2019年9月25日 (水)

H-2Bロケット8号機が打ち上げ成功

本日午前1時5分、打ち上げ直前に発射台の火災によって打ち上げが中止となっていた、H-2Bロケット8号機が種子島宇宙センターから打ち上げられ、搭載した「こうのとり」8号機は予定軌道に投入されました。H-2Bロケットは、これまで連続7回打ち上げに成功して来ましたが、当初の11日の打ち上げ直前になって発射台の火災が発生、原因究明と再発防止策を取ることになりました。一旦は24日の再打ち上げを決定しましたが、ロシアの衛星打ち上げとタイミングが重なってしまったことから、再度打ち上げを延期し、本日無事に打ち上げに成功したものです。

火災原因は、発射台の保護塗料が、事前に放出されたエンジン冷却用の液体酸素によって剥がれ、静電気によって発生した火花が断熱材に引火して発火したもので、帯電防止のため表面にアルミ材を設置する対策が取られています。

今回の打ち上げは事故後初めてとなりましたが、ニュースとしての扱いは小さなものでした。かつては、ロケットの打ち上げはトップニュースで伝えられたものでしたが、もはや正常に打ち上げられるのは当たり前のことになってしまい、ニュースの価値が下がってしまったということでしょうが、それはそれで大変すばらしいことだと思います。

 

 

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2019年5月 4日 (土)

ホリエモンロケット打ち上げ成功

堀江貴文氏が役員を務めるベンチャー企業の「インターステラテクノロジズ」社は本日午前5時45分、北海道大樹町から自社開発のMOMO3号を打ち上げ、ロケットは高度113Kmに到達し、打ち上げは成功しました。MOMO3号は全長およそ10m、直径50cm、質量1150Kgで、エタノールを燃料、液体酸素を推進剤としています。機体の大きさは超小型衛星を打ち上げたJAXAのSS-520に近いものですが、MOMO3号は一段式のロケットのため、衛星の打ち上げ能力はありません。

但し、「インターステラテクノロジズ」社は、2023年までに超小型衛星の打ち上げを目指すとしていますので、計画通りに事が運べば、衛星打ち上げも夢ではありません。我が国最初の人工衛星は、東大航空宇宙研究所が1970年に打ち上げたラムダ4S5号機なので、今から50年近くも前のことです。10年ひと昔と言いますが、その間の技術の進歩は目を見張るものがありますので、民間のベンチャー企業と言えども侮れません。

民間では他にも、キヤノン電子が主体となって衛星の打ち上げを行う会社を発足しており、2021年の打ち上げを目指して和歌山県に射場を確保しています。

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2019年4月 4日 (木)

はやぶさ2が本日降下を開始予定

地上では色々と生臭い話題が流れていますが、遠い宇宙の向こうでは、はやぶさ2が次のミッションに向けて始動します。既に着地しての岩石サンプルの採取には成功している模様ですが、今回はインパクタと呼ばれる発射装置から金属弾を打ち込んでクレーターを作り、内部の岩石サンプルを目指します。

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2018年撮影の小惑星「リュウグウ」  (出典:JAXA)

予定では、本日午後1時頃にリュウグウの上空2万メートルから降下を開始し、5日午前11時頃にインパクタを切り離します。インパクタの撃ち込みによって岩石の破片が飛散し、機体が損傷する恐れがあるため、インパクタ切り離し後はリュウグウの反対側に回り込んで破片をやり過ごすことになっています。これらの個々の動作は地上からの指令ではなく、事前に組まれたプログラムに沿って全て自動で行われます。

プログラム通りにミッションが行われれば、はやぶさ2はクレーター内に着陸してリュウグウ内部の岩石を採取することになっています。もし成功すれば世界初の小惑星内部の岩石サンプル採取の快挙となりますので、成功を祈りたいと思います。

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2019年2月22日 (金)

はやぶさ2が「リュウグウ」にタッチダウン

小惑星「リュウグウ」への着陸のため、昨日午後から降下を続けていた小惑星探査機「はやぶさ2」が午前7時48分に「リュウグウ」へのタッチダウンに成功したとみられるとJAXAから発表がありました。当初の着陸予定は午前8時6分頃とされていました。

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小惑星「リュウグウ」です。 (出典:JAXA)

「はやぶさ2」は「リュウグウ」の岩石採取のため表面に金属製の弾丸を打ち込み破片を採取することになっており、その直後に表面を離れて上昇するプログラムになっていますが、上昇したことを示す信号を受信したことから、タッチダウンに成功したと判断したものですが、今後データーを詳細に分析して確認することになっています。

「リュウグウ」は地球から遠く離れているため、地上からの遠隔操作では細かな指示を送ることができず、高度500m付近からは「はやぶさ2」が自律的に制御を行ってタッチダウンする計画になっていました。従って下降状況から上昇に転換したことは、タッチダウンが行われたと判断された訳で、計画は一応の成功を収めたと考えられます。「はやぶさ2」はこの後、7月までに2回着陸を行い、2020年末に地球に帰還する計画となっています。

今後は無事に地球に戻り、岩石のサンプルの持ち帰りが確認されることが待たれますが、初代はやぶさに続く快挙を期待したいと思います。

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2018年11月 8日 (木)

「こうのとり」7号機が帰還に向けて出発

ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングしていた日本の宇宙船「こうのとり」7号機は本日未明にISSを離れ、地上に向かう軌道に向かいました。「こうのとり」7号機はゆっくりと地球を周回しながら高度を下げ、11日の午前7時前に大気圏に突入して太平洋上で燃え尽きる予定となっています。但し、今回は先端に物資を回収するための小型回収カプセルを搭載しており、パラシュートで減速して南鳥島付近の海上に着水して回収することになっています。。「こうのとり」7号機は日本列島を北西方向から南東側に向かって横切る形となりますので、晴れれば各地でこの様子を見ることができるものと思われます。

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回収カプセルです。 (出典:JAXA)

宇宙からのカプセル回収は既に「はやぶさ」で、小惑星イトカワからのサンプルを持ち帰ることに成功していますが、この時はオーストラリアの陸上でした。海上への着水はジェミニ計画など、米国が過去から幾度となく成功させていますが、我が国にとっては初のチャレンジになり、成功が期待されます。

こうのとりの話題をもう一つ。中日新聞が伝えるところによれば、今月上旬から浜名湖北部の水田に放鳥したコウノトリが飛来しているようです。識別タグによればこのコウノトリは生後7か月の雌の「歌」だと言うことで、9月30日に和歌山市内で見られて以来行方が確認されていませんでした。

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兵庫県立コウノトリの郷公園で飼育されているコウノトリです。

浜松へのコウノトリの飛来は2016年の7月以来ですからおよそ2年振りとなります。この時のコウノトリは静岡市周辺に留まっているようですが、「歌」も浜松が気に入って長期滞在してくれるとうれしいのですが、果たしてどうなりますでしょうか。

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2018年11月 2日 (金)

「みちびき」が運用を開始

先月29日にH-2Aの40号機が打ち上げられ、日本のロケット技術は成熟を高めていますが、衛星に関しては商業化が遅れており、まだまだ経験が不足しているようです。

そんな中、昨日はGPS補完システムの「みちびき」が運用を開始しました。「みちびき」は地球を南北方向に周回し、日本上空で8の字を描く軌道によって長時間衛星を視野に収めることを可能にしています。「みちびき」は3機がこの8の字の軌道を、1機が赤道上に静止する軌道を周回しますが、常時日本の真上付近に1機が見通せる状態を作り出しています。

「みちびき」は頭上付近に位置することで、ビルの谷間でも電波を受信することが可能になり、正確な位置を常時観測できますので自動運転に応用することが期待されています。本来は今年の4月からの運用開始を予定していましたが、今年6月になって3号機の送信機部分のスイッチに異常が見つかり、11月に延期されていました。

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みちびき2号機です。 (出典:JAXA)

同様のスイッチは他の衛星にも使われていましたので、派生が心配されましたが、今のところ3号機以外の衛星に問題は発生していない模様です。スイッチのトロブルは結局解消されないままで、運用を続ける方針ですが、トラブルの原因究明が急がれます。使用部品については地上で耐久試験がされている筈ですが、何故発見することができなかったのかについては課題が残る所です。衛星については専用品を減らして、汎用部品を使うことでコストを削減する動きがありますが、信頼性が確保できなくては何にもなりません。今後は回路の多重化などの対策も必要ではないかと考えます。

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2018年10月12日 (金)

有人ソユーズロケットが打ち上げ失敗

11日、国際宇宙ステーションへの米・ロの宇宙飛行士を乗せたソユーズロケットが打ち上げに失敗しましたが、乗員は緊急脱出して、無事に地上に帰還しました。

ソユーズロケットはロケットエンジン4基を束ねた2段目エンジンの周りを同様の4基のロケットエンジンを束ねた1段目のエンジン4つを取り付けた構造で、打ち上げ時には1、2段合わせて20基のエンジンに点火して上昇する仕組みです。20基ものエンジンを使用するのは、無理して高性能を求めていないからで、その分信頼性が高くなります。対極にあるのが我が国のH-2Aロケットで、小型高性能にこだわっているので、精密な加工が必要とされ、その分高価となっています。

今回は1段目のエンジン切り離しに際し、一段目エンジンが2段目ロケットに接触したため2段目エンジンが緊急停止したことが原因とされていますが、詳しいことは判っていません。

乗員が無事に帰還できたのは何よりですが、有人ロケットが打ち上げに失敗したことはショックです。ロシアは米国と並ぶ宇宙大国ですが、最近はロケット打ち上げ失敗が多く、有人機での事故を心配していました。ソユーズに限っても、2002年、2005年、2011年2回と4回の失敗を数えています。

2006年から2015年にかけての各国の打ち上げ状況は以下の通りです。

国名           米国     ロシア    日本     中国

打ち上げ回数     181     318     30      136

失敗数           5      19      0        3

成功率 %       97.2    94      100     97.8

我が国でも、2003年に現在の主力ロケットH-2Aの6号機が固体ロケットブースターの切り離しに失敗していますが、以後輸送ロケットでの打ち上げ失敗は起きていません。この事故を受けて、ロシア政府は事故原因が究明されるまで有人飛行は中止するとしていますが、当然です。人命がかかっていますので、徹底した原因究明が求められます。         

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2018年9月15日 (土)

H-2Bロケット打ち上げが直前で延期に

本日午前5時59分、種子島宇宙センターから「こうのとり7号機」を載せたH-2Bロケット7号機の打ち上げが予定されていましたが、2段目エンジンの燃料系統に使用されているバルブに異常が見つかったため、打ち上げ4時間前に中止となりました。

問題のバルブは燃料タンクの圧力が高くなり過ぎるのを防ぐため、一定の圧力以上で作動し、外部に圧力を逃がす働きをするものですが、当該部分の圧力が所定の数値にに達せず、打ち上げに支障が出ると判断されたことにより中止に至ったものです。機体の製造を行っている三菱重工によれば、バルブはH-2A、H-2B共通で使用されていますが、このようなトラブルは初めてだと言うことです。

発射前に異常が見つかったことは、不幸中の幸いでしたが、製造段階や組み立て段階で発見できなかったことは残念です。バルブのトラブルと言えば、我が国の宇宙開発を取り上げたドラマの「下町ロケット」では、ロケット組み立て段階でのバルブの洗浄の不備で、打ち上げに失敗してしまう設定でしたが、今回のトラブルはこのフィクションを地で行く格好です。

宇宙ロケットは多くの部品の集合体で、その内の1個でも不具合があると、打ち上げそのものが上手く行きません。原因究明には最短でも1週間程度を要する見込みですが、この際、問題点を徹底的に洗い出して、次回の打ち上げを成功させて欲しいものです。

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H-2A31号機の打ち上げ。 (出典:JAXA)

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2018年8月 7日 (火)

JAXAが再使用ロケット開発計画を報告

衛星打ち上げコストの引き下げの手段として、使用するロケットを改修して再使用する方法があります。この方式については米国のスペースX社が先行しており、既に何十回も回収に成功し、再使用の打ち上げにも成功しています。我が国は1990年代にこの方式について研究していましたが、2008年以降開発は中断していました。

スペースX社の動きに刺激され、後追い感は否めませんが、我が国でもこの方式について開発をすすs目ることになっていますが、JAXAは今月2日、再使用型宇宙輸送システムの開発について宇宙開発部会(文部科学省 科学技術・学術審議会)において報告し、外部に公表しました。

発表された資料によれば、現在能代実験場で開発試験が行われている「飛行実験フェーズ1」で使用する垂直離着陸が可能な機体のRV-Xを使い、2018年度末に高度100mまでの飛行試験を予定しています。

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RV-Xの概要です。 (出典:JAXA報道資料より)

更に「フェーズ2」としてRV-X用エンジンを活用してより実際的な機体を製作し、再使用ロケットの技術を確立する上でのキーとなる技術を飛行実験により実証するとしています。

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フェーズ2に使用する機体の概念図。 (出典:JAXA報道資料より)

こちらは姿勢制御に用いる空力操舵や着陸のための降着装置を備えています。打ち上げロケットの改修については、機体の姿勢制御やエンジンの停止や再着火、推力の制御を組み合わせることで実現可能となりますが、何より先行するスペースX社が成功していますので、要は実用技術を確立するのみです。楽観は禁物ですが、チャレンジする価値は十分ありますので今後に期待したいと思います。

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2018年7月 1日 (日)

民間開発ロケットMOMO2号機の打ち上げに失敗

堀江貴文氏が出資するベンチャー企業インターステラテクノロジズ社(IST)が独自開発し、高度100Kmの宇宙への打ち上げを目指している液体燃料ロケット「MOMO」2号機が、6月30日午前5時30分に北海道大樹町の発射場から打ち上げられましたが、離床後4秒で地上に落下し、機体が炎上して打ち上げは失敗しました。

ISTは昨年の7月30日に「MOMO」1号機を打ち上げましたが、飛行の様子を送信するテレメトリーが途中で途絶したため、打ち上げから66秒後、高度20Km付近で地上からの指令でエンジンを緊急停止し、機体は海上に落下しています。

この時のトラブルの原因は、機体の強度不足によって打ち上げ時の振動で機体が破損、テレメトリーの電源ケーブルが切断したものと考えられたことから、機体の強度を増す改良が加えられていました。その後、燃料などの制御を行うバルブ系の不具合が見つかり、別の部品に切り替えるなどの措置を取っていましたので、今回の打ち上げには大きな期待が寄せられていました。

ロケットに使用している液体燃料ロケットはISTが独自開発したものですが、予め地上で燃焼試験をして、信頼性を確認していますので、このようなトラブルが起きるのは想定外と言えます。同社は更なる打ち上げを目指すとしていますので、徹底した原因究明を行い、次回の打ち上げでは是非成功することを期待したいと思います。

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