2019年8月23日 (金)

韓国が日韓GSOMIAの破棄を表明

日韓の外交関係がこじれる中、その行方が懸念されていた日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)について、昨日午後、韓国側が破棄をすることを表明しました。GSOMIAは二国間の軍事機密情報の漏洩・流出を防ぎ、保護を義務付ける協定で、これを結ぶことで相手からより高度の情報を入手可能となります。協定の有効期間は1年で、破棄する場合は満了の90日前までに通告することになっていましたので、期限となる8月24日が注目されていました。

我が国は韓国の他に米・英・仏・豪・印・NATOの5か国、1機関と協定を結んでいます。一方の韓国は33か国と結んでいますので、この条約の重要性は十分認識しているものと見られていましたので、この決定を我が国では驚きを持って受け入れられています。我が国は朝鮮有事をにらんだ米軍の後方基地として、首都圏の横田基地を、出撃基地として三沢や岩国を提供して韓国の安全保障に協力していますが、南北対話の際に、今後ミサイルの発射はしないと明言しておきながら、ミサイル発射を続ける北朝鮮にすり寄るのですから、背信行為と映っても仕方ありません。また、米国も日・米・韓の協調体制維持のため協定の継続を申し入れていましたが、これを無視されたことになり、今後に禍根を残すこととなりました。

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海上自衛隊の掃海艇。朝鮮戦争時には我が国からも掃海部隊を派遣し、死傷者を出しながら機雷除去に当たったのですが・・・。

韓国側は破棄の理由として、我が国の輸出管理強化を上げ、こちらが先に友好関係を損なったと責任を押し付けました。しかし、そもそも我が国の敗戦の混乱に乗じて我が国固有の領土である竹島を武力占領し、死傷者多数を出したのは韓国側です。この問題について、我が国は朝鮮半島の安定を優先し、あえて国際的に韓国の不当性をアピールしてきませんでしたが、明確な侵略・略奪行為で友好国として相応しいものではありません。

GSOMIAは二国間協定ですから、破棄するのは双方の自由ですが、その結果については全て当事国の責任です。この結果を受けて北朝鮮はほくそ笑んでいることでしょうが、もしこの先南北の緊張が高まっても、どれだけの軍事的・外交的なバックアップを受けられるか韓国次第です。少なくともこれからは従来通りのバックアップがあることはあり得ないでしょう。

 

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2019年8月20日 (火)

中国機が海自艦を標的に訓練の疑い

昨日、共同通信が、5月に東シナ海の公海を航行中の海自護衛艦に対し、中国軍の複数のJH-7戦闘爆撃機が対艦ミサイル訓練を行ったと報じました。これは複数の日本政府関係者からの証言として、中国軍機からの「海自艦を標的に攻撃訓練を行う」との通信を陸・海・空それぞれの通信傍受部隊が傍受していたと言うもので、中国軍機からは攻撃時に使用する射撃管制レーダーは照射されなかったため、護衛艦の側は攻撃訓練とは気づかなかったとしています。

JH-7戦闘爆撃機はYJ-8対艦ミサイルを搭載でき、射程は42Kmとされていますので、恐らく40Km以内に接近して模擬攻撃を行ったものと思われます。この範囲であれば、当然護衛艦の対空レーダーに捕らえられていますし、位置的に日本の防空識別圏内なので、地上レーダー及び、早期警戒機のレーダーに捕捉されていた筈です。このような中で戦闘訓練を行うことは、手の内を相手に見せることになりますので、通常は避けるべきものなのですが、最近は艦対空ミサイルの射程が長くなっており、最大射程が42KmのYJ-8搭載のJH-7では発射する前に撃墜されてしまいますので、初心者パイロット向けの初歩的な模擬訓練だった可能性もあります。

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護衛艦に搭載のシースパロー対空ミサイル(訓練弾)です。

今回の事件は、自衛隊の情報探知能力を相手に知られたくないとして当初公表されませんでした。それが今になってリークされたのは何故でしょうか。やはり、間近に迫った来年度の概算要求の防衛関連予算に向けての環境作りではないかと思われてなりません。

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2019年8月17日 (土)

F-35B導入を閣議決定

防衛省は、老朽化したF-4ファントム戦闘機の後継としてステルス戦闘機のF-35Aを105機導入することを決定していますが、別途短距離離陸・垂直着陸可能なF-35Bを42機を追加導入する方針が明らかになっています。この件については、昨年末の閣議で了解されていましたが、昨日正式に閣議決定されました。報道によれば、1機140億円で2013年に19機を購入しますが、残りの23機については現時点では未定となっています。終戦の日の直後、日韓関係が微妙な時期にどうしてこんな決定をしたのかと、いぶかる向きもあるかも知れませんが、恐らくは月末に来年度予算の概算要求の締め切りがありますので、それに合わせた動きではないかと思われます。

F-35Bはエンジンの排気口を真下に向け、搭載したリフトファンを使うことで、非常に短い距離で離陸することが可能な機体です。自衛隊では護衛艦の「かが」と「いずも」を改修してこのF-35Bを運用することになっています。我が国では戦後、戦闘機を搭載する空母を保有して来ませんでしたが、フラットな甲板を持つ、「かが」や「いずも」であれば離発着が可能となり、空母のような運用ができることになります。ちょと微妙な言い回しですが、空母と言うのは長期間行動可能な、海上に浮かぶ航空基地のような船を指しますが、「かが」や「いずも」にはそこまでの機能がありませんので、あくまでも空母のような艦船でしかありません。したがって、こなせる任務も限定的となりますが、他国の空母の領海への接近に対するけん制など、これまでできなかった対応ができるようになります。また、我が国がミサイルなどによって奇襲攻撃を受けた場合、滑走路が損傷しても、使用可能な部分を使って出撃することが可能となりますので、防衛体制に大いに貢献するのではないかと思われます。

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着陸態勢のF-35Bです。  (出典:在日米海兵隊HPより)

一方で、このような装備を持つことに否定的な考えを持つ人も少なからずいるようですが、わずか19機ではできることは知れていますし、我が国がF-35Bを持つことによって、他国に脅威を与えることはありません。あり得ない話ですが、もし東南アジアに出掛けて何かしようとすれば、それなりの艦隊を編成し、補給を維持しなければなりませんが、今の我が国にそのような艦船の余力はありませんし、何より、わざわざ遠方まで出かけて行って他国を攻撃しなければならない理由そのものが存在しませんので、全くの杞憂に過ぎません。

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2019年8月13日 (火)

核兵器廃絶は夢のまた夢か

8月6日、9日は広島・長崎に原爆が投下され、多くの民間人が亡くなった日ですが、毎年首相が列席して追悼式典が行われています。その席上、出席者からは必ず、この世界からの核兵器廃絶を、との言葉が聞かれますが、残念ながら、現実には核保有国は増え続け、新たな兵器の開発が行われています。あの日から79年が経ちますが、核廃絶どころか、非保有国の核保有願望は強まるばかりです。

そのような中、長崎の原爆の日を翌日に控えた8日、ロシア北部アルハンゲリスク州のニョノクサでのロシア海軍の実験場で爆発事故があり、立ち会っていた軍人と国営原子力企業ロストアムの社員が事故に巻き込まれ、社員5名が死亡したと言うことです。この事故で、ニョノクサの当局者は、周辺の放射能の値が一時的に上昇したと発表しています。ニョノクサは原子力潜水艦の建造拠点があるセヴェロドヴィンスク市の西30Kmに位置しますが、どちらも軍事機密の壁に包まれた「閉鎖都市」であるため、外部の人間の出入りが厳しく制限されており、詳しいことは明らかになっていません。

ロシアの公式発表は「液体燃料式エンジンの爆発事故」と言うだけで、詳細についての論評を拒否していますので、果たしてどのような事故だったのかは推測の域を出ません。しかし、爆発によって周辺の放射能の数値が上昇したと言うことは、何らかの原子力関連の装置が爆発または、破損したとしか思えませんし、液体燃料式エンジンに核物質は必要ありません。そこで疑われるのが、原子力ジェットエンジンです。通常のジェットエンジンは、高圧に圧縮したタービン内で燃料を燃焼させ、排出する排気ガスによって推進します。これに対し、原子力ジェットエンジンでは、小型の原子炉の炉心に空気を導入し、高温に熱せられて膨張した空気を輩出して推進力を得ます。排気には直接炉心に触れることから放射能が含まれます。ロシアはこの小型原子力ジェットエンジンを搭載した巡航ミサイル「ブレヴェスニク」を開発しています。

巡航ミサイルですから当然目標に突入して原子炉は破壊されますので、核物質をまき散らすことになりますが、そもそもが核弾頭を搭載して長距離を飛行させるのが目的ですから、核物質の飛散については無視されています。今回の事故にの詳細について、ロシア当局が公表したくないのはこうした図式を隠蔽したいことや、事故の被害が深刻である可能性が考えられます。あのチェルノブイリ事故でも、当初は過少に報道していましたので、可能性が全くないとは言えません。米国も偵察衛星や、大気中の放射能を監視していますので、どのくらいのクラスの事故だったかについては、ある程度の情報は得ているものと考えられます。

いずれにしても、米・ロ・中の三国が大量の核兵器を保持し、削減の動きが見られない中で、新たな原子力の軍事利用の疑いが強まったことは、核軍縮どころか、軍拡競争が密かに続けられている現実を突きつけるもので、今後も厳しい監視の目が必要と思われます。

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2019年8月10日 (土)

対北朝鮮政策の転換点

本日、北朝鮮がイスカンデルのコピー品と見られるKN23短距離弾道ミサイル2発を日本海に発射しました。これで7月以降5回10発を発射したことになりますが、今年になってからの通算では7回14発のハイペースです。しかも失敗は1発のみで、発射の成功率は92.3%の高率になります。このように集中的に発射しているのは、米韓に対する圧力の意味もありますが、試射を行なうことによって、飛行特性のデーターを取得し、実戦配備に向けての技術的問題点を潰す狙いがあるものと思います。但し、このような行為は国連決議によって禁止された弾道ミサイルの打ち上げでそのもので、明確に違反する行為です。

しかし、こうした北の動きに対し、トランプ大統領は射程が短いことを挙げて、問題視しない立場を明らかにしています。確かにKN23はディプレスト軌道で発射した場合は500Kmほどの射程とみられ、韓国南部を標的にしたものと考えられますが、省エネ軌道で打ち上げた場合には、800Kmほど飛行する能力があると見られています。この場合、西日本がその射程内に入ることになりますが、我が国防衛の重要施設が標的になる可能性がありますので、トランプ氏のようにのんびりと構えている訳には行きません。

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西日本における自衛隊の重要施設までの距離を見てみました。 (国土地理院の地理院地図を加工しています。)

北朝鮮の東側の38度線近くから発射した場合の自衛隊の基地までのおおよその距離です。日本海側のイージス艦の母港舞鶴基地までが714Km,海上自衛隊最大の呉基地までが625Km、米海兵隊のF-35Bや米海軍のF/A-18が駐留している岩国基地までが614Kmで、十分射程内に入ってしまいます。仮にこれらの基地が攻撃を受けた場合には、洋上のイージス艦や地上のPAC-3の部隊が迎え撃つことになりますが、飽和攻撃を受けた場合は、対処しきれない可能性も否定できません。防衛省はJSM、JASSMなどの長距離空対地巡航ミサイルの導入を決定していますが、これらのミサイルは音速以下の速度で飛行するもので、脆弱性は否めません。北朝鮮が我が国を攻撃可能な兵器の開発・配備を続け、これまでの専守防衛の態勢では、十分な抑止力となり得ない以上、これに対抗する手段を持つのは当然です。

これまでの概念にとらわれず、直ちに相手に打撃を与えられる装備の導入に踏み切る時期に立ち至った、と考えますがいかがでしょうか。

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2019年8月 2日 (金)

北朝鮮がまたも飛翔体2発を発射

今日8月2日は我が国が韓国に対するホワイト国の待遇を取り消す決定をする重大な日ですが、本日未明、北朝鮮が飛翔体2発を日本海に向けて発射しました。現在までのところ、飛距離や高度、飛翔体が何かについて詳しい報道はありません。北朝鮮は7月25日にイスカンデルのコピーと見られる短距離弾道を、31日には新型の大型ロケット弾と見られる飛翔体を2発発射しており、わずか1週間の間にミサイルの類を3回発射したことになります。

米国と韓国は、今月5日から合同軍事演習「19-2同盟」を月末にかけて実施予定ですが、北朝鮮はこれに強く反発していました。国内向けに強硬姿勢を示す狙いがあったものと見られますが、31日に発射した新型ロケット弾は多連装型発射機から高度30Kmで250Kmを飛んだとされており、通常角度で発射した場合は北朝鮮北部から韓国全土を射程に収める能力があるのではないかと見られます。これまで、北は8連奏の30mmロケット砲を装備していることをパレードなどで誇示していましたが、こちらの射程は250kmほどと見られ、韓国中部以南には到達しないと見られていました。これにより、南部に反撃力を温存できますので有事に対する抑止力が期待できました。しかし、北が更に射程の長い攻撃力をもつことによって、ソウルを火の海にすると言った恫喝が再び重みを増すことになります。

韓国の文大統領は北との友好・融和政策を説いて自らの成果を強調して来ましたが、百戦錬磨の相手は一枚も二枚も役者が上だったようで、相手から正に冷や水を浴びせられた格好です。我が国のイージスアショア導入についてもとかくの批判がありますが、「治に居て乱を忘れず」との言葉もありますので、何が起きてもあわてぬよう、不断の努力が求められるのではないでしょうか。

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イージスアショア (出典:防衛省)

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2019年7月26日 (金)

北朝鮮がまたも弾道ミサイルを発射

昨日早朝、北朝鮮が元山(ウォンサン)付近から日本海に向けて弾道ミサイルを相次いで2発発射しました。ミサイルは高度約50Km、水平距離をそれぞれ430Km、690Kmを飛んで海上に着弾しました。弾道の軌道から、1発目はその存在が明らかになっているロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」のコピー品と見られますが、2発目は距離を延ばす改良を加えた改良型か、もしくは能力を向上させた新型ミサイルの可能性があります。

元々イスカンダルは、INF条約などの政治的な理由から射程を抑えるために低い軌道(デプレスト軌道)で発射することを前提としていますが、距離が延びる発射角45°の省エネ軌道で発射すれば、射程は短距離ミサイルの概念を超える距離を飛行可能です。今回の2発目も45°の角度で発射した場合、水平距離は1300kmに達するのではないかと見られています。

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ミサイルの軌道はそれぞれこのようになります。

仮に新型ミサイルの射程が1300Kmだとすれば、ほぼ日本全域が射程内に入ることになります。しかし、従来から実戦配備されているノドンミサイルの射程が1500Km以上ありますので、今さらうろたえる必要はありません。但し、今後潜水艦に搭載され、近距離から低い高度で発射された場合には、対処時間や対処装備の見直しが必要になるかも知れません。ちなみに現在自衛隊が配備しているSM-3の公称迎撃高度は70Km以上となっています。これは最終誘導が搭載した赤外線センサーによるためで、大気圏外での迎撃を想定しているためです。実際にはそれ以下でも迎撃可能なのかは現時点では不明ですが、同様に赤外線誘導のTHAADの場合は高度40Kmからの迎撃が可能なので、全く不可能と言うことはないと思われます。

また、新たに導入が検討されているSM-6は最終誘導がアクティブレーダー方式となっていますので、大気圏内での弾道ミサイルの迎撃が可能です。万一そのような事態になれば、将来的にはこちらで対処することになるものと思われます。

※7月26日追記

今日になって、韓国当局が水平距離690Kmを600Kmに訂正しました。このため、当初最大射程は約1300Kmと紹介しましたが、水平距離600Km、高度60Kmだった場合の最大射程は約800Km、水平距離600Km、高度50Kmだった場合で約1000Kmとなりますので、訂正いたします。韓国側は観測した軌道から、計算で水平距離を算出したと思われますが、日本側は佐渡にある通称ガメラレーダーで軌道を監視していたものと思われますので、正確な着水位置は把握済みではないかと推測します。

※28日追記

韓国が飛距離を訂正したのは、日本側からの情報提供の結果だった模様です。佐渡のレーダーなら正確に軌道の監視ができた筈です。

 

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2019年7月24日 (水)

ロシア軍機が竹島領空を侵犯

昨日、ロシアと中国は、東シナ海と日本海でそれぞれ、Tu-95爆撃機、H-6爆撃機による合同訓練を行い、尖閣諸島付近と竹島の北方海域を折り返すコースを飛行しました。訓練には別途ロシア軍のA-50早期警戒機も参加していましたが、午前9時9分頃と9時33分頃の2回にわたり、A-50機が竹島上空を飛行し、領空侵犯を行いました。中露双方の爆撃は公海上を飛行し、領空侵犯はありませんでした。

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防衛省が発表した中国、ロシア軍の爆撃機の飛行コースです。

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防衛省が発表したロシア軍のA-50早期警戒機の飛行コースです。

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防衛省が発表したロシア軍のA-50早期警戒機です。

これに対し、韓国軍は竹島(韓国名 独島)の領空侵犯があったとしてF-15とF-16によるスクランブルを行ない、合計360発の警告射撃を行ったと発表しました。韓国によれば、ロシア軍機による領空侵犯は初めてだと言うことです。また、中・露爆撃機の我が国防空識別圏内への飛行や、このロシア機の動きには我が国も自衛隊機をスクランブル発進させて対処しています。

※竹島は日本固有の領土でありながら、第二次大戦での敗戦の混乱に乗じて韓国が武力によって不法に占拠し、一方的な主張で実効支配を続けていますが、我が国としてはあくまでも日本の領土であり、韓国領空が侵犯されたとの立場は取っていません。

今回の合同演習は、朝鮮有事に対し、北朝鮮を自国への緩衝地帯と見なしている両国が、朝鮮半島への武力介入を厭わない姿勢を内外に示す狙いがあるものと見られます。また、爆撃機の飛行コースがかなり直線的で、公海上を意識したものであるのに対し、A-50の飛行コースが竹島に意図的に接近したものになっています。これは、ロシア軍機の航法装置の精度によるうっかりミスなのか、それとも韓国軍がどのように反応するのか(どこの基地から何を飛ばすか)を観測するための意図的なものかは判っていません。しかし、わざわざ早期警戒機を繰り出したところから、ロシア側の意図的な行動であった可能性が高いのではないかと考えますが、今後も同様の動きが繰り返されるのかが注目されます。

 

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2019年7月 9日 (火)

トランプ政権が台湾への戦車108両の売却を承認

トランプ政権が台湾に対してM1A2Tエイブラムス戦車108両及びその砲弾やスペアパーツ、戦車運搬車両、スティンガー対空ミサイルなどを、総額約2400億円で売却することを決定し、議会に通知しました。台湾はこれまで米国製のM60A3戦車を主力戦車としていましたが、最高速度48Km/h、105ミリライフル砲など我が国の74式戦車並みの仕様で、世代的には見劣りする形になっていました。

M1A2戦車は米国の最新型主力戦車であり、120ミリ滑空砲を備えた攻撃力と共に防護力に優れた世界のトップクラスの戦車です。その最新鋭の戦車を輸出することは中国を刺激するのではとも見られていましたが、この問題での中国の反発は強くないと判断したものと思われます。戦車は陸上では強力な戦力となりますが、航空機からの攻撃には脆弱なので、多数の航空機を持つ中国としては、それほどの脅威とみなしていないのではないかと思います。

また、売却価格が約2400億円となっていますが、戦車単体での数字ではないので、1両当たりの単価は不明です。しかし、常識的に見て、他のパーツが半額を超えることは考えられませんので、1両辺り13~15億円程度ではないかと考えられます。我が国の戦車は割高だから、海外性を輸入したほうが良いとコメントしている軍事ライターもいますが、この数字をみれば1両10億円前後の10式戦車も割高とは言えないのではないかでしょうか。また、M1A2は車両重量が60トンを超えることから、台湾の道路インフラが耐えられないのではないかと危惧する意見もあるようですが、どうなのでしょうか、ちょっと気になるところです。

 

 

 

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2019年6月27日 (木)

トランプ大統領が日米安保に言及

トランプ大統領がマスコミとの電話取材で、安保条約の片務性について触れ、不公平だと述べました。これについて日本側では、トランプ氏の思い込みや誤解に基づく発言との見方がありますが、どうでしょうか。かつて湾岸戦争の際、日本は多くの戦費を支出したにもかかわらず、汗をかかないと批判され、「ショウ・ザ・フラッグ」、旗を見せろと言われました。つまり、かなり以前から米国の中に、我が国が安全保障について責任を果たしていないとの見方が存在しました。

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空母化が予定されている護衛艦いずもです。

トランプ氏は以前から在日米軍の駐留経費の負担が少ないと不満を漏らしていましたが、我が国の駐留経費の負担率は75%と、他に類を見ない高負担率となっています。もしこれ以上の負担を要求するのであれば、米軍は日本の用心棒に成り下がることにもなりかねません。安保条約が米国が日本の防衛義務を負うのに対し、日本に米国の防衛義務がないのは、そもそもそんなことはあり得ないこととしていたからです。

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F-15戦闘機です。

第二次大戦後、米国は我が国の再軍備を徹底的に退けました。憲法に戦争放棄や戦力不保持を入れたのも米国の意向を受けたものです。我が国が、二度と軍事大国にならないよう、米国がコントロールしたのです。空襲や敗戦による混乱に翻弄された国民は、この米国の方針を素直に受け入れました。しかし、すぐに朝鮮戦争が始まり、米軍は日本の安全保障どころでは無くなってしまい、警察予備隊が発足し、安保条約が締結されました。警察予備隊は自衛隊に発展し、今日に至っています。しかし、自衛隊の装備は極めて限定的であり、国民の心のどこかに、最終的には米軍がなんとかしてくれるだろうとの思いが染みついているのかも知れません。

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E-767早期警戒管制機です。

ホルムズ海峡の安全確保はもちろん、自国の安全保障は自国の努力によって賄なわなければならないとのトランプ氏の主張はある意味当然です。トランプ氏の理不尽な要求に屈する必要はありませんが、自国の安全と平和を自分たち自身で守らなければなりません。かねてから防衛費はGDPの1%以内とか、予算の5%とか数字が独り歩きをしてきました。しかし、北朝鮮や中国の軍事的圧力が高まる今日、数字ありきではなく、何をなすべきかを重点に安全保障を考える良い機会になったと考えるべきではないかと思います。

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