安倍首相退陣表明
本日、夕方に記者会見を開く予定となっていた安倍首相が、その前に開かれた自民党の役員会で体調不良を理由に辞意を表明しました。以前から健康不安が取りざたされていましたが、自ら記者会見を設けるぐらいだから、引き続き続投するものと見られていただけに驚きを持って迎えられています。第一次政権に引き続き、またしても健康問題を理由に辞任を表明するのですから、本人の失意は計り知れませんが、一切同情は致しません。
難病を抱えて政治活動を行って来たこと自体については、高く評価しますが、健康面に不安があるのであれば、人一倍注意が必要だった筈です。潰瘍性大腸炎の持病を持っていることは既に広く知られていました。また、その病気のせいで政権を手放さなければならない事態も経験していました。であるならば、定期的な検診や治療は不可欠だった筈です。ところが本人は、健康をアピールするために旺盛な食欲を披露したり、頻繁に酒を酌み交わす場面を公開していました。勿論、その時点では、それらが許される体調だったのかも知れませんが、果たして医学的裏付けがあってのことだったのか、大いに疑問です。
また、最近になって健康面が心配された時に、休日を取っていないことが指摘されましたが、それでもなお、休もうとはしませんでした。これも大いに疑問で、首相が計画的に休むことは何ら問題ありません。米国では、過去幾度となく大統領が暗殺されており、その結果からか、大統領の代行者について、延々と順位が決められています。ケネディ暗殺以降でも、レーガン大統領は銃撃され、しばらく入院を余儀なくされました。安倍首相の場合は、自分の都合で、あらかじめ休日なり、入院の日程を決められたのに、そうしなかったのは不作為としか言いようがありません。
潰瘍性大腸炎は難病の中でも患者数が圧倒的に多く、かつ病状に苦しむ人が多い病気です。そのような中に在って、安倍首相が、病気をコントロールしながら、激務をこなして来たことは多くの患者に希望を与えたことでしょう。しかし、再び病気を理由に退陣を表明せざるを得ない状況を招いたことは、希望を打ち砕き、失望を与えたることになってしまいました。
私は、政治家は100%健康でなければならないなどと言うつもりはありません。旧ソ連のアンドロポフ書記長は、人工透析を続けながらソ連を率いていました。要は、国家のリーダーや政治家として必要な資質を備えているかどうかです。非の打ち所の無い健康的で凡庸な政治家より、執務可能な程度の病状であれば、有能な政治家の方が国家にとっては必要なのではないかと思います。いずれにせよ、突然政局になってしまった訳ですが、国家のリーダーを選出するのですから、公正な方法で次期首相が選出されることを望みますし、再び、このような事態をまねかないような、ルール作りを望みたいと思います。
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