2018年4月22日 (日)

北朝鮮が核開発と弾道ミサイル発射実験の中止を表明

21日、北朝鮮の金委員長が核開発を中止して豊渓里地下核実験場を廃棄、合わせて弾道ミサイル発射実験も中止を宣言し、「わが国家に対する核の脅威や挑発がない限り、核兵器を絶対使用せず、いかなる場合も核兵器や核技術を移転しない」と表明しました。

この発表を韓国やトランプ大統領は、事態が進展したと好意的に受け止めていますが、実際には北朝鮮は何の譲歩もしていません。まず核開発ですが、これまで6回の核実験を行なっていますが、核弾頭の小型化に必要なブースト型原爆や水爆について必要な基礎技術を獲得済みと見られています。また地下核実験場についても周辺で大規模な陥没や崩落が起き、これ以上の実験は不可能と見られていました。

核開発の先輩であるインドとパキスタンもそれぞれ6回の核実験を行ないましたが、その後核実験は行っていないことから、それまでの実験で技術を習得し、もはやこれ以上の実験の必要がなくなったと考えるのが妥当です。北朝鮮についても、これ以上国際世論を敵に回してでも実験を強行する必要性がなくなったと見るべきでしょう。

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弾道ミサイル迎撃用のSM-3ブロック2A (出典:防衛省)

また、弾道ミサイルについても同様で、これまでICBM級の発射試験を行って、必要な要素技術は手に入れています。実戦配備には実際に何回も発射実験を行って、部品の信頼性を確認しますが、核ミサイルの場合は1発でも着弾すれば大きな被害が発生しますので、100%の信頼性は必要ありません。例えば成功率が50%でも4発発射すれば94%の確率で1発は着弾させることができる計算です。北朝鮮はこれまで火星14号を2回、より大型の火星15号を1回ロフテッド軌道で発射していますが、いずれも長時間の飛行に成功しており、技術的には完成形にかなり近い形に仕上がっていると見られます。こちらも新たな実験を必ずしも必要としないと判断しても不思議はありません。

また、核の先制使用はしないとの表明ですが、核やミサイルを手放すとは一切言っていません。つまりこれまで手に入れた技術で、今後も核弾頭やミサイルを保有し続け、更には新たに作ることも放棄していないと言うことです。つまり、現在の核戦力を維持し、行使することについて何らの制約も受けないのです。

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SM-3ブロック2A の形状

従ってこの声明は世論向けのプロパガンダであり、北朝鮮が軟化したと受け取るのは早計です。もし本当に軟化したのであるのなら、一切の制限なしに査察を受け入れなければなりませんが、そのことには全く触れていないと言うことは、その意思がないと見るのが妥当でしょう。

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2018年4月21日 (土)

ロッキードマーチンが新型戦闘機の開発を打診とロイターが報道

20日、ロイター通信が空自のF-2の後継に、F-22とF-35をベースにした機体の開発案を打診したと伝えました。F-22は世界最強のステルス戦闘機と言われ、我が国もF-4E戦闘機の後継に導入を希望していましたが、最高の軍事機密とされ、米議会が輸出を認めませんでした。

但し、最強の戦闘機も量産型の設計は1990年初めで、今から30年近くも前のため、電子機器は旧式化が目立ち、飛行性能は劣ると言われるF-35の方がはるかに進んだ機器を搭載しており、総合的な性能はF-22を上回るとも言われています。

また強力なステルス性能はステルス塗料によるところが大きく、このため頻繁に塗装をやり直す必要があり、その費用はかなりの高額になると言われています。一方のF-35は機体素材自体が電波を反射しない構造となっており、ステルス塗料の寿命もけた違いに長くなっていながらステルス性能はF-22と同等か、上回るのではないかとさえ言われています。

このようなF-22とF-35の良いところばかりを寄せ集めて新しい戦闘機を作ろうと言うのですから正に鬼に金棒です。防衛省は、新型戦闘機の開発について海外との共同開発を視野に入れ、英国BEA、米国ボーイング、そしてロッキード・マーティンに対し、情報要求書を提出して技術情報の提供を求めていました。今回のロッキード・マーティンの動きは、こうした日本側の動きに呼応したものとみられますが、米政府の内諾を得たものと思いますので、実現の可能性はかなり高いのではないかと思われます。

米国としても、価格の高騰によってF-22の調達を途中で打ち切ってしまったため、空軍の戦力にほころびが出かねない状況です。上手く行けば開発費を抑えて、高性能の新型機を手に入れられるので両国にとって悪い話ではないと考えます。

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防衛省が検討している将来型戦闘機のイメージ図ですが、かなりF-22に似ています。

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2018年4月20日 (金)

小野寺防衛相の訪米に野党が反対

小野寺防衛相が米国のマティス国防長官との会談のため、本日から22日まで訪米する件に対し、衆議院議院運営委員会での審議で野党側は自衛隊の日報問題の対応を優先すべきとして訪米を了承しませんでした。

閣僚の海外出張については与野党の申し合わせにより、衆参両院の議院運営委員会と協議することになっていますが、拘束力はありません。麻生財務大臣も現在G20蔵相会議に出席のため、訪米中ですが、同じく野党側の反対で了承は得られませんでした。

野党の主張にも一理あるとは思いますが、各国との協調が必要な蔵相会議を欠席することは国益を大きく損ないますし、これから核開発を主要議題に米朝会談を控えるタイミングで、日米の国防トップが会談する機会を持つことは大変有意義なことです。これまでも、国会の委員会への出席を求められ、重要な国際会議への出席を断念する事態がありましたが、大変おかしな話です。

各省庁には大臣の下にこれを補佐する副大臣や2名の政務官が置かれています。大臣が出張する必要があれば、留守中の業務を副大臣や政務官が執行すれば良いだけの話であり、そもそも一分一秒を争う状況ではありません。あらかじめ予定されていた行事を、日本側の都合でキャンセルすることは国際儀礼の点でも失礼に当たり、我が国の国益を損なうことになりかねません。野党は党利党略を優先させず、大局的観点からの議院運営が求められます。

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離陸に向けて誘導路を移動中のE-767早期警戒管制機です。

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2018年4月13日 (金)

SM-3ブロック2Aの迎撃実験失敗は部品に問題

米国ミサイル防衛局は11日、今年1月に行ったSM-3ブロック2Aの迎撃実験失敗について、特定の部品に問題があったとの分析を明らかにしました。異常があった個所は10回の内、9回は正常に飛行してきたとのことです。この部品が具体的にどのような機能を担う部品なのかについては言及していませんが、失敗の原因が突き止められたのは朗報です。

SM-3ブロック2Aは現在配備されているブロック1Aに比べ、射程及び迎撃高度が2倍になる高性能なミサイルです。2017年2月に行われた最初の迎撃実験には成功しましたが、同年6月に行われた2回目の実験は、迎撃側のシステムのミスで味方と判定され自爆処理されて失敗、そして前回2018年1月に行われた実験で迎撃に失敗したことから、原因の究明が行われていました。

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発射直後のSM-3ブロック2Aです。 (出典:防衛省)

ミサイル防衛局は、今年12月末までに再実験を実施するとしています。タイムリミットまで8か月以上取っているのは、是が非でも次回の実験を成功させるために万全の態勢を敷くためと考えられます。幸い、現在は米・朝が直接会談を実施するために、北朝鮮もミサイルの発射実験を自粛しています。仮に会談が不首尾に終われば、SM-3ブロック2Aの開発は待ったなしとなりますので、次回の実験の行方が大いに注目されます。

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2018年4月11日 (水)

台湾の潜水艦自主建造を米政府が承認

米政府が台湾の潜水艦自主建造の意向に対し、米企業の参加を許可したことが明らかになりました。台湾は潜水艦4隻を保有していますが、2隻は米国が供与した第二次大戦直後に建造された老朽艦で、残りの2隻も80年代後半にオランダで建造された海龍級(水中排水量2600トン)で、艦齢は30年と旧式化しています。

このため外国からの導入を画策しましたが、中国の圧力によって実現せず、米国に供与を打診していました。ところが米国は潜水艦は全て原子力推進方式に移行してしまい、通常動力の潜水艦を建造する能力を持っていません。仕方がないので台湾は自主建造を決意しましたが、潜水艦の建造経験がなく、技術的に自主開発が困難とみられる要素については外国からの導入が必要とされていました。

潜水艦の建造については高い技術力が求められますが、潜水艦を次々と輸出していた本家のドイツでさえも技術力の低下からか、保有する6隻の潜水艦が全てドック入りする始末で、稼働艦がゼロとなっており、ドイツから技術を移転して建造した韓国も同様の事態となっています。

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台湾周辺の地図です。 (出典:地理院地図  ※地名を追記)

台湾と同様に中国と隣接するベトナムはロシアからキロ級の潜水艦6隻を導入しましたが、台湾はそれを上回る8隻を建造したい意向のようです。台湾の地理を見れば、潜水艦問題が我が国にとって重大な問題であることが判ると思います。中国の潜水艦基地は東シナ海の浅い海域に面しているため、太平洋に出るには宮古海峡を通過するしかなく、それでは都合が悪いと海南島の潜水艦基地に原潜を配備しています。しかし、太平洋に出るには、やはり台湾・フィリピン間のバシー海峡を通過するしかなく、チョークポイントとなります。従って、台湾海軍の潜水艦が更新され、増強されるのは我が国にとっても大きな利益となります。

今のところ表立って台湾政府からの技術援助の要請はないようですが、もしかしたら米国を迂回する形での技術・製品提供の可能性もないわけではありません。しかし、ただでさえ日中間の摩擦が問題となっていますので、実現させるためには外交問題化させないための工夫が求められるのではないかと思われます。

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2018年4月 5日 (木)

中日新聞がオスプレイの危険性を主張

昨日、横浜港で輸送船から米空軍仕様のオスプレイCV-22 5機が陸揚げされました。これは横田基地に配備される機体ですが、これに対し、本日の中日新聞が「特報」欄で広告を除く約半ページを費やしてオスプレイ批判記事を掲載しています。内容としては従来の主張を繰り返しですが、

①市街地を低空飛行して危険

②基地以外をヘリモードで飛行して危険

③エンジンが停止した際にオートローテーションができず危険な機体

と言ったものですが事実誤認があり、このような主張は本国の米国はおろか、既にCV-22が駐留している英国でもされておらず、国際的にも恥ずかしい気がします。

まず①についてですが、一般的にヘリコプターでも垂直に離着陸することはほとんどなく、滑走離陸をし、水平飛行から徐々に着陸態勢に移行します。つまり滑走路周辺では物理的にどんな航空機でも低空領域を飛行せざるを得ず、難癖としか言いようがない主張です。海外では市街地での飛行に対して反対する声は上がっていないようです。
なお、滑走離陸するのは燃料節約のためで、燃料満載で垂直離陸しようとすると、かなりの燃料を消費してしまい、航続距離を大幅に減らすことになってしまいます。

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シドニー上空を飛行するオスプレイ。 (出典:在日米海兵隊HP)

②ですが、オスプレイには「ヘリモード」「遷移モード」「固定翼モード」の飛行形態があります。オスプレイのローターはヘリよりは小さいのですが、一般的なプロペラ機よりも大きいため、機体と直角の向きにすると地面に接触してしまうので、地上では「固定翼モード」にすることができません。

従って、離発着の際には「遷移モード」と言って「ヘリモード」と「固定翼モード」の中間的な位置にして滑走路に接触しないようにしています。良く「ヘリモード」で飛行していたと写真に取り上げられますが、ほとんどが「遷移モード」のものです。「遷移モード」で十分に加速をしてから「固定翼モード」に移行しますので、「遷移モード」で飛行することは止むを得ないことです。

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遷移モードでの飛行写真。 (出典:在日米海兵隊HP)

③のオートローテーションの問題ですが、これについても反対派の人たちがよ批判の根拠としていますが、そもそも大型のヘリコプターでは機体重量が重すぎて、これを利用して着陸させること無理だと言われています。オートローテーションが必要なのは小型のヘリコプターで、単発エンジン機の場合です。万一エンジンが止まってしまえば、オートローテーションに頼るしかありません。しかし、エンジンが複数の場合はもう一基のエンジンを使って、安全に着陸することが可能です。また、先日のAH-64Dの事故ではオートローテーションの前提となるローターが破損してしまいましたので、これだけにこだわるのもおかしな話です。

オスプレイは双発機で片方のエンジンが止まってももう片方のエンジンで二つのローターを回転させて飛行することが可能ですし、今まで両方のエンジンが止まったトラブルは起きていませんが、固定翼を使用して滑空着陸できますので、なす術を持たないことはありません。

オスプレイの事故がないことを願っていますが、航空機である以上は残念ながら皆無と言う訳にはいかないでしょう。安全運用を要求する主張は当然ですが、非常識な要求はいかがなものかと思います。

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2018年4月 2日 (月)

小笠原に空自のレーダーを設置へ

今日から新年度がスタートですが、早速安全保障面で動きがありました。先日も取り上げましたが、中国の軍事的活動が活発化しており、我が国の対応が注目されていましたが、これについて産経新聞Web版に記事が掲載されました。以下引用です。

~防衛省が、外国機の領空侵犯・接近を監視する航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーの展開基盤を小笠原諸島(東京都)に整備することが1日、分かった。同諸島周辺は空自の固定式警戒管制レーダーが置かれていないため、「防空の空白地域」で移動式の展開で空白を埋める。太平洋への進出を常態化させている中国の軍用機や空母「遼寧」に対する警戒監視態勢を強化することが不可欠と判断した。~

これまで、中国軍への対応は南西諸島方面に集中していましたが、石垣島市長選挙が自衛隊誘致賛成派が勝利したことで、これまで空白になっていた小笠原方面について防衛面での空白を解消しようとした動きではないかと考えられます。

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日本の防衛識別圏と小笠原諸島の中心地父島の位置関係です。静岡県の御前崎に空自のレーダーサイトがありますが、御前崎から父島まではおよそ920Kmあります。これはF-15戦闘機で約1時間を要する距離に当たります。

現状では中国軍の爆撃機が宮古海峡を通過して東進した場合、地上からのレーダーでは捕捉できません。このため、埼玉県の入間基地の第2移動警戒隊を小笠原に派遣して、レーダーの空白域を解消しようとするものですが、将来的に恒久的なレーダーサイトの設置に向けての暫定策と考えられます。

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第2移動警戒隊の移動式レーダー(円筒形のもの)です。 (出典:入間基地HPより)

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2018年3月31日 (土)

高浜原発訴訟、ミサイル落下の危険を認めず

大阪地裁は30日、大阪府の女性が北朝鮮のミサイル攻撃の危険性を理由に、稼働中の高浜原発3、4号機の運転差し止めを求めた仮処分について、申し立てを却下する決定をしました。森純子裁判長は決定理由を「実際に日本を攻撃する可能性や、その場合に高浜原発を狙って実際に着弾するかどうかは不明と言わざるを得ない」としています。

これに対し、女性側の代理人弁護士は「ミサイルを迎撃する命令が常時発令されている事実を軽視している」と決定を批判しました。

判決は極めて妥当だと思います。弁護士の批判は的外れで、破壊命令が出されているのは、万が一ミサイルが発射された場合、迎撃の許可を取っている時間的余裕がないので、あらかじめそのような場合には、迎撃できる態勢を整えているのであって、差し迫った危険が有る訳ではありません。

では裁判の争点となった原発にミサイルが着弾する可能性とはどのようなものでしょうか。北朝鮮が保有するミサイルで、高浜原発への攻撃が予想されるのはノドンミサイルですが、このミサイルの命中精度、発射したミサイルの内、半数が着弾すると考えられている最高の精度は半径190mの円です。これをCEPと言います。

Cep

ノドン着弾をイメージ図にしてみました。現在想定されているノドンの精度の内、最高の数字でCEPは190mです。赤い点が着弾位置のイメージですが、CEPが190mと言った場合には発射した半数が半径190mの円の中に着弾します。しかし、実際に原子炉建屋に当てるのには、どれくらいのミサイルが必要になるのか計算してみました。単純に考えれば、CEPの面積にいくつ原子炉建屋が入るかを計算し、その逆数が確率となります。

高浜原発の原子炉建屋の直径は22mなのでこの面積を計算すると

11×11×3.14 ≒ 380 m2

一方CEPの面積は

190×190×3.14 ≒ 113354 m2

380を113354で割ると0.00335となります。つまり単純計算でノドンが直撃する可能性は0.3%ほどとなりますが、そもそもCEPは発射したミサイルの半数が着弾する前提なのでこれの1/2の0.15%が単純計算での命中確立となります。(実際は標準偏差などを考慮する可能性があるようでもう少し、低い数字になるようです)ただし、原子炉が3、4号機の2基なので、合わせた確率では元の0.3%となります。

つまり確率上、300発以上のノドンを発射しないと原子炉建屋には着弾しないと言うことになり、北朝鮮の発射機の保有数や、自衛隊の迎撃能力を考慮すると、その可能性は限りなく0に近いと思われ、裁判所の判断は極めて妥当なものと考えます。

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2018年3月27日 (火)

サウジアラビヤがフーシ派からミサイル攻撃

現地時間の25日夜、サウジアラビヤは隣国イエメンの武装勢力フーシ派からの弾道ミサイル7発の攻撃を受けました。このうち、首都リヤドには3発が飛来し、サウジアラビヤ軍が迎撃を行いましたが、エジプト人の住民1人が死亡し、2人が負傷する被害を受けました。リヤドに対する攻撃は、昨年の11月4日、12月19日にもありましたが、民間人に被害が出たのは初めてです。

公開された映像からは、迎撃に発射されたミサイルが途中でUターンし、地上に着弾する様子が映されており、被害が弾道ミサイルによるものなのか、それとも迎撃ミサイルによるものなのかは不明です。

フーシ派は攻撃に使用したブルカンH-2ミサイルは自力開発したものと主張していますが、発見された残骸の調査からイラン製の部品が見つかったとして米国やサウジアラビヤ政府はイランがミサイルを供与したと主張していました。

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自衛隊が配備しているPAC-3の発射機です。

我が国は、イージス艦に搭載するSM-3でミッドコースを迎撃すると共に、終末段階ではPAC-3で迎撃を行うことになっていますが、有事の際に確実に迎撃できるかは誰にも判っていません。今回不幸にもサウジアラビアで住民に犠牲者が出てしまいましたが、サウジが経験した迎撃戦闘は大変貴重な機会なので、できる限り情報収集に努め、迎撃能力の向上に努めるべきではないかと考えます。

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2018年3月26日 (月)

中国軍機が宮古海峡を示威飛行

防衛省の発表によれば、23日に中国軍のH-6爆撃機4機、Tu-154情報収集機1機、Y-8電子戦機1機の6機が沖縄本島と宮古島の間の公海上を東シナ海から太平洋に向けて飛行し、再び東シナ海方面に引き返す飛行を行いました。

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中国軍機の飛行ルート (出典:防衛省)

このルートでの飛行は今回が初めてではありませんし、特に目くじらを立てることではありません。中国としてはこの海域を突破して太平洋に展開し、日本本土やグアムにある米軍基地を攻撃できる能力を誇示することが目的であると考えられます。ただし、実戦を想定したものであれば、当然周辺の自衛隊や米軍の部隊が迎撃することになりますので、この海峡を通る必然性はありません。

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中国軍が太平洋に出ようと思えば、台湾南方の公海上を迂回すれば、いくらでも自由に飛行が可能です。では、なぜわざわざ自衛隊の目につくルートを通るのでしょうか?

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Tu-154情報収集機です。 (出典:防衛省)

自衛隊は早期警戒機や地上のレーダーで昼夜監視を続けていますが、中国軍から見れば邪魔な存在になります。そのため、相手のレーダーの位置や周波数を知っておく必要があり、その情報を集めるのが情報収集機です。当然、スクランブルをかけたF-15のレーダー情報も収集しています。

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Y-8電子戦機です。 (出典:防衛省)

情報収集機や自身が集めた電波情報を元に、相手のレーダーと同じ周波数の電波を発信することで、相手のレーダーの機能を失わせる能力を持った航空機です。これによって相手戦闘機からの攻撃をさせなくしたり、相手が発射したレーダーホーミング対空ミサイルを無効化します。

電子戦は、相手との極めて高度な情報戦なので、平時にわざわざ手の内を見せることは考えられません。今回は、実際の飛行の中で日本側の電波を収集し、それを電子戦機の乗員に伝達し、機器を操作させる訓練が本当の目的だったのではないかと考えます。

電子戦機については、自衛隊は訓練用としは保有していますが、実戦用の装備は現段階で配備していません。ただ米軍のEA-18Gグラウラー電子攻撃機の導入を目指す動きや、同様の機能を持った電子戦用の機材の開発はしています。中国軍が電子戦機を実戦配備している中、早急にこの分野の遅れを取り戻す必要があるのではないでしょうか。

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