アマチュア無線で遠距離局と初交信
今年の年初からアマチュア無線の活動を再開していますが、昨日、初めて遠方の局と交信することができました。無線に無縁の方には解りにくいと思いますが、電波の周波数と伝わり方の間には、特有の性質がありますので、遠方の局と交信するのは実は大変なことなのです。
今、ある地点から電波を送信した場合、Aのように電離層に直進すると電波は電離層を突き抜けてしまい、地上に戻って来ません。そこで、Bのように電離層に大きな角度になるように送信した場合、電波は電離層で反射して離れた地点に届きます。無線通信では電波のこの性質を利用して遠距離通信を行います。
私が今回交信したのは波長が40mの7MHzの帯域ですが、電離層は周波数が低いほど反射しやすく、周波数が高いほど突き抜けやすい性質を持っています。また、交信は大きな電力で強い電波を使った方が、受信がしやすく、交信距離を延ばすことが可能になります。アマチュア無線の場合、保持している免許の等級によって、扱える出力が決められています。等級と可能な出力は以下のようになっています。
1級 最大1000W 2級 200W 3級 50W 4級 10W
最近は3級以上の局が多く、大きな出力で交信を行っていますが、私が持っているのは4級の資格なので、扱えるのは基本的に10Wです。しかも使用している機材の最大出力が6Wなので、遠距離交信には向いていません。6Wと言うのは家庭用の照明の豆球とほぼ同じ電力です。しかし、昨夜は電波の伝搬が非常に良い状態で、普段は雑音に埋もれているような地域の局も明瞭に聞こえていました。これなら、もしかしたら非力な私の機材でも届くかもしれないと、ダメ元で相手を呼ぶと、何と1発で応答がありました。相手の局は兵庫県の姫路市です。
浜松と姫路の位置関係です。 (国土地理院の地理院地図を加工しています。)
浜松市と姫路市はおよそ280Km離れています。地図で見る通り、間には山があるので直線で電波は届きません。電話局や放送局のように、マイクロウェーブなどの高性能なアンテナと大出力の送信機を使えば何ということはないのですが、庭先に張った手作りの電線のアンテナと、たかだか6Wの出力の送信機で、280Km離れた局と明瞭な交信を行うことができたのは、ひとえに電離層のコンディションのお陰です。アマチュア無線では、受信状態を5段階の了解度と、9段階の信号強度で表し、最高の受信状態は59、最悪の受信状態は11となります。驚いたことに、私の電波は相手の受信機に59で受信されました。電離層のコンディションと相手の優れた機材に助けられた側面が大きいのですが、とにもかくにも、私の初の遠距離通信は大成功でした。
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