

イージスアショア配備停止

15日、河野防衛大臣が、地上配備型イージスシステムであるイージスアショアの配備を停止すると突如発表しました。イージスアショアは発射実験を繰り返す、北朝鮮の弾道ミサイルの迎撃能力を強化することを目的に導入が図られていました。大気圏外から突入してくる弾道ミサイルを宇宙空間で迎撃するには、探知距離の長いレーダー、複雑な軌道計算が可能なコンピューターシステム、長い射程を有する迎撃ミサイルが必要ですが、これらを一つにまとめたのがイージス艦に搭載されたイージスシステムです。我が国では、こんごう型4隻、あたご型2隻、まや型2隻の8隻体制で弾道ミサイル防衛に当たる構想でした。この場合、日本海中央と東シナ海に1隻ずつを配置する必要があります。8隻体制であれば、残りが6隻あるので、問題ないのではないかと思われがちですが、艦船は1年の半年近くは定期整備や補給で任務に就くことができません。

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写真左側がこんごう型のイージス艦「ちょうかい」です。

これまでは無理やり2隻配備を維持してきましたが、その分海自側の負担は大きく、イージス艦の本来任務の艦隊防空にも支障が出かねませんでした。この海自側の負担を解消するために取られたのが、定期整備で離脱の必要がない地上設置型のイージスアショアでした。ところが、設置場所を陸上自衛隊の演習場としたために、市街地近くである秋田県の新屋演習場や山口県のむつみ演習場が選定されました。ところが、むつみ演習場は内陸部に位置するために、発射後に投棄されるブースターの地上落下問題が争点となってしまいました。

河野大臣は。ブースターを基地内に落下させるために、SM-3本体やシステムの改修をするのに費用と年数がかかり過ぎるとして計画の停止を判断したものですが、当初の配備場所の選定が杜撰だったことには言及せずに、イージスアショアの役割はイージス艦が担えるとしました。しかし、これではイージス艦の負担を解消して、防衛体制を強化する目的を放棄することになり本末転倒です。一部にはイージスアショアの代わりにイージス艦を2隻建造すれば良いとの意見がありますが、これは大きな間違いです。最初に述べた通り、艦船は半年近く定期整備や補給が必要になりますので、イージスアショア2ヶ所を補うのにはイージス艦4隻が必要になります。

イージスアショアは2基でおよそ6000億円と見積もられていて、高額と批判されましたが、イージス艦4隻なら約8000億円が必要となります。また、一度設置すれば、多額な維持費用は不要ですが、イージス艦は燃料費や定期点検の費用がずっと掛かり続けます。費用を問題にするのであれば、イージス艦への肩代わりは更なる費用発生となってしまいます。今朝の中日新聞は、社説でコロナウイルス問題を引き合いに、もっと国民の命や暮らしを守るために予算を振り向けるべきとしていますが、弾道ミサイル防衛に対し、現在取り得るのはイージスシステムが唯一の手段です。他にTHAADがありますが、我が国の場合、国土が細長いので、多数の配備が必要になり、更に多くの費用が必要となります。無駄な出費を抑えるためとした、今回の配備停止の判断ですが、政治家の誤った認識によるものと思われて仕方ありません。

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