2017年8月19日 (土)

みちびき3号が再打ち上げへ

今月12日にH‐ⅡAロケット35号機で打ち上げ予定だった、みちびき3号機は燃料系統のバルブのヘリウムガスの漏れが見つかり打ち上げは中止されました。この原因についてJAXAと三菱重工は本日、ヘリウム漏れはヘリウムガスタンクの金属製のシールに異物が付着し、隙間ができたことが原因だったと発表しました。

まるで「下町ロケット」作中のエピソードのような話ですが、タンクの調達が予定通りに進まず、組み立ての順序を変更したことが異物の混入につながった可能性があるようです。何にしても、事前のチェックで異常を発見でき、打ち上げを中止できたことは幸運だったと言えるでしょう。通常の組み立て手順であったなら、組み立て後の点検で異常を発見できたのでしょうが、組み立ての順序を変えたことによってトラブルを見逃してしまいました。今後は通常の手順を変える場合には、チェックの方法も併せて変更する仕組みに変えるものと思われます。

H‐ⅡAロケット35号機は、19日午後2時29分に打ち上げられる予定です。

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2017年8月12日 (土)

みちびき3号を打ち上げへ

日本版GPSシステムを構築する位置情報衛星のみちびき3号が、本日午後1時40分に種子島宇宙センターから、H-2Aロケット35号機で打ち上げられます。当初は昨日の予定でしたが、天候不良で本日に順延になりました。

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H-2A31号機の打ち上げの瞬間 (出典:JAXA)

みちびき衛星システムは民生目的とされていますが、安全保障上も大きな役割を果たすことになっているのではないかと推測されます。他のみちびき衛星は日本の上空で8の字を描く順天頂軌道を通りますが、本日打ち上げの3号機は赤道上に位置する静止衛星で、大規模災害時には被災地との衛星通信を担うことが計画されています。今年の九州北部の豪雨災害でも孤立地区との通信が途絶して、安否確認に時間を要しましたが、この衛星によってこの問題も解決されますので、成功が期待されます。

※どうやら推進系に異常なデーターが見つかった模様で、確認作業に時間がかかるため、残念ながら午後3時49分に本日の打ち上げ中止が決定しました。次の打ち上げ予定は未定です。

13日追記

トラブルは、燃料や推進剤の量をコントロールするバルブを駆動させるヘリウムガスが漏れている可能性があったためと判明しました。異常の数値は許容の範囲内でしたが、打ち上げによって更に状況が悪化する可能性が排除できなかったことから中止を決断したとのことです。再打ち上げは、早ければ16日になる見込みですが、現時点では確定していません。

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2017年7月31日 (月)

民間ロケット打ち上げに失敗

堀江貴文氏が役員を務める民間ロケット打ち上げ会社のインターステラテクノロジズ㈱は30日午後4時32分、北海道大樹町から初めてとなる観測ロケット{MOMO」の打ち上げを行いましたが、発射後66秒にロケットとの通信が途絶えたため、燃焼を中止し、打ち上げは失敗に終わりました。当初の計画では120秒間エンジンを燃焼させ、高度100Kmに到達する予定でしたが、今回の到達高度は10Kmにとどまった模様です。インターステラテクノロジズ㈱は小型衛星の打ち上げを目指し、使用する液体燃料ロケットを自社で独自開発し、地上燃焼試験では120秒間の燃焼に成功していました。

通信途絶の原因は機体の破損により、ケーブル類が切断してしまったためと考えられます。速度が音速を超えたあたりで発生していることから、共振によって増大した振動に機体強度が耐えられなかったものと思われます。

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超小型ロケットで衛星の打ち上げを目指したSS-520 4号機 (出典:JAXA)       SS-520 4号機もテレメトリーの中断により打ち上げに失敗しています。

今回、初打ち上げとなった訳ですが、資金の問題もあり十分な地上での試験が行えていないようです。今回打ち上げ直前になって、燃料を開閉する電磁バルブが酸化剤の液体酸素による低温の影響で正常に機能しなくなり現場での対応を迫られる事態となりましたが、これも事前に注入試験を行っていれば、早い段階で気づくことができた筈でした。また、失敗の直接原因となった機体強度についても風洞実験などを行っていれば事前に把握できた可能性があります。ただ、自社の設備には限りがありますので、実際の飛行の中で解決するしかないのかも知れません。このあたりは、糸川博士が中心となってラムダ4Sロケットで国産初の人工衛星打ち上げに挑戦していた東大宇宙航空研究所とダブルところですから、是非とも頑張って欲しいところです。

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2017年6月 1日 (木)

みちびき2号打ち上げ成功

GPSの精度を飛躍的に向上させることが期待されている、準天頂衛星システムのみちびき2号を載せたH-IIAロケット34号機が、本日9時17分種子島宇宙センターから打ち上げられ、予定軌道にみちびき2号を投入し、打ち上げは成功しました。H-IIAロケットの打ち上げ成功率は97.06%(33/34回)、H-IIBを加えた成功率は97.5%(39/40回)となりました。

準天頂衛星は日本とオーストラリアの上空を8の字を描いて飛行しますが、名前の通り頭の上の軌道を通ることから、都会でもビルなどの陰になり難い特徴があります。1基の衛星が日本上空に滞空するのは8時間ほどなので、今後残り2基を打ち上げて4基で24時間の運用を確立します。

みちびきのシステムによって、従来のGPSでは最大で10mあった位置の誤差が、最小で6cmまで向上させることが可能となりますので、農業機械や輸送機器の自動運転など幅広い応用が期待されています。

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2017年4月 8日 (土)

小型ロケットでの衛星打ち上げに再挑戦

JAXAは今年の1月15日に観測ロケットSS-520を使った小型衛星の打ち上げにチャレンジしましたが、電気ケーブルがショートするトラブルが発生し、打ち上げは失敗しました。当初打ち上げは一回のみとされていましたが、基幹システム外の単純なトラブルによる失敗だったことから再度チャレンジしたいとの意向が示されていました。

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1月15日の打ち上げ時のSS-520 4号機。 (出典:JAXA)

7日にJAXAが公表したところによれば、再チャレンジは今年度中に行われ、予算は前回同様の5億円になると言うことです。

先日スペースX社のファルコン9ロケットが回収したロケットの再使用による打ち上げと再回収に成功し、将来的に打ち上げコストの大幅な引き下げが現実のものとなって来ており、低コストでの打ち上げについての期待が高まっています。JAXAの小型衛星も民生技術を多用した低コストを売りにしていますので、次回は是非成功して欲しいものです。

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2017年4月 1日 (土)

ファルコン9が再利用エンジンでの打ち上げに成功

宇宙船や人工衛星の打ち上げにはロケットを使いますが、多額の費用がかかります。我が国も独自技術によって衛星の打ち上げを行っていますが、他国と比較して打ち上げ費用が高いと言われ、打ち上げビジネスはまだ緒に就いたばかりです。

米国では打ち上げ費用を下げるためスペースシャトルを開発し、何回も使えるロケットを目指しましたが、宇宙船の断熱タイルの剥離問題が克服できず、予定を切り上げて運用を終了してしまいました。

しかし、2002年に設立されたスペースX社は、再利用できるロケットとして2段式のファルコン9ロケットを開発し、これまで13回の回収に成功していました。フルコン9は2段目を切り離すと1段目の姿勢を180°ターンさせ、9基あるエンジンを全て噴射して減速、大気圏に再突入させてエンジンを9基から3基、そして最後は1基のみを使って軟着陸させます。

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ロケットの打ち上げから着陸までのプロセスです。

日本時間の3月31日、昨年4月に打ち上げ後回収された1段目を使用したファルコン9ロケットは打ち上げ後衛星を搭載した2段目を切り離し、2段目は順調に飛行して衛星の軌道投入に成功、1段目は再び回収されて再使用のロケットとして初めて再打ち上げに成功しました。現在は1段目のみの回収ですが、将来的には2段目の回収も目指すとのことです。

ロケット打ち上げコストの80%は機体のコストと言われていますので、再利用できれば打ち上げコストの大幅削減につながります。現在ファルコン9の打ち上げ費用は70億円以下と言われていますが、再利用が可能となれば理論上は20億円以下に引き下げることが可能となります。我が国はイプシロンロケットの打ち上げ費用を30億円以下にすることを目標としていますが、更なるコスト削減が必要になるかも知れません。

これまでは、より重いものをより遠くまでがロケットの性能の評価でしたが、今後はより安くの視点が重要になってきますので、より簡単な機構で安く作れることが優れたロケットの条件になって来るようです。

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2017年3月17日 (金)

H-IIAロケット33号機打ち上げ予定

本日午前10時20分に種子島宇宙センターから、 情報収集衛星レーダー5号機を搭載したH-IIAロケット33号機が打ち上げられます。当初は昨日の打ち上げ予定でしたが、上空に打ち上げに支障をきたす雲がかかる恐れがあると予想されたことから、本日に延期となったものです。

H-IIAロケットは6号機の失敗以来、7号機から連続して26回打ち上げに成功しており、今回成功すれば連続打ち上げ回数を27回に更新することになります。最近の日本のロケット打ち上げは大変安定しており、H-IIシリーズはH-IIBロケットと合わせると38回中37回の成功で成功率は97.4%となっており、優秀とされる目安の95%以上を達成しています。

今回もロケットに関する不具合の情報は全く入っていませんので、不安な要素はありません。既にネットの生中継も始まっており、無事な打ち上げを見守りたいと思います。

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H-2Aロケット31号機の打ち上げ (出典:JAXA)

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2017年2月18日 (土)

JAXAがSS-520ロケット再打ち上げへ

JAXAは先月15日、世界最小の人工衛星打ち上げロケットを目指して内之浦からSS-520ロケット4号機を打ち上げましたが、途中から2段目からの信号が受信できなくなり打ち上げは失敗しました。

JAXAは失敗の原因を調査していましたが、今月13日に原因は軽量化のために細くした電線が打ち上げの振動で機体とこすれて断線したためと思われると発表していました。その際、再チャレンジはとの記者の質問に対し、現時点では未定ですと回答していましたが、17日の記者会見で一転して再チャレンジすると発表しました。JAXAの奥村理事長は会見で、(再打ち上げには)「機構全体で臨む」として万全の態勢で取り組む決意を明らかにしています。

SS-520は元々高層に観測機器を打ち上げるためのロケットで、人工衛星打ち上げ用のロケットではありません。そもそも打ち上げ可能な数キログラムの人工衛星では、できることが限られるため実用性があるとは考えられていませんでした。しかし技術の進歩の結果、3キログラムの人工衛星でも地球を回りながらカメラで地表の映像を送ることができるようになり、4号機ではそれを実証する予定でした。

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一般仕様のSS-520ロケット。 (出典:JAXA)

当初、打ち上げは一回限りで2回目の打ち上げはないとしていましたが、思わぬ失敗をしたことで、民生品を多用することで打ち上げコストを低く抑えるとの打ち上げ目的を達成できなかったことから再チャレンジを決断したものと思われます。

実用化を目指すのであれば、もう少し打ち上げ能力を高める必要があると思われるので若干のサイズアップが必要ではないかと思います。ただしサイズアップすれば新たな試験打ち上げも必要となり、当然開発コストも必要となります。そのためには再打ち上げを成功させた上で、マイクロ衛星打ち上げ用ロケットの開発を目指すのが正攻法だと思いますので、何としても成功して欲しいものです。

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2017年1月19日 (木)

ミニイプシロンロケットへの提言

今月24日にはH-IIAロケット32号機で、Xバンド防衛通信衛星「きらめき2号」が打ち上げ予定です。かつてはロケットの打ち上げと言うと、漁業関係者との調整で春季と秋季の2回、年に2~3回の打ち上げしかできませんでした。ところが、今年は月平均で1機以上が打ち上げられることになっており、以前と比べると正に隔世の感があります。

ところで、先日のSS-520打ち上げ失敗の際に、ミニイプシロンロケットの開発をすべきとの提言をしましたので、今回はもう少し具体的な話をしたいと思います。

現在我が国はH-IIAロケットとイプシロンロケットの二つのロケットを運用しています。大まかに言えば、大型の衛星はH-IIAロケット、それ以下の衛星はイプシロンロケットと言った使い分けです。ところが技術の進歩の結果、100Kg以下でも実用的な観測衛星が運用できる時代となりました。となれば、小型の衛星を高額な大きなロケットで打ち上げるのは無駄なこととなります。今回の打ち上げ実験のように、数Kgの衛星でも実用的な運用が可能であるならば、それに合わせたロケットを運用すべきです。

私が考えているのはわが国最初の人工衛星を打ち上げたラムダロケットと本格的な実用衛星を打ち上げたミューロケットです。

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SS-520ではわずか3Kgの超小型衛星しか打ち上げできませんが、L-4Sを原型としたロケットであれば、10kg程度の衛星の打ち上げが可能です。またM-3Sでは重さ300kgの衛星の打ち上げが可能ですが、この分野はイプシロンに任せれば良いので、打ち上げ能力を100kg程度としてコストの低減を図ります。

100Kg以下の衛星と聞くと、何やら頼りなさそうな気がするかも知れませんが、2011年には重量65Kgの深宇宙探査機「PROCYON」(プロキオン)が打ち上げられています。この衛星はH-IIAロケットで他の衛星と相乗りでしたが、専用のロケットがあればもっと柔軟に打ち上げることが可能です。

目標コストは私が勝手に決めたものですが、諸外国とのコスト競争に勝つためにはこれ位の金額が必要になると考えています。従来は打ち上げが決まってからロケットの製造に取り掛かっていましたが、あらかじめ5機なり10機を作っておくことで、大幅なコストダウンが可能となります。また、打ち上げに際してはイプシロンロケットの管理手法を採用して、打ち上げコストの削減を図れば良いと考えています。

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2017年1月11日 (水)

ミニイプシロンロケットの開発を

今日は観測ロケットSS-520を転用した世界最小の衛星打ち上げロケットSS-520 4号機の打ち上げが予定されていましたが、強風のため打ち上げ3分前に中止となりました。当初の計画では、内之浦宇宙空間観測所から午前8時43分に打ち上げられることになっていましたので、打ち上げ成功の報を待っていましたが、いつまで待っても報道がなく、やっと確認が取れたら打ち上げ中止と言うことでがっかりでした。

打ち上げ時に強風が吹いていると、切り離したロケットが予定した海域を外れて落下してしまうため、あらかじめこれ以上の風速では打ち上げを中止する風速が決められており、H-IIAでは16.4m/秒、イプシロンでは20m/秒でした。今回のSS-520では15mに設定されていましたが、打ち上げ8分前の観測データーを分析した結果、打ち上げ3分前に中止となりました。

ところで、今回打ち上げる予定だった超小型衛星「TRICOM-1」ですが、重量はわずか3Kgでした。これは元々観測用だったSS-520の打ち上げ能力が低く、3kgのペイロードを180kmの高度に打ち上げるのがやっとだったからです。しかし、高度180kmではわずかながら大気の影響があり、衛星は少しずつ高度を下げてやがて地上に落下してしまいます。また、搭載できる機器に制約ができてしまいますので、より大きな衛星を打ち上げることができる能力のロケットが必要ではないかと思われます。

実は先日2号機を打ち上げたイプシロンロケットは、小型の衛星を必要な時に低コストで打ち上げることを目的としていますが、新しい技術を積極的に取り入れた技術実証の役割を果たすことが求められています。つまり、イプシロンで開発した技術を危険を冒すことなくH-IIA、IIBの打ち上げにも利用しようと言うものです。

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イプシロンロケット (出典:JAXA)

で、あるのならSS-520を上回る実用衛星を打ち上げる能力を持ったミニイプシロンとも言うべき小型ロケットが求められるのではないでしょうか。イプシロンを更に下回るコストで、超小型衛星を打ち上げる専用の機体です。そして、新たな技術をまずこのロケットで試し、上手くいったところでイプシロンやH-IIA、IIBに採用すれば、リスクを減らすことができる上に、最小限のコストで新技術が開発できます。できれば我が国最初の人工衛星を打ち上げたL-4S位の外観・能力の小型ロケットが望ましいのではと考えます。

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