2017年4月15日 (土)

北朝鮮の軍事パレードにICBM登場

北朝鮮は15日、金日成主席生誕105年の記念日に軍事パレードを開催し、各種ミサイルを公開しましたが、その中に16輪の自走発射車両に搭載されたICBMと見られる大型のミサイルがあり、各マスコミが大きく伝えています。

これまでの弾道ミサイルは、むき出しの状態で搭載されていましたが、新型ミサイルは収納筒に収められており、固体燃料を使用して空中に押し出されてから点火するコールドランチ方式のミサイルと見られます。

これまでの液体燃料方式では点火後に異常が発生した場合には、燃料をカットすることで燃焼を中止できますが、固体燃料の場合は一旦点火すれば途中で燃焼を止めることはできないことから、一段と高い技術が必要となります。軍事用ではありませんが、日本のイプシロンロケットの場合、打ち上げ時のトラブルに備え、点火時は海に向けて斜めに打ち上げ、上昇してから姿勢を変更する方式を取っています。

北朝鮮は新型ミサイルについて実際の発射試験を行なっておらず、実際に長距離を飛行できるか未確認なので、そのまま実戦配備できる段階ではありません。しかし、中東のイランなどにミサイル技術を供与していますので、衛星の打ち上げと称して実際の試験をイランに代行させる可能性もありますので、今後も両国の動向から目が離せません。

P8060057r16

弾道ミサイル迎撃用のPAC-3の発射機です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月22日 (水)

アロー2発射の続報

先日のイスラエルがアローミサイルでシリアが発射した地対空ミサイルを撃墜した件ですが、続報が出てきました。Defens Newsが伝えるところによれば、イスラエル側は地対空ミサイルを撃墜した理由について、発射されたSA-5(S-200)がスカッドミサイルの特徴に似ていたためだったと言うことです。

ロシア製のSA-5地対空ミサイルは基本型で全長10.5m、重量2.8トン、射程150Km、最大射高20Kmの性能を持っています。SA-5が高度10Kmに達した場合およそ400Km先から、20Kmの場合は540Km先からレーダーで捉えることが可能です。

湾岸戦争でイラクからスカッドミサイル39発を撃ち込まれたイスラエルは14名の死者を出したことから、直後から弾道ミサイル防衛に着手して来ましたので、弾道ミサイルが発射されたと探知して直ちにアロー2による迎撃を行ったことは、むしろ当然と言えるでしょう。

弾道ミサイル防衛に向け、イージス艦に加え地上発射の迎撃ミサイルシステム導入を検討している我が国にとって、発射を即座に探知し、迎撃ミサイルを発射したイスラエルの迎撃体制は大いに参考になったことと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月19日 (日)

イスラエルが実戦で地上発射ミサイルを撃墜

アラブ諸国に囲まれ、臨戦態勢にあるイスラエルはロケット弾攻撃や弾道ミサイルに備えて迎撃システムを構築しており、ロケット弾による攻撃に対しては既にアイアン・ドームシステムで、ロケット弾の大量攻撃に対しての迎撃を実践済みです。アイアン・ドームシステムは全長3m、重量90Kgのタミル対空ミサイルを使用しています。弾道ミサイルに対してはアローシステムで全長7m、重量1300Kgのアロー2ミサイルとアロー3ミサイルを使用します。アロー2は大気圏内、アロー3は大気圏外用ですが、これまで実戦での使用はありませんでした。

ところが、BBCがイスラエルの報道を引用して伝えるところでは、シリアが発射した地対空ミサイルをアロー2で迎撃したとのことです。 ↓

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-39302416

詳細は不明ですが、イスラエル機がシリア領内のIS陣地を攻撃した帰途に、シリア内から地対空ミサイルの発射を受け、逆にこれをアロー2ミサイルで迎撃したもので、最初の実戦での使用と考えられます。

我が国では空対地ミサイルに対してはPAC-2や03式中距離地対空誘導弾(中SAM)で対処することになっていますが、類似の能力を持つアロー2が実戦での有効性を確認したことは、大きな意義があると考えます。

Sam

中SAM改(中SAMの改良型)の発射試験 (出典:防衛省)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月28日 (土)

F-35とF/A-18を比較しようとするトランプ

最初に言っておきますが、私はトランプ大統領を全く評価しない立場です。彼のやること為すこと全てに合理性がなく、これほど無能と感じる指導者を見るのは、やり切れない思いでいっぱいです。

トランプ氏は就任前にF-35の価格が高いことを批判し、メーカーであるロッキード・マーティンのCEOを呼び付けて値下げを強要していましたが、今度はマティス国防長官が同様のことを言い出しました。

マティス国防長官はF35が米国の国防上の要求を満たしつつ、1機当たり約1億ドル(約115億円)の費用を「大幅に削減する」方法を模索するとし、価格が大幅に安いボーイングのF/A-18EスーパーホーネットとF-35を比較し、F/A-18Eが国防上の要求を満たすことができるかも検討すると言っています。

彼が何を根拠にF-35を高いと判断したのかは判りませんが、価格だけを比較すればF/A-18Eがおよそ82億(諸説あり)であるのに対し、F-35が115億ですからF-35の方が高くなっています。しかし、F/A-18Eの価格は大量生産された結果での価格であるのに対し、F-35は初期生産の段階で、今後量産化によるコストダウンが見込まれます。

F35

F-35A (出典:防衛省)

そして何より両者が比較にならないのはF-35は第5世代戦闘機であるステルス機と言うことです。F/A-18Eもある程度のステルス性を備えているとのことですが、本格的ステルス機の敵ではありません。

そしてF-35が先進的なのは電子戦能力を備えていると言うことです。先日F-35Bが岩国基地に配備されましたが、その時の広報でF/A-18E戦闘機、AV-8攻撃機、EA-6電子戦機を更新する機体であるとしています。EA-6は相手機の通信やレーダーを妨害する装置を装備しており、相手レーダーがこちらを捕捉できない役割を果たします。つまりF/A-18EとEA-6が組まないと発揮できない能力をF-35は最初から備えているのです。

物の価値は見かけ上の価格とその機能によって評価されるのが一般的です。高級乗用車クラウンは高価ですが、軽乗用車と比較して高すぎると批判する人は見かけませんが、トランプ氏はそんな人に見えて仕方ありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年10月11日 (火)

イエメン沖で米駆逐艦にミサイル攻撃

北朝鮮による弾道ミサイル発射実験や核実験が懸念される中、10日に中東イエメン沖を航行中の米国の駆逐艦メイソンに対艦ミサイル2発が発射される攻撃がありましたが、ミサイルは手前の海上に落下し、船体や乗員に被害はありませんでした。イエメン沖では先月30日にもUAEがチャーターしている高速輸送船スウィフトに対して対艦ミサイルが攻撃がありました。ミサイルに被弾したスウィフトは船体がアルミ製だったこともあって大破炎上し、乗員22名が死亡しましたが、沈没だけは免れました。

攻撃したのは、イエメンで反政府活動を行なっているフーシ派と連携するサーレハ前大統領の勢力と見られ、中国製のC-802対艦ミサイルを使用したものと見られています。スウィフトは基準排水量940トンと小型の輸送船のため、自艦を防御する装備を搭載していないため、ミサイルの直撃を受けましたが、駆逐艦メイソンは自艦防御のためのECM(電子欺瞞装置)を作動させて、ミサイルを手前の海面に誘導させて無効化させたものと思われます。

C-802はフランスのエグゾセ対艦ミサイルを模倣した輸出専用のミサイルで、サウジアラビアと敵対しているイラン経由で入手されたものと見られます。C-802は目標に近づくと自身のレーダーで相手を補足して突入しますが、ECMはニセの電波を発信して自分の位置を欺瞞し、相手のミサイルを撹乱します。今回は2回ともECMが有効に機能したものですが、C-802の対ECM能力(ECCM)が低いことが明らかになった形です。

C-802は本家の中国ではYJ-83の名称で主力対艦ミサイルとして配備されています。本家版のYJ-83の能力については今のところ実戦での使用実績がありませんので、今回の結果を見て、直ちに低性能だと判断することはできません。

もしかしたら米国は密かに海底からの回収を試みているかも知れません。

Photo

陸上から沖合の艦船を攻撃するための陸自の12式地対艦誘導弾です。 防衛省の資料より

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年9月26日 (月)

中国戦闘機が宮古海峡を初めて通過

昨日、中国軍のH-6爆撃機4機、TU-154情報収集機1機、Y-8情報収集機1機、Su-30MKK戦闘機2機の計8機が沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を往復飛行し、空自の戦闘機がスクランブル発進し、目視で確認をしました。宮古島と沖縄本島は約270Km離れており、宮古海峡には領海に含まれない海域が存在し、中国機はこの上空を飛行し、領空侵犯はしていません。

これまでも中国軍はY-8偵察機やH-6爆撃機に宮古海峡上空を通過させ、東シナ海から太平洋に抜ける飛行を行っていましたが、戦闘機が通過したのは初めてです。中国は有事の際、グアムのアンダーセン空軍基地を使用不能にして爆撃機の発進を阻止するため、H-6から大量の巡航ミサイルを発射する構想を持っているようですが、CJ-10K巡行ミサイルは射程が1000~2000Kmと言われ、沖縄-グアム間が約2300Kmあるため、かなり太平洋上に進出しないと攻撃はできません。

もちろん、このような動きを自衛隊や米軍が黙って見ている訳はなく、H-6が離陸した直後から空自のレーダーによる監視が始まっています。これらのレーダーは中国にとって大変邪魔な存在となるため、このような軍事行動を取る際には、事前にレーダーに向かって突進する対レーダーミサイルによる攻撃が行われます。つまり、我が国が南西諸島に展開するレーダー基地が攻撃を受ければ、中国軍が大規模な戦闘態勢に入ったシグナルとなり、このことはあらかじめ織り込み済みの事態です。

実際にH-6による攻撃の際には護衛の戦闘機が付くのは常識なので、特に今回の事態について大騒ぎする必要はないのですが、通常はスクランブルの相手機について写真を公表している防衛省が何故か今回Su-30の写真を公開しなかったことについて、違和感を感じました。

P5280027

スクランブル発進(模擬訓練)するF-15J戦闘機です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年9月14日 (水)

F-35が地上にミサイル情報、地上から迎撃に成功

ロッキードマーチン社が13日、明らかにしたところによると、12日にホワイトサンズミサイル実験場で行われたテストで、F-35B戦闘機が捉えたミサイル標的機の情報を地上のイージスシステムにデーターリンクを通じて伝送、その情報に基づいてSM-6を発射し、迎撃に成功しました。

SM-6は米軍が開発中の艦対空ミサイルで、射高30Km以上・射程370Kmと大変射程の長いミサイルですが、地球が丸いため、370Km先の目標を直接搭載艦が見つけることはできません。これまでは、味方のイージス艦や早期警戒機のE-2Dが発見した情報を後方のイージス艦に送り、後方から発射したSM-6で目標を撃墜する構想でした。

今回F-35によるデーターリンクに成功したことは、相手の攻撃の対象になり易い早期警戒機を危険にさらすことなく、ステルス機であるF-35がセンサーとなって相手の攻撃を探知し、これを撃墜することが実証できた訳で、我が国の迎撃能力の向上に大きく貢献するものと考えられます。

F35nifcca

今回のテストの運用図、ロッキードマーチン社の資料より。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2016年8月26日 (金)

北朝鮮のSLBM発射映像が公開

24日に発射された、北朝鮮のSLBMであるKN-11の映像が公開されました。KN-11は旧ソ連の液体燃料式SLBMのR-27をリバースエンジニアリングして開発され、液体燃料式ミサイルと見られていましたが、映像の噴射炎から固体燃料ミサイルであることが明らかとなりました。

KN-11の性能については公表されていませんが、潜水艦に搭載することから全長は10m、重量10トン前後と見られ、射程は1000Km程度とされています。米国の退役した核弾頭搭載のパーシングⅡ型地対地ミサイルが全長10.5m、重量7.5トンで射程1770Kmでしたので、固体燃料の技術に劣ると見られるKN-11の射程はそんなものだろうと思われます。

マスコミは、KN-11が短期間で実戦配備されるのではないかと報じていますが、これについては大いに疑問です。北朝鮮の先生役であったロシアは、伝統的に液体燃料ミサイルを運用して来ましたが、2013年1月に最新式の固体燃料SLBMのR-30の実戦配備を開始しました。R-30は2005年に試射を開始していますので、配備まで8年を要しています。開発には判っているだけで17回の試射が行われ、関係者の発言から最終的に20回程度の試射をしたのではないかと考えられます。

この内2006年には3次から5次にかけて連続3回、2008年から2009年の9次から11次にかけて連続3回の合計6回の失敗をしています。恐らく、開発完了には連続10回程度の成功が必要だったのではないかと思われます。ミサイル先進国のロシアにして、この状況です。技術的にはるかに劣る北朝鮮がたった1回の発射成功で、開発を終了することはなく、今後も試射を繰り返して問題点を煮詰めるものと思われますが、実戦化には多くの紆余曲折があるものと予想されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月24日 (水)

北朝鮮が日本海でSLBM1発を発射

韓国軍合同参謀本部の発表によれば、本日午前5時半頃、北朝鮮が同国東部の日本海からSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)1発を発射、ミサイルは約500Km飛行して日本海に着水した模様で、初めて長距離を飛行させることに成功しました。韓国聯合ニュースによれば着水地点は日本の防空識別圏内だったと言うことです。

北朝鮮は今月22日に韓国で始まった米韓合同指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」に強く反発、また本日東京で日・中・韓外相会談が予定されており、これに向けて存在をアピールした可能性があります。

北朝鮮は、相変わらず事前通告なしに弾道ミサイルの発射実験を強行していますが、海上の船舶や上空を航行する航空機の存在を無視する大変危険な行為です。弾道ミサイルには相手を見つける機能はありませんが、航空機の飛行コースと重なったり、操業中の漁船がいれば大事故につながりかねません。政府は北朝鮮政府に対し厳重に抗議するとともに、北朝鮮政府を利する全ての行為を禁止すべきと考えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年8月22日 (月)

海自が新型潜水艦を建造へ

平成29年度予算の概算要求で、防衛省が760億円で新型潜水艦を要求する方針であることが明らかになりました。現行の「そうりゅう」型潜水艦は海中でも発電できるAIP機関を備えて長期間の潜水を可能にしており、11番艦からはバッテリーを鉛電池からリチウムイオン電池を変更して更に高性能化していますが、最終型となる12番艦の取得費用は636億円でした。

新型潜水艦は取り扱いの面倒なAIP機関を廃止した、リチウム電池搭載艦となる予定ですが、約70億円と推測されるAIP機関を止めて760億円となるとその差額が大きすぎます。AIP機関の代わりにリチウム電池を倍増したとしても、その費用は推定で約120億円と考えられますので、70億円程高くなる計算です。はたしてこの分の費用が何に振り向けられるのか、大いに気になりますが今のところ確たる情報がありません。今後の続報を待ちたいと思います。

Photo

そうりゅう型潜水艦。 防衛省の資料より。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧