2017年6月27日 (火)

空自のF-35に射程300Kmのミサイル導入を検討

昨日の読売新聞によれば、政府がステルス戦闘機のF-35Aに、現在ノルウェーのメーカーが開発中の射程300キロKmの空対艦・空対地ミサイル「ジョイント・ストライク・ミサイル(JSM)」の導入を検討していると言うことです。

ノルウェーはF-35の共同開発に参加しており、コングスベルク・ディフェンス&エアロスペース社が、搭載する空対艦・空対地ミサイルの開発を任されています。F-35はステルス性を確保するため、ミサイルなどを機体の中に収納する方式を取っていますが、ウェポンベイと呼ばれる区画には寸法的な制約があるため、従来よりも小型の専用のミサイルが必要となっています。

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ASM-2対艦ミサイルと外部燃料タンクを搭載したF-2戦闘機。  (出典:防衛省)

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正面からのF-35Aです。機外には何も積んでいません。

F-2戦闘機は、たいへん強力なASM-2対艦ミサイルを4発積むことができますが、空気抵抗によって燃料の消費が増すので、増槽タンクを必要とします。また、こうした搭載物はレーダーを反射しやすくなるため相手に発見される確率が高くなります。

一方のF-35の場合は、内装式のため搭載できる兵器は少なくなりますが、外部に何も余分なものが出っ張っていないので、燃費が良くなり機内燃料だけで長距離の飛行が可能です。

記事では空対地ミサイルとしての使用を重視していますが、JSMは長い射程を可能とするためにターボファンエンジンを使用しており、速度は時速900Kmほどです。仮に300Km先の相手を狙った場合、命中までに20分ほどかかりますので、弾道ミサイルの移動発射機などの動く相手を狙うことはできません。対艦ミサイルとしての用途が主体になるものと考えられます。JSMは今のところ2025年に実戦配備に移行する予定、その頃には現在空自への導入が始まっているF-35A 42機の配備は完了しています。

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2017年6月26日 (月)

米軍が陸自の12式地対艦ミサイルに興味

昨日の産経新聞が、太平洋地域を担当する太平洋統合軍が、陸自が保有している12式地対艦ミサイル(SSM)の運用に興味を持っており、来夏に合同訓練を行う計画があると伝えています。太平洋統合軍は司令部をハワイに置き、太平洋陸軍、太平洋海兵隊、海軍太平洋艦隊、太平洋空軍を擁しています。

米国は、太平洋や大西洋で各大陸から距離的に離れていることから、これまで地対艦ミサイルを必要としていませんでした。また、強力な空母打撃軍を保有しており、艦載する航空機から相手の艦船を攻撃するのが基本的な戦略でした。しかし、中国が南シナ海の岩礁を埋め立て、人工島を造成して自国の基地化を進めたことから、この地域で中国艦艇への抑止力と対処力を強化する必要に迫られることになりました。

そこで目を付けたのが12式SSMです。12式SSMは88式SSMの改良型で、元々は旧ソ連の北海道侵攻を阻止する目的で開発されたものですが、現在はロシアの脅威は低下しており、最近は南西地域での中国軍の動きに備える体制に代わっています。

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12式SSMの発射機です。(出典:防衛省)  12式SSMは直径35cm、全長5m、重量は700kgのミサイルで射程は200km弱と言われており、1発射機に6発が搭載されています。垂直に発射されると、あらかじめ設定されたコースを巡航ミサイルのように地表に沿って飛行し、その後海面すれすれを飛んでレーダーで敵艦を捉え命中します。

1個中隊は捜索標定レーダー2基、中継装置1基、指揮統制装置1基、射撃管制装置1基、発射機4両、弾薬運搬車4両の合計13両の車両で構成されています。

記事ではSSMを保有していない米軍は装備・運用のノウハウを陸自から習得し、南シナ海に援用することを視野に入れているとしていますが、そうなると12式SSMを米陸軍が採用することを意味します。

米軍は艦対艦ミサイルとしてハープーンを装備していますので、これを陸上の車両に搭載することは技術的には何の問題もないと考えられますが、評価試験などを考えると手間であることは確かです。あくまで自国開発にするのか、手っ取り早く我が国から購入するのかは米国次第ですが、仮に我が国からの購入となれば、画期的な出来事となりますので、今後の推移が注目されます。

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2017年6月23日 (金)

弾道ミサイル防衛に明暗

いずれも米国発の報道ですが、核実験場付近で不審な動きがあったり、新たなミサイル用エンジンの燃焼実験を行なったりと相変わらず北朝鮮の軍事挑発が止まりません。

我が国として、このような北のミサイルに対抗する手段は現在のところSM-3で迎撃することですが、昨日から大きな動きが二つありました。

一つ目は能力向上型のSM-3ブロック2Aミサイルの迎撃試験です。ブロック2Aについては2月にも迎撃試験が行われ、この時は成功していました。2回目の試験は当初5月中に行われるとされていましたが、なぜか見送りとなっていました。この間、5月14日には新型ミサイルを高度2000Kmnのロフテッド軌道で打ち上げがありましたので、これを踏まえて試験内容を見直したのかも知れません。

今回は、現地時間6月21日午後7時20分、ハワイのカウアイ島ミサイル試験場から準中距離弾道ミサイル(MRBM)標的が発射され、イージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」がイージス・ベースライン9C、BMD5.1を用いてAN/SPY-1レーダーにて標的を探知、SM-3ブロック2Aを発射しましたが迎撃に失敗しました。現時点で詳しい状況は判っていません。

今回の失敗を悲観的に捉える向きがありますが、ブロック2Aは開発段階であり、ミサイル、艦載システムの双方に改善すべき問題が残っていた可能性があります。結果をしっかり検証し、次につなげれば良い話なので深刻に捉える必要はありません。

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ミサイル防衛能力の改修工事を行なう予定となっているイージス艦あたご (出典:防衛省)

二つ目が最近話題になっているイージスアショア(陸上設置型イージスシステム)です。マスコミ報道では、導入検討の結果、THAADよりもイージスアショアの採用に傾いているとのことでしたが、本日の朝日新聞が2018年度の防衛予算にイージスアショアの予算を計上する方針を固めたと伝えています。

これは北の発射能力が増強の一途を辿っていることや、これに対応できる我が国のイージス艦は現状4隻しかなく、日本海への展開に対応しきれない場合があり、在日米海軍のイージス艦に応援を依頼することがあることや、その米軍のイージス艦フィッツジェラルドが衝突事故で長期離脱を余儀なくされたことなどの結果ではないかと思われます。

イージスシステムは随時能力が更新されており、現在は大気圏外で迎撃するSM-3での対応ですが、今後大気圏内で迎撃可能なSM-6の能力向上型の配備が予定されており、課題となっている重層防御の仕組みがより向上することになる可能性を秘めています。

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2017年6月14日 (水)

防衛装備庁が研究委託を海外にも広げる方針 

防衛装備庁は、民間が開発した技術を将来的に防衛装備品に応用するために、「安全保障技術研究推進制度」を設けて基礎技術の研究を公募しています。これに対して科学者の代表機関・日本学術会議は「軍事研究に当たり、学術の健全な発展という見地から問題が多い」との声明を出しています。

大学の中には明確に応募への参加を否定するところもありますが、文教予算の削減が続く中、外部からの研究費の援助は研究者にとっては魅力であり、基礎研究に限れば必ずしも軍事目的に利用される訳ではないとの見方もあります。

このように国内での参加に様々な声があることから、現在は国内に限っている委託先を海外の大学や企業に広げることについて検討を始めたと言うものです。防衛装備庁は米軍が海外の研究者に研究資金を出している実態を踏まえて、海外を含めた幅広い参加が可能な制度にしたいとしています。

我が国もやっとここまで来たかと言うのが率直な感想です。学術会議のメンバーがどのような想定をしているのかは判りませんが、研究成果は外部に発表可能となっていますので、兵器に直結するような要素が含まれることはあり得ません。そんなことをすれば相手の為に手の内を全てさらけ出すことになってしまうからです。そうではなく、無線機のアンテナの研究からレーダー技術が生まれたように、新たな技術の可能性を求めるのが狙いだと受け取って間違いないでしょう。

無線技術は軍事目的にも使われますが、現在我々が当たり前のように使っているケータイやスマホ、カーナビなどの技術もすべて無線技術が元となっています。また、有名な話ですが缶詰も軍用の食料として公募された中から発展したものです。現在の軍事技術は様々な技術の融合の上に成り立っており、一つ、一つを取り上げて議論するのは意味がありません。

また、有用な技術に対して、もし我が国が手をこまねいていれば、それを横目に他国が技術開発を進めるだけです。ノーベル賞の産みの親であるノーベルが発明したダイナマイトは鉱山や工事現場において大変役に立ちましたが、反面戦争の道具として使われました。しかし、時代がそれを要求する以上、ノーベルが発明しなくても、いずれ誰かがダイナマイトを発明したはずです。

最終的に技術をどう使うのかを判断するのは人間です。新しい技術について、メリット・デメリットを研究することも人類の発展のために必要なことだと考えます。

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将来戦闘機の技術開発要素 (出典:防衛省)

エンジン技術は旅客機用エンジンにも生かされ、川崎重工はロールス・ロイスやプラット&ホイットニーとの合弁事業に参加しています。

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2017年6月13日 (火)

本日、国内組み立てのF-35が初飛行

航空自衛隊はF-4ファントム戦闘機の後継に、ステルス戦闘機のF-35Aを42機導入する予定です。この内4機は米国で生産し、既に現地で自衛隊に引き渡されてパイロットの訓練に使われています。残る38機は、三菱重工の小牧南工場に作られた最終組み立てを行なうFACOで組み立てられることになっており、最初の2機が今月5日までに完成していました。

F-35はロッキード・マーチン社のパイロットとアメリカ政府が契約しているパイロットで初飛行を行なうことになっていましたが、本日午前、名古屋空港を飛び立った機体をどちらが操縦したのかは判っていません。名古屋を飛び立った後訓練空域でを飛行し、岐阜基地でタッチアンドゴーを行なって2時間あまりの初飛行を終えました。X-2の初飛行では車輪は最後まで出したままでしたが、今日は量産機とあってか、直ぐに機内に収納されました。チェイサーを務めたのはF-2戦闘機でした。

日本で初飛行を終えたF-35は、この後一旦米国に送られて試験や訓練が行われ、その後日本側に引き渡されて訓練に使われ、2018年に日本に帰って来る予定になっています。

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飛行中の米軍のF-35A (出典:防衛省の資料より)

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2017年6月 9日 (金)

北朝鮮の対艦ミサイル発射への対応に二階幹事長が不満

昨日、北朝鮮東海岸の元山から対艦ミサイル数発が発射され、200km飛行して我が国の排他経済水域の日本海の公海に着水しました。発射されたのは今年の軍事パレードに登場した火星3型とされる自走式の発射機の搭載された亜音速の対艦ミサイルと見られます。

ミサイルの飛距離や軌道から、国連安保理が禁止した弾道ミサイルではなく、着弾が我が国の排他的経済水域外であったことから政府は北朝鮮に抗議を行いませんでした。

これに対して自民党の二階幹事長は、北朝鮮による地対艦ミサイルの発射を受けて開かれた党北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部の幹部会合で、「だんだんと慣れっこになり、対応がおろそかになる心配もある。今日は政府も十分な対応はしていないように思う」と不満を表明しました。

しかし、先に述べたように禁止された弾道ミサイルの発射ではなく、この類のミサイルの発射実験はどこの国でも事前に海域を公表して行っており、事前の通告がなかったことを除けば抗議するまでの行為には当たりません。

このようなことで、いたずらに国内に波風を立てるより、もし我が国に対して攻撃を行った場合、どのような攻撃を加えるか検討した方が、はるかに有益だと思います。また、排他的経済水域に落下する弾道ミサイルを迎撃できないのか、と言った発言をする人がいますが、下図のような理由で、まずできません。

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弾道ミサイルとイージス艦の位置を図に表したものですが、我が国を狙ったコースを取るミサイルの場合、SM-3を発射してポイントBやCで迎撃可能です。しかし、イージス艦のはるか手前に着水するコースを取った場合、SM-3が目標まで達するのに時間がかかるため、その前にミサイルは海に落ちてしまいます。

では、もっと前進していれば良いのではないかと思われるかも知れませんが、あまり前方に位置してしまうと、先日のようなロフテッド軌道での発射などに対応しずらくなりますので、迎え撃つ位置に相対する必要があります。従って初めから海に撃ち込む想定のミサイルを迎撃することは、意味がないだけではなく、技術的に困難です。

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2017年6月 2日 (金)

弾道ミサイル防衛は愚行なのか?

現地時間の5月30日に、米国がICBMに見立てた標的にめがけてGBIを発射し、迎撃に成功したことは記事にしたばかりですが、このような防衛力の整備の姿勢を疑問視する動きがありましたので、これについて取り上げます。

6月1日付の中日・東京新聞が社説で、「北ミサイル防衛」「費用対効果を考えたい」との記事を掲載しましたが、言っていることがサッパリ理解できません。ミサイル防衛は大変高度な技術が必要であり、開発や導入するのに多額の費用がかかるのはその通りです。

しかし、だからと言って費用がかさむので、迎撃せずに着弾して死者が出ても仕方がないと言うのに等しい物言いはどう見ても異常です。社説は常套区の「軍事的圧力ばかりでは偶発的衝突の危険性が増す」「外交によって危機を鎮静化する努力を続けたい」と結んでいます。

しかし、北朝鮮は日本は北に対して意地悪な態度を取るので、これまでは在日米軍基地をミサイルの標的にしてきたが、それ以外も標的にするぞと恫喝しています。ミサイル防衛の努力以外に道はありません。

また、ネット配信のJBpressが「イージス・アショア」は百害あって一利なし 「THAAD」導入こそ実行すべき とのタイトルの記事を掲載していますが、同意できません。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50173

イージス・アショアはイージス艦に搭載したイージスシステムを陸上に設置したもので、イージス艦のように補給や定期検査のために帰港する必要がなく、中日・東京新聞が問題視した費用対効果に優れているとされており、使用するSM-3ブロック2Aミサイルは射程が2000Km、最大射高は2000Kmとも言われ、ノドンミサイルを迎撃可能とされています。

一方のTHAADは高度70 40Kmから150Kmの終末段階を迎撃するミサイルで、射程は最大200Kmとされています。

この二つの射程を日本列島に配置してみたのが下の図です。但しイ-ジス・アショアの方は半径1000Kmの円で表しています。これは例え2000Kmの射程があったとしても、遠方の高速のミサイルを追いかけて迎え撃つのには時間が掛かりますので、真正面から来る以外のケースではあまり役に立たないのと、そもそも北朝鮮との距離がそんないないからです。

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記事はイージス・アショアは海自の負担を増すから問題としていますが、百害と言えるでしょうか?一方のTHAADは陸自が担当するとしても人員を捻出する負担は変わりません。

THAADはSM-3が迎撃に失敗した場合に有効ですが、図の通り守備範囲が狭いので、最低でも6か所への配備が必要です。イージス・アショアが1システムが、およそ800億円、THAADが1セット約1000億円と言われていますので、費用の点では断然イージス・アショアに軍配が上がります。

イージス・アショアもTHAADもそれぞれ開発の経緯が違いますので、それぞれの特性を生かした活用が求められますが、この記事は最初に結論ありきで、公正な評価をしていないので記事として評価に値しません。

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2017年5月26日 (金)

河野統幕長の憲法発言について

自衛隊のトップである河野幕僚長が、マスコミの求めに応じて憲法改正案について発言したことについて、一部野党やマスコミが更迭を求めるなど批判していますが、極めておかしな話です。

先日、安倍首相が憲法9条に自衛隊の存在を明記した条項を加えることを提唱しましたが、このことについて5月23日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で開いた記者会見で、ブルームバーグの記者が

「安倍首相が今月初め、憲法を変えたいと発言した。今の日本国憲法、法律の中で、自衛隊には『今は制限されてできないが、今後していく必要がある、またはできるようにすべきだ』と考えることはあるか。『自衛隊の存在そのものが憲法違反だ』という考えの専門家もいるが、それについての考えを教えてほしい」

と質問したことについて、

自衛隊の役割の拡大については「政治の決定によるものなので、これについては私からお答えするのは不適当」だとしてコメントを避けましたが、安倍首相の改憲論については、

「憲法というのは非常に高度な政治問題なので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思っている」

と前置きしながら、

「ただし、一自衛官として申し上げるならば、自衛隊というものの根拠規定が憲法に明記をされるということであれば、されることになれば、非常にありがたいなあとは思います」

とコメントしました。

このことについて一部野党やマスコミが、発言は自衛官の政治活動を禁止した規定に違反しているとか、改憲に賛成したのは憲法の順守を求めた公務員法に違反するとして追及していますが、憲法論議同様に形だけを捉えた極めて底の浅い主張です。

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以下引用が続きますので面倒くさいと思う人は色の付いた部分は読み飛ばして下さい。

まず、自衛官の政治活動の禁止についてですが、自衛隊法施行令では以下の行為を禁止しています。

第八十六条 法第六十一条第一項に規定する政令で定める政治目的は、次の各号に掲げるものとする。
 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。

第八十七条 法第六十一条第一項に規定する政令で定める政治的行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 政治目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること。

二 政治目的のために寄附金その他の利益を提供し、又は提供せず、その他政治目的を持つなんらかの行為をし、又はしないことに対する代償又は報酬として、任用、職務、給与その他隊員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て、又は得させようとし、あるいは不利益を与えようと企て、又は与えようとおびやかすこと。            
三 政治的目的をもって、賦課金、寄付金、会費若しくはその他の金品を求め、若しくは受領し、又はなんらかの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。

どうでしょうか、河野統幕長の発言は上記の規定のどこにも抵触していません。自衛隊法、および自衛隊法施行令が禁止する政治活動は 「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること」 と規定されている行為のみです。

また、憲法の遵守規定は以下の条項です。

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

ただし憲法には以下の改定条項があります。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。                           2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲  法と一体をなすものとして、直ちにこれを公布する。

国家公務員である自衛官が憲法を順守するのは当然ですが、その憲法には改正の条項がありますので、改正されたことについて発言することは憲法に背く行動とは言えません。しかも、改正案について仮に成立したならばありがたいと感想を述べただけで、改正することに強い賛意を示したとは言えません。

 自衛隊に関しては平成26年度の世論調査で92%以上の人が好印象を持っており、現状の憲法解釈の中で国民に幅広く存在を認められています。自衛官は任務の性格上、時には死を覚悟することを求められていますが、未だに憲法9条をめぐって、その存在を否定する勢力がありますので、自衛隊の最高指揮官である首相が、憲法に自衛隊の存在を明記する条項を追加したいと考えることは至極当然のことです。

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朝鮮半島の緊張感が高まっている最中に国の安全保障のトップに立つ統幕長を更迭すれば、隊員の士気は下がり、喜ぶのは超肥満の某指導者です。党利党略に走らず、冷静に安全保障を考えることが大切です。

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2017年5月21日 (日)

北朝鮮が新たに弾道ミサイルを発射

北朝鮮が本日午後5時頃、西部の平安南道の北倉付近から東に向けて弾道ミサイル1発を発射し、水平距離で約500Km飛行して日本海に着弾しました。ミサイルは途中で二つに分離して飛行したことから固体燃料式の2段式と見られ、韓国の分析によれば北極星2号ではないかと推定されています。

先日、液体燃料式の1段式ミサイルを発射したばかりですが、こちらは地上から発射して、米軍基地のあるグアムを射程に捉えたものです。一方、本日発射したのが固体燃料の2段式ミサイルであれば、潜水艦からの発射を想定したもので、潜水したままでの長距離航海が可能になれば、米国本土を直接攻撃することも可能です。

北朝鮮は核開発もミサイル開発も全く止めるつもりはなく、在日米軍を核攻撃も厭わないことを公言しています。もし本当にこのようなことになれば、間違いなく米国は核による報復を行うでしょうから、金政権はその時点で消滅することになります。ただし、もし核による攻撃でなければ、被害の程度にもよりますが、報復を見送る可能性もあります。また、仮に通常弾頭のミサイル多数で日本各地を攻撃してくる可能性もあります。この場合も米軍が報復を見送る可能性があり、日本はやられ損になる可能性があります。

北朝鮮が現在保有している我が国を攻撃可能なミサイルはおよそ200発で、移動式の発射機は50台程度とみられます。1発のミサイルに1トンの火薬を搭載可能として50トンの爆薬が撃ち込まれることになります。もちろん、迎撃用のミサイルで迎撃することになりますが、より効果的に対処しようとするなら、その2倍のミサイルを撃ち込むことも一つの方法です。

良く引き合いに出される巡行ミサイルですが、通常500Kg程の爆薬を搭載するようになっています。相手が50発50トンで攻撃するのなら、200発100トンの巡航ミサイルを撃ち込むことで、相手の攻撃を抑え込めるかも知れません。北朝鮮は、我が国が憲法9条によって、何をされても反撃しないと決めつけていますが、巡航ミサイルを数百発持つことで、自分たちが倍返しされると思えば、攻撃を思いとどまるかも知れません。

もしかしたら、それでも尚、攻撃して来るのかも知れませんが、何も反撃の手段を持たない時よりも可能性は下がる筈です。巡行ミサイルのトマホーク1発の価格は90万ドル、約1億円と言われていますので、仮に500発揃えても500億円程度で済みます。これは今話題になっている陸上型迎撃システム、イージス・アショアの半分の価格です。迎撃体制の強化は勿論必要ですが、盾だけでなく矛を強化することで相手の攻撃を抑えることができれば、より強固な盾となるのではないでしょうか。

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2017年5月18日 (木)

北朝鮮新型ミサイルについて

14日に発射された北朝鮮の弾道ミサイルは、ロフテッド軌道で高度2000Km以上の高度に達したことや、飛翔時間が30分にも及んだことで周辺国を驚かせています。北朝鮮の発表によれば、火星12型と呼ばれる中・長距離の弾道ミサイルで、今回は高度2111Km、水平飛距離787Kmを達成し、実験は成功したと言うことですが、それ以上の詳細については触れられていません。

韓国筋が盛んに分析情報を流していますが、どこまで裏付けが取れているのか、射程を含めて確実なことは判っていません。今のところ、噴煙の色や燃焼時間の長さ、推力の点から液体式のエンジンで1段式と見られていますが、今後詳しい分析がなされるまで、推測の域を出ません。

我が国の専門家と称する人々も技術の進歩を指摘し、重大な脅威とのコメントを出していますが、今回はおそらくエンジンの最大性能を確認する実験で、実質的なペイロードは搭載していなかったのではと考えられることや、実戦配備には更に実射試験が必要となりますので、必要以上に心配することは不要と考えます。また、水平飛距離が787Kmでしたが、おそらく狙いは800Kmだったと考えるのが自然ではないでしょうか。そうであれば予定着水地点から13Km外れたことになり、通常数百m以内とされるミサイルとしての誘導精度はかなり低いことになります。

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火星12の飛行状況を勝手に推測してみました。最初にお断りしておきますが、ロケットや弾道飛行について正確な知識がありませんので、判っている事実から強引に数字を算出しています。従って、重大な誤りがあることも考えられますので、あくまでも個人の推測と考えてください。

まず、30分も飛行が可能だろうかと考え、2100Kmから自由落下した場合の所要時間と速度を計算してみました。すると落下するのにかかる時間は約10.8分、最終的な落下速度は6.4Km/秒となりました。ただし、250Kmより地表に近くなると大気の影響でブレーキがかかります。これについては良く判りませんせんでしたので、1000Km落下した時点での速度が5km/秒ほどでしたので、これ位かなあと言ったところです。

落下にかかる時間が10.8分とすると最高高度に達する時間は19.2分となります。1段式のロケットの最高速度がおよそ5.5Km/秒とされていますので、引力によってこれが0となるまでの時間を計算しました。エンジンが燃焼中は水力によって速度が維持されますが、燃焼停止後は慣性による飛行になるので、常に9.8m/秒2の力でブレーキがかかり、最終的に0になった時点で地表に向かって落下を始めます。

計算すると、これには10.7分かかりましたので、これを元に引き算をすると燃焼時間は8.5分となりました。8.5分であれば、燃焼時間としてあり得ない数字ではありません。今回使用したと思われるエンジンの燃焼試験をしたことは、北朝鮮が映像付きで公表していましたので、燃焼時間に関しては設計通りに働いたと見て良いでしょう。ただ、安定的にこのような仕様のエンジンを大量に作れるかと言えば、現在の北朝鮮の工業力から見てかなり疑問符が付くように思われます。

いずれにしても専門筋の詳細な分析結果を待ちたいと思います。

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