2020年1月 9日 (木)

米国、イラン全面戦争は回避

昨日、イランがアサド空軍基地など、イラク国内の米軍施設二ヶ所に対し、弾道ミサイル十数発を発射しました。これに対し、米国が報復攻撃を行い両国が本格的な紛争状態になることが懸念されましたが、米国は報復攻撃をとどまり、エスカレートの事態は避けられました。詳細は明らかになっていませんが、アサド基地では無人機の格納庫を標的にするなど、米軍兵士への直接的な攻撃を避けた抑制的なものであったこと、それによって米軍に大きな被害が出なかったことによるものと見られます。但し、見方を変えれば、イランの弾道ミサイルは大変命中精度が高いことを実証した訳で、米国を含めた周辺国は改めて脅威と感じたのではないでしょうか。もちろん重要施設については、米軍がパトリオットなどで迎撃した結果でもある可能性も否定はできません。

イラン側の出方次第で、緊張が激化する可能性は残っていますが、とりあえずの危機は回避できた模様です。イランとしても、国内の不満を解消するためにある程度の軍事力行使を行使しなければならなかったのでしょうが、更に規模を拡大すれば、米国としてもある程度の反撃をせざるを得なくなり、両国の関係が泥沼化する恐れがありますので、双方の自制が求められます。

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2019年11月28日 (木)

イージスアショアは脆弱か

自民党の石破氏と国民民主党の前原氏が、我が国の安全保障問題について、党派を超えた勉強会を発足させることで足並みを揃えるそうです。昨夜は、両人がBSの番組に生出演して安全保障に対する持論を展開しましたが、国会での与野党の空疎な議論と違い実のある放送になったと感じました。その中で前原氏が、導入を予定しているイージスアショアについて、巡航ミサイル攻撃に対処できないので、導入はいかがなものかと言ったニュアンスの発言をしましたが、ちょっと認識が違うのではないかと感じました。

イージスアショアは、イージス艦に搭載したSM-3ミサイルを含むイージスシステムを地上に設置するものですが、何故そのような必要があるのかが、理解されていないようです。元々はヨーロッパの内陸部に迎撃ミサイルを配置するのに、イージスシステム以外に選択肢がなかったことから発案されたものですが、そもそもイージス艦は定期整備や補給が必要なため、46時中海上にとどまることはできません。我が国は当初あたご型4隻のイージス艦を保有し、弾道ミサイル防衛に当たって来ましたが、常時4隻をミサイル防衛任務に就かせることは困難でした。今後は8隻体制にして、投入できる数を増やす計画ですが、本来のイージス艦の任務は僚艦の艦隊防空です。弾道ミサイル防衛任務にかかりっきりでは、本来の艦隊防空任務に穴が開きかねませんので、常時ミサイル防衛に当たることが可能なイージスアショアの導入が決まった次第です。

イージスアショアは地上配備となりますので、固定目標として巡航ミサイルの標的にされると言うのはその通りですが、イージスシステムでは射程が400Km以上とされる新型のSM-6ミサイルを同時に運用できますので、自己防衛が可能です。またイージスアショアを担当する陸上自衛隊にも、射程50Kmの通称「中SAM」の03式中距離地対空誘導弾がありますので、航空機や巡航ミサイルへの対処が可能です。前原氏が例として取り上げたサウジの石油プラントの場合は、自国内陸部と言うことで、全く防衛体制が敷かれていませんでした。更に言えば、我が国領空に至るまでに空自のレーダーサイトや早期警戒機による発見が可能ですから、着弾前に十分迎撃が可能です。

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E-767早期警戒管制機です。

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空自の基地防空用地対空誘導弾です。陸自には搭載車両だけが違う11式単距離地対空誘導弾があり、対空任務に当たります。

とは言っても、問題提起としてイージスアショアの短所をどうカバーすべきかを議論することは意義のあることだと思いますので、この手の議論を政争の具とせず、国民の安全保障を高める目的で活性化させることを期待したいと思います。

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2019年9月19日 (木)

サウジが石油施設攻撃のミサイルと無人機を公開

サウジアラビア国防省は現地時間の18日、同国の石油施設を攻撃した巡航ミサイルと無人機の残骸を公開しました。航海された巡航ミサイルは、存在が知られているイラン製のQuds-1に酷似しており、近隣に独自でこのような兵器を開発できる国はないことから、自国から発射したかは別として、イランが何らかの形で関与していることは間違いありません。また無人機はHazemⅡによく似ていますが、推進方式が前部プロペラから後部プロペラに変わっています。推測ですが、GPS誘導に加え、最終段階で画像誘導で目標に突入させるため、プロペラ位置を尾部に移した可能性が考えられます。

イランは、いつものように関与を否定しており、サウジもイランを名指しはしていませんが、これらの兵器を保有・供与できるのはイランをおいて考えられず、何らかの影響力を行使したと考えられます。今年6月にはホルムズ海峡付近を航行していたタンカーがミサイルによる攻撃を受ける事件が起きています。この時もイランは関与を否定していますが、イラン以外の国が攻撃を行うメリットがないことから、イランの可能性が濃厚でした。イランは、米国の経済政策によって原油の輸出を事実上止められており、周辺の危機を高めることで制裁の緩和狙っているか、米国に対する不満を晴らし、政権の支持率向上を狙った可能性があります。

トランプ政権としては、来年の中間選挙を控えて、新たな紛争を抱えることは避けたい意向ですが、イランに公海上を飛行中の無人偵察機を撃墜されており、何も手出しできないとのシグナルを送ることになることも受け入れられないジレンマを抱えています。低空を飛行する巡航ミサイルの探知は元々難しいものですが、今回の攻撃は対空レーダーの設置場所を巧みに避けるなど、相手の手の内を知り尽くした上で行われており、何もしないことは米国の影響力を大きく低下させます。以前、シリアの空軍基地に対して行ったように、巡航ミサイルによるかなり抑制的な攻撃が考えられますが、何らかの実力行使は避けられないのではないかと思われます。

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2019年7月 6日 (土)

対艦弾道ミサイルは脅威か

かつて中国が台湾に対して軍事的圧力を強めた時、米国は空母打撃群を台湾近海に展開させ中国を力で沈黙させました。以後、中国は空母の保有を目指すと共に、対抗手段を講じることとなりました。その一つが対艦弾道ミサイルです。弾道ミサイルは射程が長いので、防衛がしやすい大陸の奥深くから、はるか遠くの洋上にいる空母に攻撃を加えることが可能だとするものです。中国はMRBM(準中距離弾道ミサイル)DF-21の改良型を開発し、すでに実戦配備していると公表していますが、対艦弾道ミサイルそのものの性能については一切明らかにしていません。

米国メディアが伝えるところでは、米国国防省が中国が南シナ海で対艦弾道ミサイル6発の発射実験を行ったとして中国を非難したと言うことです。米国はこれより前の6月29、30日に弾道ミサイル偵察機のRC-135コブラボールを飛ばしていますので、この期間に発射実験が行われたものと見られます。また、佐世保に配備されている弾道ミサイル追跡艦の「ハワード・O・ローレンス」が6月14日にシンガポールのドックを出港したと見られていますので、発射実験の監視に参加していたものと考えられ、米国にとっては格好の情報収集の機会になった模様です。

では対艦弾道ミサイルとは本当に脅威なのかについて考えてみたいと思います。通常の対艦ミサイルは、相手の探知を避けるために、レーダーに捉え難い海面すれすれを飛翔します。しかし、弾道ミサイルは発射時点から探知されるうえに、護衛のイージス艦から迎撃がしやすいと言われるヘッドオンの状態で迎撃が可能です。わざわざ姿を曝す攻撃方法がどこまで有効か疑問です。また、中国以外にこの手のミサイルを配備している国がないことも有効性を疑わせます。

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迎撃ミサイルSM-3ブロック2Aの発射シーンです。 (出典:防衛省)

また、一般の弾道ミサイルは固定された地上目標を狙うのが一般的です。空母のような移動する相手を狙うことは技術的にはかなりの困難が伴います。一般のミサイルは発射後、大気圏外で弾頭を切り離します。その後弾頭は大気圏に再突入しますが、その際に大気との摩擦で高温となり、プラズマに包まれて電波が遮断されます。高度としては70~40Kmの間と考えられます。従って、最終的に70Km以上の高度で相手を捕らえて突入することが必要ではないかと思われます。MRBMの突入速度は2~3Km/秒なので、高度80Kmから海面に到達する時間を単純計算すれば、80÷3≒26.7秒です。一方空母の速度を30ノットとすると1秒間に移動する距離は15.4mです。26.7秒では411mとなります。元々のDF-21の命中精度(半数が到達半径)はおよそ300mと言われていますので、411m先の未来位置に正確に着弾させるのはかなり困難ではないかと思われます。また、相手のレーダー探知を避けるため、相手のレーダーに向かって目つぶしのように妨害電波を照射して防衛行動をとりますので、そもそも正確な位置測定が行えるかも疑問です。

以上の事を考え合わせると、現時点で高い脅威であるとは到底考えられません。油断は禁物ですが、対抗手段で十分防禦可能と見るのが妥当ではないでしょうか。

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2019年6月21日 (金)

イランがアメリカの無人機を撃墜

昨日、イランがホルムズ海峡上空で領空を侵犯したとして米軍の無人偵察機を撃墜したと発表しました。米軍によれば、撃墜されたのはMQ-4Cトライトンで、飛行していたのは公海上だったと言うことです。MQ4CトライトンはRQ-4グローバルホークの派生型で、海洋の長時間の広域監視を目的とした大型無人機です。トライトンはおよそ18000mの上空からXバンドレーダーを使って船舶の監視を行いますので、わざわざ領空(海岸線から約22Km)に侵入する必要はありません。また米軍は公海上で撃墜されたトライトンの破片の回収を行っている模様です。

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無人偵察機グローバルホーク (出典:防衛省)

前回のタンカー攻撃も、革命防衛隊によるリムペットマインによるものとの見方が強まっていますが、今回の撃墜を行ったのも革命防衛隊です。イランは政府の指揮下にある正規軍とは別に、イスラム教が主導する軍事組織「革命防衛隊」があり、正規軍と遜色ない装備を持っており、外交的配慮を考慮する正規軍とは違い、対米強硬論を主張しています。

このようなことを考え合わせると、今回の事案は革命防衛隊による挑発行為の可能性が高いと見られますが、このような行為が続けられれば米国も看過できないので、どこかで限定的な攻撃が加えられる可能性も否定できません。今のところ、米国の動きは抑制的ですが、軍事力の増強に動くことは間違いありませんので、イラン側の自制が求められます。

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2018年5月24日 (木)

イスラエルがF-35を実戦投入

ステルス戦闘機のF-35Aは航空自衛隊が導入を進めており、1月26日に1機目が三沢基地に配備されたのを皮切りに今月15日には2機目が、そして明日25日には5機が追加配備されて合計7機の体制になります。そんな折、22日にイスラエル国防軍がF-35Aを世界で最初に実戦投入したと明らかにしました。米軍は既にF-35A、F-35Bを実戦配備していますが、これまでに攻撃任務に就いたことはありません。

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F-35A (出典:防衛省)

報道によれば、イスラエル空軍のF-35Aは中東全域を飛行し、これまでに2回の攻撃を行ったとしていますが、具体的な目標は明らかにされていません。実戦投入についてはある程度予想されたことで、特に驚きはありません。イスラエルとシリア、シリアを支援するイランとの緊張が高まっており、2月にはイスラエル北部を飛行中のF-16戦闘機がシリア側からの地対空ミサイルで撃墜される事件が発生したり、イスラエルが撃墜したイランの無人機を巡って避難の応酬をしています。

やられたらやり返すイスラエルは、都度報復攻撃をしていますが、その中でF-35が行ったのではないかと思われるケースが二つありました。一つ目は5月11日のシリアに展開しているイラン革命防衛隊のロシア製パーンツィリ-S1近距離対空ミサイル・機関砲システムの破壊です。パーンツィリ-S1は対空レーダーを備えており、自車で捉えた目標を対空ミサイルと機関砲で撃墜するシステムですが、公開された搭載カメラの映像では何の対応もしないままに破壊されてしまいました。

二つ目は5月18日に発生したと言われるシリアのハマ空軍基地の爆発で、イスラエルによるミサイル攻撃ではないかと言われていました。

シリアはロシアから様々な兵器を導入しており、防空体制を強化しています。このため、イスラエルも従来のようには簡単にはシリア領内を攻撃できなくなっており、F-35の投入に踏み切ったのではないかと思われます。但し、最新型機であるF-35は機密の塊でもありますので、万一他国領土内で撃墜されれば、機体情報が漏洩する可能性がありますので、我が国としても無関心ではいられません。

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2018年4月16日 (月)

シリアへのミサイル攻撃にEA-6B電子戦機が参加

シリアの化学兵器関連施設への巡航ミサイル攻撃について概要が明らかになりました。

紅海、ペルシャ湾、地中海の米艦船からトマホークが合わせて66発、地中海の仏フリゲートからNdCN巡航ミサイルが3発、米空軍のB-1B爆撃機2機からJASSM-ER巡航ミサイルが19発、英空軍のトーネード攻撃機4機からストームシャドウ巡航ミサイルが8発、仏空軍のラファール戦闘機5機とミラージュ2000戦闘機4機からスカルプ-EG巡航ミサイルが9発の合計105発が撃ち込まれたと言うことです。

この内、航空機については米空軍のF-15、F-16戦闘機、英空軍のユーロファイター戦闘機、仏空軍の早期警戒管制機が護衛や警戒のために随伴した模様ですが、中でもB-1B爆撃機にEA-6B電子戦機が随伴したことです。電子戦機は味方の損害を抑えるため、相手のレーダー網を制圧したり、相手機の通信やレーダーの使用を妨害する能力を持っていますが、米海軍では既に後継のEA-18Gに置き換わっており、EA-6Bが登場したことは正直驚きです。シリアにはロシア軍が駐留してアサド政権を後押ししており、ロシア基地が攻撃されれば、反撃すると公言していましたので、万一に備えて電子戦機を投入したものと思われます。

では何故最新鋭のEA-18Gではなく、旧型のEA-6Bだったのか。それはシリアからの長距離地対空ミサイルの攻撃を考慮したためだと考えられます。ロシアはシリアにS-300地対空ミサイルシステムを供与していますし、ラタキアにあるフメイミム空軍基地には最新鋭のS-400長距離地対空ミサイルシステムを派遣しています。当然首都ダマスカス近郊にもそれなりの防空システムを展開していると考えるのが自然です。ダマスカスから南部の国境までは約140Kmなので、長距離ミサイルを使用すれば、越境しての迎撃も可能です。

JASSM-ER巡航ミサイルの射程は約900Kmなので、目標から遠く離れた位置から攻撃可能ですが、速度は時速900Kmほどですから目標まで1時間かかることになります。これはかなりの長時間で、もし事前に探知されれば迎撃するのに必要な時間を相手に与えることになります。従って、できるだけ近い位置から発射する方が、目標にに命中する機会が増えることになりますが、撃墜の危険性は高まります。ましてや今回は事前に攻撃を予告していますので、リスクは更に高まります。

従って、ステルス機のB-1Bはともかく、護衛のF-15、F-16戦闘機への攻撃を避けるため電子戦機を派遣する必要がありますが、ロシア軍に最新の電子戦機の手の内を見せたくなかったので、旧型のEA-6Bを引っ張り出したと言うのが真相ではないかと推測します。米軍では海軍が全てEA-18Gに更新されていますが、海兵隊にはまだEA-6Bが3飛行隊残っており、今回はこの機体が使われた可能性があります。

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2018年4月14日 (土)

米・英・仏がシリアにミサイル攻撃を敢行

日本時間の本日午前9時55分、米・英・仏の三ヶ国はシリアに向けて巡航ミサイルによる攻撃を開始しました。トランプ大統領は、これより先、シリアのアサド政権が国内の反体制派に対して化学兵器を使用したとしてミサイル攻撃を警告していました。米国は昨年4月6日にもシリアが化学兵器を使用したとして、巡航ミサイル59発を空軍の基地に向けて発射していました。今回は三ヶ国合わせて100発以上と、前回の2倍近い数量で、目標も複数個所となっています。

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今回も米軍の攻撃を担ったトマホーク巡航ミサイルです。

これに対し、シリア政府およびロシアは、化学兵器の使用実績はなく、攻撃は国際条約違反だと米国を非難しています。しかし、前回も攻撃現場の画像に本来ある筈のない化学兵器の容器が映っていましたので、被害者の映像を見る限り、東グータで再び化学兵器が使用されたのは間違いないと思われます。

今回のミサイル攻撃に対し、シリア・ロシア両政府は強く反発していますので、これで化学兵器の使用を自粛するかは極めて疑問です。元々アサド政権は非戦闘員の反政府系の住民に対し、殺傷力を高めた樽爆弾を無差別に投下して殺傷してきました。自国民であろうと、政権に反抗する者を一切許さず、残虐な方法で殺害することを何とも思わない冷酷な体制です。今後もシリアから目をが離せない状況が続くことになりそうです。

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2018年1月14日 (日)

中国原潜が尖閣沖の接続水域を潜没航行

潜水艦は海中を隠密裏に航行できるので、相手にとっては不意打ちをされかねない嫌な存在です。勿論、自由に航行できるのは自国領海内と公海上に限られ、他国領海内を航行する際は浮上して、自国の国旗を掲揚しなければなりません。では領海外側12海里に設定される接続水域ではどうなるかと言えば、無害航行権を盾に潜没航行が認められると言うのが世界の大勢となっています。

無害航行と言うのは文字通りに、ただただ何もせずに大人しく航行することで、ここで何らかの沿岸国の利益に反する行動を取れば、無害航行ではなくなることになります。

10日から11日にかけて中国の商型原子力潜水艦が宮古島と尖閣諸島の大正島の接続水域を潜没航行した事件は、この無害航行権が問われる事態となりました。中国軍の水上艦艇の他に、潜没中の潜水艦の存在を確認した海上自衛隊の護衛艦とP‐3C哨戒機で追跡を続け、11日に大正島の接続水域に侵入したのを確認しました。その後潜水艦は接続海域から離脱したのですが、追跡は続き、12日に潜水艦は公海上で突然浮上し、中国国旗を掲揚したことから当該の潜水艦は中国の原潜であることが公式に確認されたと言うものです。

この件について、中国外務省は水上艦の行動については護衛艦が先に接続水域に入ったので、対応して必要な処置を取ったとしていますが、潜水艦については何も言及していません。

これは極めて不自然なことで、尖閣を自国領と主張するのなら、当然潜没航行についても正当性を主張しなければなりません。それが今日のこの時点まで、何も反論できないのは事態があらかじめ予定されたものでなく、現場の暴走で領海内まで侵入したことが考えられます。もちろん、自国領海内を潜没航行するのも自由なのですが、浮上しなければ第三者に存在をアピールできないので、必然性がありません。

その後公海に抜けても、自衛隊の追跡を受け続けたのも、このようなやましい点があったからと考えれば、納得が行くと言うものです。プライドだけは人一倍高い中国外務省ですから、その内に何らかの反撃のロジックを考えるだろうと思いますが、はたしてどんな主張をしてくるのか注目です。

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2018年1月 4日 (木)

北ミサイル発射失敗で近くの町に墜落と報道

米外交専門誌「ディプロマット」(電子版)が現地時間の3日、北朝鮮が昨年4月に発射した「火星12号」が、発射後1分で機体に異常が発生し、発射地点近くの町に墜落して爆発したとの記事を掲載したと産経新聞が伝えました。

北朝鮮は弾道ミサイルの開発と発射を繰り返しており、「火星12号」についてはこれまでにも複数回失敗が伝えられていましたが、具体的に落下の被害が伝えられたのは初めてです。これまでは人家から離れた場所から発射していたと見られていましたが、最近は技術的な自信が付いたのか飛行場など、市街地の近くから発射するケースが多くなっていました。

かつて中国が衛星打ち上げ用の大型ロケットの打ち上げに失敗した際には、有害な搭載燃料によって周辺住民に数百人の死者が出たとされています。「火星12号」は機体の規模がそれよりは小さいと推測されますが、発射直後は燃料の大半が残っていますので、地上に大きな被害が出たことは十分考えられます。

我が国では、このような事故を避けるためロケットの射場は人家から離れた場所に設定し、万一失敗した場合には海上に落下するように安全に配慮して、これまで打ち上げに際して人的被害が発生したことはありません。しかし、北朝鮮はミサイルの発射に際し、航空機や船舶に対する危険についての事前通告があるにも関わらず、これを無視して発射を強行してきました。言わば、軍事的利益を優先して、周囲の安全を全く無視して来たわけですが、自国民とは言え、ミサイルの犠牲者が出たことについて強く非難されるべきであり、直ちに危険な発射を止めるべきです。

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