2020年1月12日 (日)

ウクライナ機撃墜はイラン革命防衛隊の誤射

1月8日午後6時10分、乗員・乗客176名を乗せ、イランの首都テヘランのエマーム・ホメイニ国際空港を離陸したウクライナ国際航空の752便は、高度2400mを飛行中の同14分に位置データーの通信が途絶し、同22分に墜落が確認されました。直後にイラン当局は、同機は技術的問題により墜落したと発表しましたが、その理由については明らかにしませんでした。この事故の生存者はおらず、全員が死亡したと見られています。

その後、現場からロシア製の地対空ミサイル9M331(SA-15)の先端部分が見つかったとする写真がネットに出回り、その後752便にミサイルが命中する瞬間の動画も配信されました。これについてイラン側は事実でなく、印象操作だと強く主張しました。その後、米国が墜落時間のほぼ同時刻、現場付近からミサイル二発が発射されたのを、早期警戒衛星が探知していたことを明らかにしましたが、イラン側は相変わらず否定の姿勢を変えませんでした。しかし、流石にここまで客観的な証拠がそろうと、いかにイランとは言え撃墜への関与を否定し続けることは無理だと悟ったと見え、11日になって革命防衛隊がミサイルを誤射したことを認め、謝罪の姿勢を示しました。

これは驚くべき事態で、一国の政府が航空機の墜落と言う重大事故への関与を隠蔽し、虚偽の事実を主張していた訳で同国の国際的信用は地に落ちました。そればかりではなく、今回の事故ではイラン人82名が亡くなっていましたので、自国民さえ欺いていたとして、政府ばかりでなく最高指導者のハメネイ師まで公然と非難する事態となっています。

現在までのところ、事件の真相は判っていません。軍隊が自国内で民間機を撃墜することはあり得ませんので、誤射であることは間違いありません。今回発射された9M331ミサイルは直径23.5cm、全長2.9m、重量167Kgと小型で、最大射程も12Kmほどしかありません。また、ミサイルの発射は搭載母機である9K331単独で行えますが、搭載レーダーの探知距離は25Kmと短く、単独で目標を探知・攻撃することはかなり困難と思われます。しかも展開先が民間空港近くですから、民間機の機影を捕らえる可能性は高く、敵機と民間機を識別することは必須となっていた筈です。このような場合、通常は電波による敵味方識別装置(IFF)を使って民間機か軍用機かを識別しますが、旅客機ともなればレーダー画面上のみでも判別できたのではないかと思われますので、通常は起こり得ない失態です。イラン側がどこまで真実を明らかにするかは判りませんが、イラン側の発表を待つしかありません。

 

 

| | コメント (0)

2019年11月 8日 (金)

あおり運転に免許取り消しを検討中

最近、ドライブレコーダーの装着率が上がったせいか、あおり運転の事例がニュースになることが珍しくなくなってしまいました。以前からあったものが、記録化されることによって表面化したとも言えますが、これだけ話題になっているにもかかわらず、新たな事件が続いているのは、それだけこの種の事件が根深いと言うことかも知れません。しかし、東名高速の夫婦死亡事故など、痛ましい事故につながることもありますので、悪質ドライバーに対する厳罰化が望まれていますが、現行法では重大事故が起きない限り、危険運転致死傷罪に問えず、運転手に対するペナルテイが十分とは言えません。

そのような中、危険運転に対する厳罰化をと言う世論を受け、警察庁が危険なあおり運転をしたドライバーに対し、免許取り消しができるよう、制度の改正を検討していることが明らかになりました。報道によれば、年明けの通常国会に改正案を提出し、法改正にこぎつけたいとしています。あおり運転については現行法に規定がありませんが、悪質な車間距離不保持違反の検挙件数が、昨年1年で1万3000件もあったと言うことなので、いかに危険運転が横行しているかが、窺えます。厳罰化により少しでもあおり運転が減ることを期待したいと思います。

| | コメント (0)

2019年10月25日 (金)

驚愕の芸能人税金未納事件

お笑いコンビ、チュートリアルの徳井氏が、税務署から1億4000万円の法人税の申告漏れを指摘され、3400万円を追徴課税されたと報じられました。報道によれば、2018年3月期までの3年間の法人所得1億2000万円の未申告、2015年3月までの4年間に経費として計上した一部が該当せず、2000万円の所得隠しがあったとされた模様です。徳井氏は吉本興業の所属ですが、2009年に個人事務所を開設し、個人事務所を介して給料を受け取る形を取っていましたが、事務所設立以来、法人税を一度も期限内に納付したことがなかったと言うことで、過去2回の納付も税務当局の督促を受けてのものでした。毎年3月になると、納税に関するPRが流されますが、どのような思いで見聞きしていたのでしょうか。

芸能人の個人事務所の設立は節税が目的と見られ、その為、税理士の指導を受けて税務処理を行うのが一般的のようです。ましてや、忙しい芸能人であれば、納税関係の時間を捻出することも困難だったでしょう。そこで、通常は顧問税理士と毎月一回程度打ち合わせを持ち、税務処理を行うことが多いようです。彼は納税時期になって税理士に指摘を受けたと述べていますので、未納付騒ぎを2度も起こしながら、何の対応も取っていなかったようです。

また、もし税務処理が間に合わない場合は、最悪一定額を納税し、後日正確な金額に訂正して納税する方法もとれた筈ですが、それすらもしなかったのですから、納税の意思がなかったと見なされても仕方ありません。日々、テレビに出まくっていた男が、何年間も全く納税していなかったとは驚き以外の何物でもありません。源泉徴収で、いや応なしに税金を引かれるサラリーマンにしてみれば、とんでもない話です。既に番組やCMの差し替えが始まっていますが、モラルなき人間に対して、世間の冷たい風が吹くことになるのではないでしょうか。

 

| | コメント (1)

2019年9月26日 (木)

置き石事件の容疑者を逮捕

静岡県警は25日、路上に障害物を置いた往来妨害の容疑で市内に住む40歳の男を逮捕、12歳になる中学一年の長男を補導しました。一歩間違えば、人命が失われかねない凶悪な事件ですが、長男は14歳未満のために刑事責任は問えず、補導の扱いとなっています。また、長男の氏名が特定されるからと、男の氏名や住所も公表されませんでした。浜松市では、昨年8月頃から車道にコンクリートブロックなどの障害物を置く事件が連続して25件発生しており、置き石によって乗用車が川に転落したり、8月25日には乗用車が障害物に乗り上げてパンクするなど、12件で障害物に接触する事故が発生していました。市内では、同時期に犯行現場周辺で、ビニールハウスや農機具小屋などを焼く連続放火事件も発生しており、容疑者親子の関与が疑われています。

とりあえず容疑者が逮捕されてほっとしていますが、二輪車などが転倒すれば、重大事故になりかねない悪質な犯行が、何回も繰り返し行われた事件で、その罪は軽くありません。少年の保護も必要ですが、市民の安全のために、容疑者の氏名、住所の公表は必要と考えますので、今後明らかになることを望みます。また、父親の教唆・指示があったとは言え、重大な犯罪を連続して行った罪は大変重いと考えます。現在の少年法は、14歳未満を刑事事件として問うことができませんが、このような凶悪事件の容疑者については、一旦逮捕・送検し、裁判所の判断で家裁送りにすることができるようにするなどの、法の改正が必要ではないかと思います。捜査関係者によれば、親子はゲーム感覚で犯行を繰り返していたと見られているようですが、とんでもないことで、厳罰が必要と思います。

 

| | コメント (0)

2019年9月24日 (火)

サウジ攻撃はイランが関与と英・独・仏が断定

英・独・仏の三カ国首脳は、14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた事件に対し、イランが実施したとの見解で一致したと言うことです。サウジ国防省が公開した無人機や巡航ミサイルの残骸は、イランが装備しているそれと酷似しており、当初よりイランの関与が疑われていましたが、主要三カ国の首脳が公式にイランの関与を認めたことは、大変重要な意味を持ちます。首脳はイランに対し、挑発ではなく対話を選ぶよう呼び掛けていますが、一貫して自国の関与を強く否定しているイラン政府が受け入れる可能性は、極めて低いものと思われます。イランは国軍の他に、宗教指導者が直接率いる革命防衛隊があり、今回も正規軍ではなく、外交的配慮を快く思っていない革命防衛隊が暴発した可能性が、高いのではないかと考えます。

米国は当初からイランの関与を示唆し、報復をほのめかしていますが、来年に中間選挙を控えていることもあり、イランと大規模な戦火を交えることは望んでいません。トランプ氏も口では勇ましいことを言ってはいますが、事を荒立てずに済む策を練っている筈です。そのような中で、主要三カ国がイランが関与と明言したことは、このまま何もしなければ、トランプ氏の弱腰を浮き彫りにすることになりかねず、トランプ氏の思惑を狂わすことも予想されます。今後の成り行きが注目されます。

P4240087r

訓練中の米軍のF-16戦闘機です。

| | コメント (0)

2019年7月19日 (金)

京都アニメーションが放火で33名が死亡

耳を、目を疑う許せない事件ですが、昨日、京都市にある京都アニメーションのスタジオがガソリン40リットルを撒かれて放火され、33名が死亡、35名が負傷する大惨事となりました。目撃者の話から、さいたま市在住の容疑者の男は同社に一方的に強い憎しみを持ち、強固な殺意を持って犯行に及んだ模様です。数日前から容疑者の姿が目撃されており、ガソリン購入用の携行缶2個を用意するなど計画的な犯行は間違いありません。

同社は有名なアニメの制作会社で、被害者の多くは20代、30代の若者とされており、多数の若く有為なアニメーターの生命が、ゆがんだ殺意によって一瞬にして奪われたことに強い憤りを覚えます。容疑者の男は自身も重度の火傷を負い、治療を受けていますが、意識がなく重体と言うことです。警察は容疑者の氏名を公表していませんが、精神疾患など責任能力についての確認が取れていないためと思われます。しかし、事前に何回も現場を下見したり、大量のガソリンを購入して犯行に及んでいることから、責任能力は十分問えるものと考えます。

これだけの凄惨で重大な事件ですから、もし意識が回復するようでしたら、当然放火殺人罪で起訴されるものと思いますが、33名の命を一瞬にして奪い、多くの人に耐え難い恐怖と苦痛を与え、これからも相当数の人が火傷の後遺症に苦しむことになるであろうであることを思うと、単純に死刑が下されて良いものかと思います。もちろん、精神疾患や心神耗弱などを理由とした不起訴などはあり得ず、例え法の趣旨に反しているとしても現在の法体系が許す最高の刑罰が与えられることを強く望みたいと思います。

P7280038

| | コメント (0)

2019年7月 4日 (木)

最高裁の唯我独尊

最高裁が、2014年に発生した女子児童殺害事件で、一審の裁判員裁判での死刑判決を破棄した二審判決を支持し、被告に無期懲役を言い渡しました。裁判員裁判で死刑の判決が出ながら、二審で破棄される事例がこれまで5件ありましたが、裁判員制度の意義を根底から無視する暴挙で、司法の前例主義、事なかれ主義が強く押し出された判決と感じます。

我が国の裁判、特に殺人事件では殺された被害者の数が重要視されてきました。これは連続射殺事件の犯人の名前から永山基準と呼ばれ、永らく判決の際の指標とされてきました。しかし、法律が殺人罪の最高刑を死刑としているのに、被害者が一人であることを主な理由に死刑を適用しないのは、おかしな話です。この事件の被害者も帰宅途中の小学1年生の女子児童で、犯行は悪質で、遺族も極刑を望んでいました。

裁判員制度は、司法の判断が、一般市民の量刑感覚と大きく乖離しているとの批判を受けてスタートしました。しかし、折角市民が貴重な時間を提供して慣れない裁判に参加し、悲惨な犯行現場の写真や証拠物件と対峙しているのに、世論から批判を受けた裁判官の側が制度の趣旨を全く理解しようとせず、相変わらずの前例主義を貫く姿勢を固持しているのは国民に対する重大な背信行為ですし、裁判員の判断を軽視する姿勢が透けて見えます。法務省はこのような事態を放置せず、早急に改善策を講じるべきで、さもなければ裁判員制度が形骸化するばかりです。

| | コメント (0)

2019年6月20日 (木)

収監予定者が刃物を持って逃走

昨日神奈川県で、傷害罪などで有罪が確定した男を収容しに検察の係官や警察官が男性宅を訪れましたが、男が刃物で抵抗し、逃走する事件が発生しました。男性は乗用車で逃走し、その後乗用車は厚木市内で発見されましたが、以前男は逃走を続けています。

信じられないような事件です。逃走している男は窃盗や傷害の罪で2月に刑が確定しましたが、事前に保釈されており、自宅に居住していました。これまで2度の出頭要請に応じなかったため、昨日は検察の事務官3名と警察官2名で収監に出向いていました。先日は大阪で警察官が襲われ、拳銃を奪われる事件が起きたばかりなのに、緊張感のなさに唖然とするばかりです。そもそも、素直に収監に応じなかった受刑者が簡単に応じるとは考えにくく、それなりの抵抗も予想するのが当然です。警察官2名が立ち会いながら、乗用車に乗り込むまで、何もできなかったのでは、警察官失格と言われても仕方ありません。

しかも、逃亡を公表したのが、事件発生から4時間後と言うから開いた口がふさがりません。刃物を持って逃走していることから、新たな犯罪に走る可能性もあり、早期の逮捕が望まれます。(今回の事件で新たに公務執行妨害、威力業務妨害、銃刀法違反などに問われるものと思われます。)

| | コメント (1)

2019年6月17日 (月)

吹田市拳銃強奪犯逮捕

昨日、大阪府吹田市の交番で警官が包丁で刺され、実弾入りの拳銃が奪われる事件が発生しましたが、本日6時頃、容疑者が逮捕されました。市内は厳戒態勢が敷かれ、早朝までに事件が解決しない場合、学校や幼稚園を休校・休園することになっていましたが、この措置は中止になった模様です。まずは容疑者確保で一安心です。

| | コメント (1)

2019年6月 6日 (木)

南伊豆で過去最大の覚せい剤密輸を摘発

南伊豆町で、船名表記がなく、高速航行が可能な船外機を備えた不審船が、町内の手石港と小稲港を何度も往復するのが目撃され、通報を受けた海上保安庁が調べたところ覚せい剤約1トンを密輸したとして中国人7人が逮捕されました。一回の押収量としては過去最大で、末端価格は600億円にも上ると言うことです。容疑者たちは沖合の船から荷物を受け取る「瀬取り」の方法で覚せい剤を運んだと見られますが、これだけの金額の覚せい剤を扱うことから、背後に相当大掛かりな組織が控えていることが推測されます。

いやあ驚きました。これまで数億円レベルの薬物犯罪は幾度となく報道されていますが、ここまで大量の薬物が見つかったのは初めてです。恐らくこれは氷山の一角でしょうから、薬物の蔓延ぶりがいかに深刻であるかが判ります。くしくも昨日は、違法薬物事案で逮捕されたピエール滝被告の初公判(昨日で結審)でした。芸能人の摘発も相変わらず続いており、ここからいかにして違法取引を減らしていくか、取り締まり当局の奮起が望まれます。米国などでは海外からの船舶を利用した密輸に対し、哨戒機を使った取り締まりを行っていると言うことですが、我が国でも一段アップした取り締まりの時期に来ているのかも知れません。

P6180088r16

海上の船舶を監視できるP-3C哨戒機です。

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧