2019年10月24日 (木)

EV車は本当にクリーンか

東京モーターショーが開かれ、昨日は一般に先駆けてマスコミに公開されました。これまでの豪華、高出力を謳ったものから、従来はなかったコンセプトへのシフトが進んだ展示が多くみられるようです。その中で、EVが将来を見込んで有力商品としての地位を固めているようにも思えますが、どっこい、世の中はそんなに甘くはないようです。

従来、今後はガソリン、ディーゼルエンジン搭載車から徐々にEVにシフトが進むものと思われていました。世論も、環境的に、そのような流れを支持するだろうと見られていました。確かに、EVの場合は走行段階ではCO2を排出せず、環境にやさしいと考えられています。しかし、車の製造段階から廃車までの間、全てに亘ってCO2の排出を見た場合、必ずしもそうとは言い切れないようです。EVの場合は、製造段階で、エンジン車よりも多くのCO2を排出し、走行段階でも、発電が火力発電所の場合は、CO2を排出しています。従って、走行段階ではCO2を出さないとは言えない訳で、資源採取から廃車までの、ライフサイクルでみると、場合によってはエンジン車やハイブリッド車よりも多くなるケースがあるようです。

このため、エンジンの効率を高めることによって、EVよりもライフサイクルにおけるCO2排出量を抑えることも夢ではなく、環境性と経済性、走行性能のバランスの取れた車造りも可能になると言うことです。しかも、そのエンジンをハイブリッド車に反映すれば、走行時のCO2排出量を更に減らすことも可能になる理屈です。勿論、一概にすべてのケースに当てはまる訳ではありませんが、少なくとも現在のエンジン搭載車の寿命が、もう少し延びる可能性が出てきましたので、産業構造激変が避けられるのは朗報ではないかと考えます。

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最近は、ハイブリッド車も珍しい存在ではなくなってきました。

 

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2019年1月23日 (水)

新東名で無人トラック走行実験

豊田通商は22日、新東名で先導するトラックを無人のトラックが追随する無人運転の実証実験を行いました。実験は運転手が乗ったトラックを、後続の自動運転(安全ためドライバーが乗車)のトラックが追随して走行すると言うもので、数台のトラックが追随することが可能のようですが、今回は追随車両は1台で行われました。

自動運転については現在各社で開発が進められていますが、米国では一般道を走行中の無人運転試験車が、人身事故を起こしており、センサー技術などが完全ではないと見られています。今回の実験は後続車両が10mの間隔で70Km/hで追随するもので、新東名の浜松SAと遠州森町PAまでの片道の15Kmで行われましたが、先頭の車両の運転はドライバーが行いますので、突発的なトラブルにも柔軟に対応することが可能だと思われます。また、走行が高速道路内なので、枝道からの突然の飛び出しなどのリスクも低く、実用化へのハードルはかなり低いのではないかと思われます。

実験は経産省の委託を受けて行われたもので、2022年の実用化を目指していると言うことです。

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2017年8月14日 (月)

テスラ モデルS を見ました

自動車産業がざわついています。これまでガソリンエンジンを主流に、大型車ではディーゼルエンジンと二つの燃焼方式で隆盛を極めて来ました。そしてガソリンエンジンの進化型であるハイブリッド車と、日本車が欧州車と共に世界の自動車界をリードして来ました。

ところが、多くのメーカーが多大な開発費を伴うハイブリッド車での覇権を諦め、比較的技術的なハードルが低いEV(電気自動車)へと一足飛びに世代交代を図ろうとする動きが顕著になって来ました。そのような中で英国は2040年にはガソリンエンジン車の販売を禁止する方針を打ち出しました。まだ20年以上も先の話ですから、その頃には現在とはかけ離れた技術の進歩が見られるでしょうが、とても予測がつきません。

国内では日産自動車やその傘下に入った三菱自動車が、一歩先を行く販売戦略を取っていますが、世界的な規模で見れば、米国のテスラモーターズが最も野心的な展開を進めています。そのテスラの野心的なモデルがモデルSです。モデルSは発進後2.7秒で100Kmに達する加速性能で、しかも完全自動運転機能対応のハードウェアが搭載されています。

日曜日、所用で車を走らせていると前を見慣れない車が走っていました。よく見るとマフラーがありません。さてはEVかとエンブレムを確認するとTESLAとなっていました。これが私のファーストステラでした。ただ、完全自動運転機能搭載とは行かないようで、走行ラインをたびたび跨ぎながら、走行しており、とても時代の最先端車とは思えない運転ぶりでした。

日本政府もやっと自動ハンドルについての技術基準を作成し、メーカーに達成を義務付ける方針を固めました。トヨタのプリウスは1997年の新発売に当たって、「21世紀に間に合いました」とのキャッチコピーを使いましたが、近未来車にふさわしい車の登場も間近のようです。

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2012年2月11日 (土)

メタンハイドレート試掘始まる

東北大震災以降、電力の大半は火力発電によるものとなっていますが、発電コストの上昇を招いています。また、イランが核兵器開発を露骨に目指していることからそれに圧力をかけようとする欧米各国との摩擦で、原油輸出の生命線となっているペルシャ湾の緊張が高まっています。もし、ここで武力衝突が発生すれば世界中にエネルギー危機が発生することになります。そんな中で我が国周辺の海底に存在するメタンハイドレートの採掘に期待が高まっています。

メタンハイドレートは可燃性ガスであるメタンが高圧・低温化で安定的な固体状となっているもので世界中でその存在が知られ、我が国周辺でも現在の原油や天然ガスの消費量100年分に相当する埋蔵量があると言われています。しかし、海底深くの地下にあり、しかも固体の状態で存在するので採掘するには気体に戻す必要があり、大変なコストを必要とします。今回実施される試掘は愛知県渥美半島沖にあるメタンハイドレートを地球深部探査船「ちきゅう」を使って試掘して、将来の商業ベースに乗せる可能性を探ろうとするものです。

原油の採掘も最初は自噴かそれに近い状態からスタートし、現在では地下深い所にある油田に水を注入して押し上げる方法で従来不可能とされる場所にある原油も採掘できるようになっています。メタンハイドレートについてはコスト的に商業ベースには乗らないとする否定的な意見がありますが、自前のエネルギーを放置する必要はありません。商業化には時間がかかるかも知れませんが、今後の技術開発の発展を待てば展望が開ける可能性がありますので、今回の試掘に大いに期待したいと思います。

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2011年7月 8日 (金)

中国新幹線

先月6月30日、中国北京・上海を結ぶ高速鉄道が開業しました。当初時速350Kmの最高速度での営業を目指していましたが、開業前に手抜き工事問題など、様々な問題が明らかになったことから当面は300Kmに速度を抑えての運行となっています。この高速鉄道は共産党樹立90周年に会わせ、国の威信をかけて建設されたもので「独自技術」で開発されたと内外に発表されました。しかし実際には日本のE2系新幹線(中国はこれ以外にもカナダ・ボンバルディア、ドイツ・シーメンスの車両技術を導入)の技術を流用しており、とても独自などと呼べる代物ではありません。中国の一部には営業速度が日本の新幹線の営業速度を上回ったことから、自らの技術を高く見る傾向もありますが、主要な部品は未だ輸入に頼っていることや、駅間が短い上に山が多く、カーブやトンネルが連続する日本特有の地理的要件を無視した幼稚な比較論です。

広大な国土を抱える中国では経済発展に伴い、高速・大量輸送の手段として国内高速鉄道網の建設の機運が高まっていました。このため中国国鉄は「中華之星」と呼ばれるDJJ2型車両の開発に取り掛かり、2002年には試験走行で321.5Kmを達成したとしていました。2003年には試験運行を始めましたが電気系やブレーキ系にトラブルが多発しました。2006年には何とか営業運転を開始しましたが最高速度は160Kmに留まりました。その後も技術的課題は克服できず、2006年8月に運用停止となっています。このため、外国技術導入に大きく方向転換を図ったものですが、営業最高速度160Kmの技術しかない国が一足飛びに350Kmを達成できる訳がなく、外国技術を大幅に取り入れた事は明白です。

中国は時速350Kmの車両製造技術を「独自技術」によるものとして海外で特許申請を行っていますが、重大な知的所有権の侵害で国際信義にもとる行為です。このような事態は中国との事業の中で過去から散々味わされて来ましたので、JR東海はかねてから技術盗用の危険性を指摘し、計画への参入を断っていましたが、人の良い日本側がまたも煮え湯を飲まされることとなったようです。

JR東日本や車両メーカーの川崎重工は今後法的手段も考えるとしていますが、それに要する費用や時間を考えると大きな負担になることは間違いありません。そもそもこんなことにならないように、契約段階で派生する技術の所有権について明確な取り決めをする必要があった筈なのですが受注を焦るあまり、甘さがあったとしか思えません。何にしてゴネ得、やったもん勝ちを許してはなりませんから両社にはこれから頑張ってもらいたいものです。

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2011年4月30日 (土)

震災は鉄腕アトム実現を加速するか?

今回の震災は未曾有の規模で、被害の大きさもやむを得ない面があったと思いますが、本来ある程度整備が進んでいると思われた防災面でも立ち遅れがあったことが浮き彫りになりました。地震や津波を早く正確に感知し、送信しなければならない地震計や潮位計が津波の第一波で機能を失い、その後長期間に亘って稼働できなくなってしまったのは防災の基礎の基礎が出来ていなかったことの何よりの証左で、早急に改善が求められるべきです。

福島第一原発の事故でも、現場の詳細な把握が中々出来ませんでした。報道されている内容では、米国製の無人ヘリコプターや爆弾処理用に開発されたロボットによって、危険区域の映像が初めて入手できたことになっています。しかし私にはどうにも腑に落ちません。

我が国はロボットの分野では世界の最先端にあり、自力走行で階段を上ったりして生存者を捜すなど、以前からこのような災害時に投入できるロボットが開発されていた筈です。これまでも東海村の臨界事故など、放射線レベルの高い環境下での作業を強いられる事例はありましたので、即投入できる機器は量産レベルで開発されているものと思っていました。またUAV(無人飛行体)でも国産の無人ヘリコプターは民間用に広く販売されており、カメラを積むだけで翌日にでも上空を飛ばすことが出来たはずです。また、陸上自衛隊は既に偵察用の無人ヘリコプターを部隊配備していますし、電動で自立飛行する偵察用の小型飛行体も開発しています。つまり、投入できる機材はあった筈なのに何故か表立っては使われなかったのです。自衛隊の無人ヘリについては偵察能力を秘匿する必要があり、使用しても公表されないだけとの話もありますが、真偽の程は不明です。

そんな中、三菱重工が厚さ10cmの鋼板で覆われ、外気を遮断できる放射線防御機能を持った重量フォークリフトを開発し、瓦礫撤去に威力を発揮するものと期待されています。今後、復旧を進める上で、放射線対策が益々重要になってきます。現場作業員の残された許容放射線量が残り少なくなってきており、この対策が必要になるからです。新たな要員が無尽蔵にいれば良いのですが一定のスキルが必要であり、そう簡単にはいきません。そこで考えられるのがアンドロイド型のロボットです。アニメの中では2008年に鉄腕アトムが誕生していますが、現実にはホンダのASIMOは2本足歩行はできるものの、始球式でボールを投げる能力さえ今は持っていません。しかし、別のロボットでは人間の指の動きを再現できるものもありますので、企業や組織の壁を越えてこれらを組み合わせれば結構意欲的な物ができるのではないかと思われます。現在の機器的な状況を考えれば限定的な機能であっても生身の人間に代わって出来る分野は多々あるのではないかと思いますので、失敗を恐れず、今持てる技術を積極的に投入する意気込みがもっとあってもいいのではと考える次第です。

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