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2020年8月23日 (日)

C-2輸送機が不整地離着陸試験を予定

国産輸送機のC-2に輸出話が出ているそうです。C-2に関しては、これまでも度々輸出の話が聞かれましたが、製造数が少ないことで、機体単価が高くなってしまうせいか、実現していません。C-2は、国内の政治的な理由によって航続距離を極端に短く抑えられたC-1の後継機で、C-1の時代には考えられなかった国際貢献を視野に、旅客機とおなじ高度を高速で、長距離飛べる設計となっています。似たような構想で、ドイツ・フランス・イギリスなどが共同開発したA400Mがありますが、こちらは開発が難航し、機体強度を補強したことから重量が増加し、最大積載量が減少して、C-2に準ずる性能となってしまいました。このため、ドイツが要求していたプーマ装軌式装甲戦闘車はパーツの一部を外さないと搭載できなくなってしまいました。一方で、車体重量が違いますが、C-2には16式機動戦闘車をそのままの状態で積載可能です。

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着陸態勢のC-2輸送機。

           C-2                A400M

最大積載量    36トン              30トン

巡航速度     890Km(高度12200m)   780Km(高度11300m)

航続距離     30トン/5700Km        30トン/4540Km

今回の輸出先は中東のUAEで、UAEはC-2が不整地での運用能力があるのかを照会して来たとのことです。不整地運用とは、アスファルト舗装がされていない滑走路で離着陸することですが、単に舗装がされていないだけか、それとも整地されていない荒野を指すこともあり、大変幅広い解釈を持つ言葉です。C-2は国内での運用には必要ないとして、開発段階から不整地運用能力を求めませんでした。一方で、A400Mや現在自衛隊でも運用中のC-130Hは不整地運用能力を備えているとされています。
しかし、この不整地も未舗装ということであれば全く問題ありませんが、未整地であれば大問題です。輸送機は大変重い機体なので、未整地に着陸すると地面をえぐってしまいます。すると表面の土や小石を巻き上げ、機体やエンジンを損傷しかねないのです。実際に訓練で未整地着陸を行い、機体を損傷した実例もありますので、よほどの緊急事態でない限り未整地に着陸することはないと思われます。また、現在ではほとんどの民間空港が舗装化されており、高価で貴重な軍用機を運用する軍用空港であれば未舗装滑走路を使う場面は、まずないであろうと思われます。

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一応C-2にも不整地運用への対応策は考えられており、本体への小石などの飛散を防ぐプロテクターなどの装着で、機体の保全を図る構想がありました。不整地での離着陸試験の実施が今年10月に予定されているのは、恐らくこのプロテクターの装着など、機体側の準備があるのではないかと考えます。輸出の可否はともかく、様々な事態に対応できるようC-2をブラッシュアップすることは有益なので、試験の成功を祈りたいと思います。

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地上展示中のC-2輸送機です。

     

   

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